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甘っちょろい私が目に染みて

先日、バレエの舞台を観に行ってきました。
私が去年の1月から始めたバレエのグループの発表会の舞台、でした。
去年の夏の発表会には出て、今年の発表会の練習にも入ったタイミング、そしてちょうどバレエを始めて一年が経とうとした時、
今年の1月に、お腹のなかに赤ちゃんがいることがわかり。

その後、つわりやらなんやらがあり、落ち着いたかなと思ったらお腹が大きくなってきて、すっかりバレエのレッスンには行けなくなってしまい…

そんなこんなしているうちに、今年の発表会の日にあっという間になってしまった。

本当に、あっという間だった。
あれ?私、この半年ずっと家で寝てた…?って思うぐらい、毎日眠くて、よく寝てしまうので、一日が終わるのが早かったのも相まってか、あっという間だった。

当日は在宅仕事の後、夕方からの発表会を観に出掛けた。
前日、たまたま歯医者の予約があったから外に出てたけど、
妊娠後、外に出ることもかなり減ってしまった私は、久しぶりの病院や買い物以外の外出だった。

家の中で感じられる刺激といえば、
YouTubeの動画、映画・ドラマ、旦那さんとの会話、
在宅勤務での、やっかいな取引先の人からの嫌な言葉…
ぐらいだろうか。

仕事以外のことは「日常」のなかに溶け込んでいて、刺激というよりは気分転換や癒しになっている。

仕事に関しては…あれ…?嫌な刺激でしかない…。

つまり、最近の刺激といえば、「やっかいな人から嫌なことを言われる」だけだったわけだ!うわ!最悪!笑


自分はつい最近までバレエをやっていたということもなんだか感覚的に忘れてしまっていた。
日課になっていたお風呂の後のストレッチも、お腹が大きくなってきてからはできなくなっていた。

そんな中、発表会の日がやってきた。

あっという間過ぎて、本当に前日まで忘れていた。
前日の夜中に、おい!明日じゃん!!!と直前に気づいて焦ったのと、台風で爆弾低気圧ということもあり、情緒不安定がすごかった。
夜寝る前にとんでもないよくわからない謎の不安に襲われ、えんえんめそめそしてしまっていた。笑


そして発表会の日、当日。

公演は、どうやら3時間程あったらしい…!
お腹が張ったりしてたまにしんどいと感じることもあり、身体的に時間が経つのは確かに感じていたが、
心の体感的には半分ぐらいに感じた。あっという間に終わってしまい、最初から最後までずっと楽しんでいた自分がそこにいた。


新しい知らない子もいるなぁ

あの子、去年よりめちゃくちゃうまくなってる…!もう1人よく一緒に踊ってた子とはまた違う魅力的な踊りをするようになってる…!

あの子は相変わらずうまいなぁ…すごいなぁ…あんな風に踊れたら楽しいだろうなぁ…

いつも一緒にやってた人たちも、たくさん踊っていて、すごいなあ。あんな動きもできちゃうの?わあ、すごいな…しかもうまくなってて観入っちゃうなぁ…

この照明の感じ、素敵だなぁ

うおお、この曲かっこいいなぁ

先生はやはり先生だな…!オーラが1人だけ違う…!!!

などなど。たくさんのことを感じた。


久しぶりの、気持ちのいい、刺激。


観終わったあと、来年は私も出たいな〜と思っている自分がいた。(いや、きっと無理だろうけどね…!)


観る前は、どちらかというとネガティブなことばかり考えていた。
「私、なんでバレエやっていたんだろう?」と思ったりなんかもしていた。
観る前に、その答えは出せなかった。

でも、舞台を観た後に、はっきりそれはわかった。

「踊るのが、楽しかったから」だ。

シンプル過ぎる答えだけど、ただ、それだけだった。


自分が少しだけ練習に参加した作品が一つだけあって、
客席から観たとき、こんな作品になっているんだなぁって感じたのもあるけど、
それよりもやっぱり、「そこに自分がいるように」観てしまっている自分がいた。
その作品だけは観客席にいるのに、舞台袖から観ているような変な感じだった。
自分だったら、どんな風に踊っていただろうなぁと思いながら、観ていた。




