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29 コンディションは整わない

『Invictus(邦題:インビクタス/負けざる者たち)』という映画がある。監督はクリント・イーストウッド、主演はモーガン・フリーマン。南アフリカ共和国で初の黒人大統領となったネルソン・マンデラと南アフリカ代表のラグビーチーム、スプリングボクスの物語だ。
劇中、モーガン・フリーマン演ずるネルソン・マンデラからコンデションはどうかと訊ねられたスプリングボクスの主将、マット・デイモン演ずるフランソワ・ピナールはこう言う。「ベスト・コンデションでフィールドに立てたことなど一度もありません」と。実際トップアスリートというのは、ボロボロの体で白刃の上に立つような、肉体と精神力のギリギリのバランスの上で闘っているのだろう。

次元は違うが日常の生活や仕事の上でベストなコンディションで現場に臨める事は少ない。特に高齢者などは痛みや体の重さとの折り合いの中で日々を過ごしているのではないか。
そのような思いを巡らせる中で、コンディションは整わないものである、と思うようになった。仕事の現場では例えコンディションがどうであろうと何とかしなければいけないのである。

あえて負けの因を作る必要はないが、コンディションを待つのは時間の無駄である。これも損得の問題だ。朝目が覚めたら寒いけれどもすぐに布団から出る。寒いと思っていたけれどもさっさと犬を連れて外へ出てみれば気持ちが良いものだ。面倒な仕事は気が重い。しかし何はともあれ着手してみれば意外と簡単に片付いたりもする。会いづらい人がいる。しかしこちらから先に電話をしてみると相手は何も気にしていなかったりする。すぐ動いてみる事だ。1歩進めば風景は変わる。状況も変わる。コンディションなんて後からついてくるものだ。

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