ラフなペンの握り方
間違えてはいけないという気持ちが、
自分をより固くする。
大切な書類を書くとき、
いつものペンが手に馴染まないような、
いつも書く自分の名前が書きにくいような、
そんな感覚に陥る。
センター試験や大学の願書、
口座開設の申請書、
英検受験用紙など。
どの紙も薄い緊張のもとで書いたのか、
確実に間違えてしまう。
今日俺が書いたのは、
教育実習に関する実習高への依頼状や、
自分の情報が載った調査票などである。
間違えてはいけない、
その気持ちが手に伝わったものの、
6枚ある資料のうち5枚は、
ノーミスで書ききった。
そして6枚目に入る。
名前を書いて、
学部を書いて、
学科を書いて、
住所を書いて、
電話番号を書いて、
メアドを書いて、、、、。
なんだ余裕じゃないか。
ここまでノーミスで来た。
ここから間違えることはないな。
その油断が命取り。
出身書くところに
『岐阜県』と書いてしまったのである。
都 道 一見間違いが無いように見えるが、
府 県 このように並んでいて、
○をつけるパターンの書類だった。
つまり、『岐阜県』とかき切ってしまったことにより、俺の出身は「岐阜県県」となってしまった。これはいけない。片足で飛び跳ねるようなことになってしまう。
書類の要項を見直すと、訂正印不可。
つまり全てをノーミスでかき切らなければならない書類だった。
終盤の項目で間違えるとは、
前半までは完璧に書けていたのに。
仕方なく大学へ向かい新たな紙を貰う。
次は間違えないぞ。
名前を書いて、
学部を書いて、
学科を書いて、
住所を書いて、
電話番号を書いて、
メアドを書いて、、、、。
出身は『岐阜県』っと、、、。
あ?
ん?
あ????
自分のアホさ加減を呪いたい。
わざわざ大学に電話までかけて紙を貰って、
教務課資格課程係の方の前で同じミスをするとは。
3枚目の紙を貰い、また書き直す。
もう間違えないよう、
問題の出身は先に書いた。
2枚目の時点からそうすればよかったんだろう。
薄い緊張が自分を支配するのか、
その考えに及んだのは3枚目のこと。
失敗がなけりゃ学ぶことはないけど、
こんな学びなどいらない。
ただ書類が書ければよかっただけなのに。
写経をしているお坊さんとかは、
間違えたら書き直すのかな。
あれが最初からになると思うと、
ゾッとするな。
そしてやっと書き上げた。
気分的には超大作を執筆したぐらいのつもりだ。
資格課程のおばさんの圧にも耐えきり、
よく書ききった。
なんでこんなに緊張するんだろう。
もっとラフに書ければ、、?
とか言ってまた間違えるんだろうな。
どうせ間違えるなら、
もっと派手にやりたかったなあ。
出身:南極大陸 とか。
名前:木村拓哉 とか。
2020720
〈食事〉
朝:なし
昼:トマトツナレモンペッパーのさっぱり素麺
夜:餃子丼(最高)
〈エンタメ〉
夜の巷を徘徊する
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