見出し画像

ハードボイルドを気取ったあの頃

煙草の煙を燻らせて
そっと傍のバーボンに手を添える
氷のボールをゆるりと二回転させて
その芳醇な液体を喉に流していく

なーんて、
ダンディな飲み方に憧れます
いまだにね

私は常習的ではありません、年数回程度の愛煙家です
(決して鼻から煙は出さないけど)
でも今日は飲むぞ、の時や、疲れた体を昔ながらの喫茶店で癒す時くらいの事なので、モクがなくても体は震えません
今は在宅勤務なのでサ店に行くことすらないですしね

父が酷い程のヘヴィスモーカーで、子供の頃から慣れていたせいかも知れません
(煙より灰皿を洗う時の匂いが好きでした…変?)
(親には決して言えませんが)

匂いが体に染みつくのが苦手なのです
それはタバコだけではなくて、煙と名の付くものや何というか…何でも匂いの強いものに自分の体を乗っ取られるのが駄目なんですよ


若い頃は大人を気取るのが好きだったので(永遠の9歳児なのに)、好きなブランド服でかためたスタイルでお酒をバーで飲んで終電で帰ったり、朝までの時は始発で家に帰ってシャワーを浴びて出社して…が毎日でも出来たものでした

馴染みのバーがあって、メニュー以外のカクテルをリクエストしたり、私をイメージして作ってもらったこともあったり
何もかもが面白い大人の遊びな感じで気分良く酔えたんですよね

そうかと思えば、
静かにバーボンを2フィンガーのロックでゆっくりいただく、そんなスタイルも結構楽しんでました

ハードボイルドな世界
ハードボイルドを読むとカッコつけたくなって小さなバーに出掛けたりしてました

拳銃持ってたら、最高のヒットマンになりたかったです
でも隠れて暮らすのはなぁ…とか思ったりはしました

中折れハットを小粋に被り目線をぼやかす…
くー!いい世界だなぁ

古き良き時代のダンディさん
あれ?私って男の人になりたかったのね
今まで気づかなかったわ

ハードボイルドを気取って
美味しいお酒を飲む
ハードボイルドを気取って
苦虫を潰した様なキツいお酒をあおる
その時はいつも別人
いつもの世界は何処へやら
それが気ままな生き方だったんです

古き良き時代のダンディさんを
また演じられたらなぁと思いますが
もう体さんが悲鳴をあげるかなと恐怖したりしてますから、きっと健康を気にして小さな人になっていくのでしょう

あの橋を渡る前に、
少しでも多く
ハードボイルドを気取りたいです
それが今の理想形です

✳︎これはフィクションとノンフィクション
 の間を書きました
 比率は…黙っておきますね

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?