吸収した栄養素の行方

糖質、脂質、たんぱく質はそれぞれ

糖質

糖質は主にエネルギー源として利用されます。過剰に摂取した糖質は筋肉や肝臓、または体脂肪として貯蔵されます。

糖質の貯蔵

小腸から吸収された単糖類は肝臓へ運ばれます。この際、フルクトースとガラクトースはグルコース に変換されます。

これらは、
①肝臓にグリコーゲンとして貯蔵
②血中に出て全身に運ばれ、エネルギー源になる
この様な働きをします。

血中のグルコース(血糖値)が増えると、膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンは血糖値を下げるため、筋肉や脂肪細胞にグルコースを取り込むように働きます。

筋肉に取り込まれたグルコース 
→グリコーゲンとして貯蔵

脂肪組織に取り込まれたグルコース 
→体脂肪として貯蔵

グルコースはそのままの形ではなく、筋肉や肝臓にはグルコースとして、脂肪組織には体脂肪として貯蔵されます。

血糖値

血糖とは、血液に含まれるグルコースの事であり、血糖値とはその濃度を表します。血糖は常時エネルギーを供給するために必要であり、その濃度は一定に保たれています。

血糖値が低下すると、

膵臓
→グルカゴン

副腎
→アドレナリン、グルココルチコイド

が分泌されます。
これらは、肝臓のグリコーゲンを分解してグルコースを血中に送る事で、血糖値の低下を防ぎます。

食事や肝臓グリコーゲンからグルコースを取り込めない場合は、アミノ酸などからグルコースを合成します。

グルコースでエネルギーを作る

グルコースは1gあたり、4kcalのエネルギーを生み出します。

解糖系(無酸素)
グルコース(一分子) → ピルビン酸(二分子)
           → ATP(二分子)

解糖系ではグルコースが分解され、二分子のピルビン酸または乳酸が作られます。この過程で二分子のATPも生成されます。

脂質

脂質の利用と貯蔵

食事から摂った脂肪(脂質)は小腸で吸収され、キロミクロン(リポたんぱく質)の形となって、体内でエネルギーを供給します。エネルギーを必要とする細胞は、キロミクロンから脂肪酸を細胞内に取り込み、エネルギーに変換します。

過剰に摂取された脂肪は皮下脂肪や内臓脂肪として体内に蓄えられます。また、脂肪は脂質でけでなく、過剰に摂取した糖質やたんぱく質からも合成されます。

脂質からエネルギーを作り出す仕組み

細胞内に取り込まれた脂肪酸は、β-酸化により分解され、アセチルC0Aになります。これがTCAサイクルで水と二酸化炭素に分解され、ATP(エネルギー)を生み出します。

脂肪酸 → アセチルCoA → TCAサイクル → 水+二酸化炭素

                      → ATP

体内を循環する脂質

脂質は水に溶けないため、水に溶けるリポたんぱく質の形で体内を循環します。リポタンパク質の中でも、キロミクロンは体内に最も多く存在します。

キロミクロンは脂肪酸を細胞に渡すと、キロミクロンレムナントとなり、肝臓へ運ばれます。

肝臓で合成された脂質は、VLDLと呼ばれるリポたんぱく質の形で、各細胞にエネルギーを供給します。VLDLは細胞に脂肪酸を供給すると、LDLに変わります。このLDLは細胞膜の構成に必要となるコレステロールを多く含みます。

逆にHDLは各組織からコレステロールを取り込み、肝臓へ運びます。血中のHDLが多いと、抹消組織のコレステロールが減り、動脈硬化の予防に繋がります。

体脂肪の合成

身体の脂肪は、過剰に摂取した脂質や糖質、たんぱく質から合成されます。どれも脂肪になるまでの過程は違うものの、アセチルCoA、脂肪酸を経て、脂肪として蓄積されます。

糖質
→ ピルビン酸 → アセチルCoA → 脂肪酸 → 脂肪

脂質
→ 脂肪酸 → アセチルCoA → 脂肪酸 → 脂肪

たんぱく質
→ αケト酸 → アセチルCoA → 脂肪酸 → 脂肪

たんぱく質

たんぱく質はアミノ酸に分解され、小腸から吸収されます。アミノ酸は筋肉だけでなく、酵素やホルモンなど体内のたんぱく質を作る材料となります。

体内のタンパク質は一度作られた後も、分解、合成を繰り返します。これを「代謝回転(ターンオーバー)」と言います。組織によって、代謝回転のスピードは異なりますが、肝臓は10~15日程度、筋肉は180日で半分が置き換わります。

小腸で吸収されたアミノ酸は肝臓へ運ばれ、ターンオーバーで分解された体内のアミノ酸と共に新たな体たんぱく質合成に使われます。これらは必要に応じて、脂肪酸やグルコース 、非必須アミノ酸の合成やエネルギー源としても利用されます。

アミノ酸の代謝

体タンパク質の合成に使われなかったアミノ酸は、分解され、アミノ基(窒素)が取り出されます。このアミノ基はアンモニアとなり、グルタミン酸と反応して、グルタミンに変換され、肝臓へ運ばれます。これは肝臓内の尿素サイクルで、尿素となり、尿として排出されます。

アミノ基が切り離された残りの部分(炭素骨格部分)は、解糖系やTCAサイクルでエネルギーに変換されたり、グルコースや脂肪酸の材料となります。

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