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#佐野元春のライブを観ながら

BSで佐野元春のプレミアライブ2023をやっていて、ハイボールを片手に観入ってしまった。佐野元春といえば私の青春時代そのものである。高校時代の甘い思い出、酸っぱい思い出、苦い思い出、すべて佐野元春の曲と共に甦る。

仙台での学生時代、街を歩く時にはいつもヘッドホンでFMラジオを聴いていた。FM仙台のパーソナリティの板橋恵子さんは、佐野元春のことをいつも「佐野くん」と「くん」付けで呼ぶのだった。「身近な場所に『くん』付けで呼ぶくらい佐野元春に近い人がいる!」とちょっと感動したものだ。当時FM仙台の入っているビルには通り沿いに小窓があって、スタジオの様子が見えた。通りすがりに、そこから板橋さんのオンエア風景をしばらく眺めていたら、ラジオを通して「緊張するからあんまり見ないで」と言われたのを思い出す。

それはさておき、佐野元春は佐野元春以外の何者でもないところが良い。曲を鳴らせば確実に佐野元春ワールドが展開されることが約束されている。ひとつのブランドだ。仕事をする上で、私も斯くありたしと思う。

仕事やブランドとはどのような過程を経て形成されるのかという事を書こうとしている。人は生まれ育った環境や友人関係、学歴や趣味、読書遍歴など、様々な文脈の集合体だ。ルビンの壺のように、影であり枝葉末節であるはずの文脈が、あるとき忽然と本質として浮かび上がって来る。

ある時、「松尾さん、こんな仕事やってみたらイケるんじゃないですか?」と、取り引き先から仕事の提案をされた。自分にとっては本業に付随する枝葉末節と思い込んでいたものが、どうやら価値の高い仕事になるらしい。本業はシステムエンジニアなのに、ライターとしての私を見出してくれたお客さんもいる。自分のことは他人が教えてくれる。自分で決めつけた事ばかりに執着していると、こんな縁も見逃してしまうものだ。そうか、そんな道もあるのかと、また他人が気付かせてくれた。今年はひとつ新しいことをやってみようか。佐野元春のライブを観ながら、そう思った。

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