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ファインダー越しの世界を残す

去年の夏、写真を始めた。
中古でCanonのカメラを買って、ドキドキしながら初めてシャッターを切った時のことは2度と忘れないと思う。

Instagramでフォトグラファーさんの写真を見て、私もこんな世界を創りたいと思った。

レンズを通して見る世界は、物理的には私たちの目が見ている世界となんら変わらないのかもしれない。
でも、どこにピントを合わせるのか、主役をどこに配置するのか、視界のどこまでを切り取るのか、たくさんの観点から少しずつ世界を創り上げることができる。

同じ景色を見ていても、感じることは人によって変わってくる。

誰かが暖かいと感じた桜の花。
でも、私は風に揺れる花の中に儚さを感じた。
雲量ゼロの真っ青な空にあなたが明日の希望を見出しても。
私は初めて家出した日、無敵感と孤独と共に見た青空を思い出して胸がぎゅっとする。

そんな、個々の違いを表現できる写真が好きだ。

誰も見ていなくても、その本質が0と1のデータの羅列であっても良い。
私だけの世界を、ファインダー越しに残していきたい。

そんな、大それたことを思った、強固春の午後。

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