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小説:中編

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20000字~80000字以内の作品を格納します。 かなりお時間があるときにどうぞ。
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【中編】ここは安全、心臓ふたつ

【中編】ここは安全、心臓ふたつ

 どぶ川に沿って伸びるアスファルトと、夕闇に聞こえ始めた打ち上げ花火の響きが、その夜の記憶の始まりだ。僕の手を引いて歩くユーコさんの、音を追って振り向いたときの髪の揺れかたまでが、いまも鮮やかに思い描ける。
「戦場みたいだね」
 彼女はしばらく耳を澄ませたあとでそう呟いた。そういう突拍子のないことを、いきなり口にする人だったのだ。
「戦場って?」
「戦争が起こっている場所のこと」ユーコさんは答える

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