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38 オオシマゼミ

9月の半ばを過ぎると奄美の山が鳴る。子供が金属製の笛をやみくもに吹き鳴らすような音が、島の集落に充満する。島へ来た当初、あの音は何かの鳴き声ですかと集落の人に聞いてみると、何も聞こえないと言う。島で暮らし続けると、山を鳴らすオオシマゼミの合唱は耳慣れて聞こえなくなるらしい。
数年前、東京からの来客を案内して奄美の最高峰である湯湾岳へ登った。9月の末で、オオシマゼミの声を浴びながら山道を歩いた。「聞こえているのは何という鳥の鳴き声ですか」と尋ねられた。「オオシマゼミです」と答えると、来客は「セミ・・・ですか」と信じられない顔をした。私も島へ来た当時はずっと鳥の声だと思っていた。
ネットで検索すると鳴き声は「ケーン、ケーン・・」と音写されているが、私には「ヒヨ、ヒヨ・・」と聞こえる。みなさんにはどう聞こえるだろうか。
 
【琉球大学博物館 風樹館 】
https://fujukan.skr.u-ryukyu.ac.jp/ouchimus/2531/

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