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29 予測不能なノート術(3)- 使うノートから作るノートへ -

この時期、来年の手帳を準備する方も多い事だろう。もし手帳選びに迷っているのなら、ちょっと立ち止まって、今年はフォーマットの決まった手帳ではなく、まっさらなノートを買う事をオススメする。この機に自分自身のバレットジャーナルを作り上げてみよう。
 
ノートの種類は何でも構わないが、携帯性と紙面の広さのバランスからA5サイズがベターだ。常に持ち歩くことを考慮して、表紙やカバーは耐久性があった方が良い。膝の上でも、どこででも記入できるように表紙はハードカバーの方が良い。気がついた事をその場で素早くロギングしていくのがバレットジャーナルの運用では大切だからだ。バレットジャーナルではページ番号(ノンブル)で紙面を管理するので、できればページ番号が最初から振られているものだと使いやすい。無ければその都度自分でページ番号を振れば良い。
 
バレットジャーナルを始めるとすぐに気付く事だが、生活や仕事ですぐに効果が実感出来る。日常がスムーズに回り始め、ウッカリや焦りや迷い・イライラが無くなり、これまでのストレスからスッと解放される。つまり絶大なメリットを感じる事が出来る。なので、少々値の張るノートを買ってもお釣りが来るくらいのリターンが得られる。ここは思い切って良いものを買ってみよう。そもそも最初からページ番号が振られているノートなんてあまり無いし、あってもこれまで使っていたノートとは比較にならない値段であるはずだ。
 
考案者のライダー・キャロル氏がバレットジャーナルに最適であると紹介したノートが、ドイツ製の「ロイヒトトゥルム1917」である。よく似た形状のものにモレスキンがあるが、その品質は比較にならないほどロイヒトトゥルムの方が良い。作りが堅牢で紙質はペンを選ばない。つまりインクの裏抜けがほとんど無いのだ。表紙のカラーも豊富で好みのものを選べる。サイズがA4からA7まで揃っており、ページレイアウトも「罫線」「方眼」「無地」「ドット」の4種類がある。どれを使うかは好みだが、バレットジャーナルとして使いやすく一番人気なのは「ドット」である。私も最近、他のノートからロイヒトトゥルム1917のハードカバー、A5サイズのドットに乗り換えた。実に使い勝手がよく、今後もこれ以外には考えられない。3千円を超える値段をどう思うかが問題だが、もし月に1冊使ったとしても(そんなハイペースな人はそういない)高々3千円なのである。計り知れないメリットがあるにも関わらず。私は安いと思う。
 
そしてペン。これは見やすく書きやすく咄嗟のメモに対応できるなら何でもよい。小さな文字を書くことになるので、出来れば細字の方が良いだろう。これらがあれば、バレットジャーナル生活を存分に楽しむことが出来る。さあ、これから自分だけのノートを作り上げよう。しかし慌ててここでカレンダーを書き込んだり貼り付けたりしないで欲しい。バレットジャーナルを始める前に、基本的なモジュールをセットしておかなくてはいけない。ここからは、おおまかなセットアップの流れと使用方法の話だ。あくまでもバレットジャーナルに興味を持って頂くためのおおまかな説明なので、本気でやってみようと思うならば最後に記した書籍を読んで欲しい。
 
バレットジャーナルは次の4つのコアコレクションページと、自由に作るカスタムコレクションページというモジュール(構成単位)から成り立っている。基本となるコアコレクションページは次の4つ。

  1. インデックス(目次)、2. フューチャーログ(日時未定の予定)、3. マンスリーログ(日時の決まっている月間予定)、4. デイリーログ(1日の予定・タスク・メモ)
    カスタムコレクションは読書記録や観た映画の記録、欲しいものリストなど自由に作る。
     
    ノートとペンを揃えたら、セットアップの第一歩としてまずインデックス(目次)、キーリストページを作る。


バレットジャーナルでは基本的にページは見開きで広々と使う。半分空いてしまっても空いたままにしておく。ここに挿絵やイラストを添えてみるのもよいかもしれない。
最初の見開きページを開き、4ページくらいをインデックス用として確保しておく。各ページの一番上に「インデックス」とか「目次」と、トピック(タイトル)を書く。
インデックスページが確保できたら次の見開きページを開いて、左のページの下部に「1」とページ番号を振る。ページ上部に「KEY」または「キー」とタイトルを書く。

