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#3介護保険なの?医療保険なの?

まつながです。

訪問看護のご利用者のうち、およそ7割の方が
介護保険によるサービスで訪問看護を利用している
なんてよく言われます。

残りの3割が大きく分けると医療保険のご利用者となるわけですが、、

この”介護保険”と”医療保険”、
どちらを利用することになるのかをきちんと把握しなければ、
サービスに行ってもきちんと料金の請求ができなくなってしまいます。

介護保険、医療保険のどちらが適応になるかは
一定のルールに基づいて決定しているため、
今回はこのルールについてまとめようと思います。

ではまずこれを、、、↓

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①65歳以上の場合

介護認定を受けていない場合、自動的に医療保険でのサービスとなります。
介護認定を受けている場合、要支援1、2、要介護1〜5の7つのうち、
該当する認定を受けているということであり、
介護保険を利用することができます。

②19疾病該当者かどうか

介護認定を受けている方のうち、
”厚生労働大臣が定める19疾病”に該当する診断名がついている場合は
訪問看護のサービスは自動的に医療保険でのサービスになります。

また、医療保険での訪問は基本的には週に3回まで
しか行うことができないのですが、
19疾病に該当する場合は週に4回以上の訪問が可能になります。
(この医療保険と訪問回数については特例が3パターンあるため、
別でまとめようと思います。。。)

!!ただし、ここで気をつけなければならないのは、
”19疾病に該当する疾患名が、
  訪問看護指示書の主病名欄に記載されていること”

が絶対条件となります。

つまり、どんなに19疾病という診断を受けていても
訪問看護指示書にその旨の記載がなければ
医療保険を利用することができないのです。

↑これ、実は現場ではよく見かけることがあるんです。
急に診断がついて医療保険の適応になったり、
骨折して入院、退院時に主治医が変更になっており
19疾病が主病名から消えてしまっている。などなど、、、。

ではここで、19疾病の内訳をみてみましょう。

厚生労働大臣が定める19疾病
1 多発性硬化症             
2 重症筋無力症             
3 スモン                
4 筋萎縮性側索硬化症(ALS)     
5 脊髄小脳変性症           
6 ハンチントン症            
7 進行性筋ジストロフィー症       
8 パーキンソン病関連疾患        
  進行性核上性麻痺          
  大脳皮質基底核変性症        
  パーキンソン病
(Hoehn & Yahrの重症度分類:stage3以上もしくは生活機能障害度:2度以上)
9 多系統萎縮症
  線条体黒質変性症
  オリーブ矯小脳萎縮症
  シャイ・ドレガー症候群
10 プリオン病
11 亜急性硬化性全脳炎
12 ライソゾーム病
13 副腎白質ジストロフィー
14 脊髄性筋萎縮症
15 球脊髄性筋萎縮症
16 慢性炎症性脱髄性多発神経炎
17 後天性免疫不全症候群
18 頸髄損傷
19 人工呼吸器を使用している状態

このほかに、「末期がん」という診断が主病名として記載されている場合も自動的に医療保険の適応になります。

パーキンソン病に関しては、
Hoehn & Yahrの重症度分類:stage3以上もしくは生活機能障害度:2度以上
という条件がついているため、主病名欄にもどちらかの分類が記載されていることが医療保険適応の条件になります。

↑現場でよくあるその2
パーキンソン病は上記の条件で医療保険の適応となりますが、
「パーキンソン症候群」という診断では医療保険は適応されないので
気をつけましょう。

”パーキンソン”と聞いたら、
・病なのか、症候群なのか
・分類いくつで、指示書に記載がされているか
を確認するようにしています。

③40歳以上65歳未満と16疾病

介護認定は原則として65歳以上から活用できる制度なのですが、
”厚生労働大臣が定める16疾病”に認定された場合、
40歳以上65歳未満の方でも介護保険を利用することができます。
→要支援1〜要介護5の認定が降りるんですね。

!! 先ほど出てきた19疾病とは異なることに気をつけましょう。
19疾病と16疾病という異なる疾患を定めた制度があります。

うん、実にややこしい。。
16疾病の内訳はこんな感じ。

厚生労働大臣が定める16疾病
1 末期のがん 
         
2 関節リウマチ         
3 筋萎縮性側索硬化症(ALS)  
4 後縦靭帯骨化症        
5 骨折を伴う骨粗鬆症      
6 初老期における認知症     
7 進行性核上性麻痺       
 大脳皮質基底核変性症     
 及びパーキンソン病      
8 脊髄小脳変性症         
9 脊柱管狭窄症
10 早老病
11 多系統萎縮症
12 糖尿病性神経障害
  糖尿病性腎症
  糖尿病性網膜症
13 脳血管疾患
14 閉塞制動脈硬化症
15 慢性閉塞性肺疾患
16 両側の膝関節又は股関節
  に著しい変形を伴う変形性関節症

ここで気付いた方もいるかもしれませんが、
よく見ると、上の太字の疾患、さっきもみませんでしたか?
そうなんです。
この太字の疾患は先程19疾病のところでも出て来た疾患なんです。

つまり、どういうことかというと、
40歳以上65歳未満で16疾病に該当するため介護認定が受けられたとしても、
太字の疾患=19疾病の場合は訪問看護のサービスは医療保険が適応になります。

19疾病優先って感じですね

では、太字の疾患は19疾病に該当しているんだから
わざわざ16疾病として認定する必要はないんじゃない?

そんなことはありません。
16疾病に認定されることで40歳から介護認定が降りると、介護保険を利用した様々なサービスを受けることができます。
訪問看護以外にも、介護保険を利用した社会資源はたくさんあり、
そのようなサポートが早期から必要を考えられる疾患のため
16疾病という認定があるんですね。

ちなみにですが、19疾病が自動で医療保険に含まれるのは、
頻回に医療的な処置が必要になることが多い疾患たちだから
というイメージで覚えています。

④40歳未満

40歳未満の方については、
どんな疾患であれ介護認定を受けることはできないため、
自動的に医療保険になります。

なんとシンプル!

このように、
訪問看護では、ご利用者ごとに介護保険、医療保険
どちらの適応になるかがバラバラなため
都度確認をして正しい保険の適応でケアに当たる必要があります。

実際は保険が違うからということでケアの中身に差が生じることはありません。

途中で保険の種類が変わる場合もあるのですが、
その際は再度、新しい保険での契約のとり直しが必要だったりもします。

こんな感じで今日も訪問に行っています。
改めて見ると、やっぱ複雑ですね。。

勉強しよう。
以上、こんな感じです。

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