インデックスのすぐあとのこのページ、1ページ目は、バレットジャーナル運用の要となる記号リストを控えておく場所だ。バレットジャーナルのバレットとは、箇条書きの頭につける記号(Bullet)のことで、基本となる記号が決められているのでそれをリストとしてここに控えておく。記号は下記のとおり。

・ タスク
× 完了したタスク
>移行したタスク
< スケジュールに入れたタスク
◯ イベント
- メモ
❇︎(アスタリスク) 優先事項
! ひらめいたこと
(目のマーク) もっと調べること

ページを完成させたらインデックス(目次)の最初の行に「1 KEY 」と書く。要するに目次だ。これで自分だけのノート作りの第一歩を踏み出せた。バレットジャーナルではどこに何を書いたのかを、一般の書籍のようにページで管理する。
 
ネットを見ると、各ページをキレイにデコレーションしている画像に出会うかも知れないが、それはバレットジャーナルの本筋ではない。書体くらいなら工夫するのはアリだが、まずはシンプルに基本を押さえて、追々、好みに応じてデコレーションを加えると良い。1本のペンで1冊のノートに手早く手書きをする。これが基本だ。なぜなら他の道具を使わずにどこででも出来るからだ。「いつでもどこででも素早く」これはバレットジャーナルの運用上の重要な要素だ。

* セットアップその2、「フューチャーログ(FUTURE LOG)」

まず、キーリストページの次の見開きページを開こう。一番上に「FUTURE LOG」とタイトルを書いたら、左右のページをそれぞれ3分割する線を引く。縦割りでも横割りでも自分の好みで。そして今月が12月だから、それぞれのセルの隅に12から1、2、3、4、5と6ヶ月分の月名を入れる。それが出来たら次の見開きページを開いて、同じように残りの半年分のセルを作る。ここは日時の決まっていない予定や数ヶ月後の予定・タスクを書き入れる場所だ。仮予定表とでも言っておこうか。インデックスページにページ番号とともに「フューチャーログ」と項目を追加しておこう。

* セットアップその3、「マンスリーログ」

さて、ここでようやくお馴染みの月間予定表が登場する。次の見開きページを開いたら、左ページの上にタイトルを書くのだが、マンスリーログの場合は「2021.12」と月名を書く。すぐ下に、1ヶ月分の日付を書く。形式はリスト型でもカレンダー型でもお好みで。右ページにはその月のタスクを書き込むため、空白のままにしておく。ここで間違っても1年分のマンスリーログを作ってしまわないように注意しよう。作るのはあくまでも1ヶ月分。その次の見開きを翌月用に空けておく必要もない。マンスリーログページは、必要になった時点で、その時の最終ページに作成する。すべてはページ番号で管理される。運用すると気付くと思うが、現在のデイリーログとマンスリーログが離れていると作業効率が落ちる要因にもなる。だからマンスリーログはその都度追加する。
 
キレイに仕上がれば何よりだが、デジタル全盛の今、手書きの味わいを楽しむ意味で自分のクセ字や歪んだラインも楽しみながらやるのが良い。完璧に仕上げようなんで思っちゃいけない。頑張るべきポイントはほかにあるからだ。大切なのは継続してサイクルを回すことである。では、今回はここまで。実際の運用まではもう少しだ。急いで次に進みたい人は、下記書籍を購入するのが良い。

来週までの間に、日にちの決まっている予定はマンスリーログに、日にちの決まっていない予定や数ヶ月後の予定・タスクをフューチャーログに書き込んでおこう。

【考案者・ライダー・キャロル氏の本】
 ・『バレットジャーナル 人生を変えるノート術』
  ライダー・キャロル  2019年/ダイヤモンド社
【わかりやすく手法を記した本】
 ・『ロイヒトトゥルム1917ではじめる箇条書き手帳術
    -- もっと自分を好きになる! バレットジャーナル完全ガイド』
    株式会社平和堂(監修) 2018年/実務教育出版


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