ここで話は少し発表会の話から離れるが、

私の母は、実はバレエの先生である。
(今所属しているバレエのグループとは違うところの)

私は、幼稚園の頃から地元の、母のもとでバレエをやっていた。

でも、バレエをやっていたことを人に言うのはいつも躊躇した。
身体はかたかったし、うまい子は周りにたくさんいて、
バレエをやっているなんて言えるほどのものじゃないんです私は…といつも思っていた。
自分の踊りが好きだと思ったことは一度もなかった。

いつも、周りのみんなはすごいなぁ、私ってなんでこんなにへたっぴなんだろう、と思いながら踊っていた。
先生が母、ということもあってか、いつの間にかバレエをやっていたので、「自分が、自ら好きでバレエをやっている」という感覚もあまりなかった。

それに、ガチガチのバレエという感じのグループではなく、基礎をしっかりやった記憶もあまりなかった。
(記憶がないだけで、もしかしたらちゃんとやっていたのかもしれないけれど…笑)

基礎もない、身体もかたい、へたっぴで、母のようにうまく踊れない、そんな私。

バレエをやっていることが、いつしか恥ずかしくなっていったのだった。

この感情は自分の中で解決・処理できる機会もなく、
私が中学生の時、親の離婚があり、そのままなんとなくバレエも辞めなければいけない状況になってしまった。


…でも、

私って、

本当は、踊るのが好きだったんだな。
本当は、もっとバレエをうまくなりたかったんだな。
本当は、もっと自分の踊りを好きになりたかったんだな。

…ということに気づいたのが、30歳目前で。

この感情をなんとかしないと私は後悔するんだろうな、と思った。
近くのバレエ教室を探して、勇気を出して体験レッスンへ行き、その日に入ることを決めた。

週1,2ぐらいのレッスンを仕事終わりに、夜遅くまでやって、バレエの発表会に出て…
そんなこんなやってたのが去年の私。



発表会を観て、そんな私がいたんだな、っていうこともやっと思い出した。
ちゃんとバレエやってたんだな私、ということを、心と身体が確かに思い出した。


こういう刺激が大事なんだな、と公演後に強烈に思った。

バレエをやるにはお金がかかる。
やらなければ、その分もちろんかからない。
他にお金がかけられたり、貯金ができたりするかもしれない。
これから先、子どもが産まれてから、その方が子どものためになるよね?と、自分を納得させようとしていた約半年であったのかもしれない。

お腹も日々大きくなって、有難いことに家族や周りの人からとても気を配っていただけるようになって。
ちゃんと「妊婦さん」になっていた。
それ以外の何者でもない、「妊婦さん」という名前の人になっていたのかもしれない。

子どものこと、それ以外にも結婚してからまだできていないこともあり、そのことも考えなきゃいけなかったり、
買え揃えないといけないもの。お金のこと。将来のこと。
調べなきゃ。勉強しなきゃ。考えなきゃ。準備しなきゃ。

こんな私で、大丈夫かな。

私が母なんかになって、大丈夫かな。


そんなことを、毎日、同じお家の中で考える。

いや、そりゃ、無理だよね!
私だめだ〜ってことしか考えられなくなるわよね。



公演後、不安で押しつぶされそうになった前日の夜とは一転して、とても晴れやかな気持ちになっていた。

身を削って生まれてきてくれる全てのものに、感謝の気持ちがぶわっと湧きあがった。
帰り道に聴いた音楽は、またいつもと違って聴こえた。



自分、定期的にこうやって「生モノ」に触れないとな〜と思いました。

そして、いつ復帰できるかわからないけれど、やっぱりまたバレエやりたいなって思いました。


でも実際、バレエって、やってると周りは上手い人ばかりで、楽しいよりも、落ち込むことの方が多いのも事実なのよね!笑

だけど、発表会を観て思ったのは、
「みんな違ってみんないい」だった。笑
またもやシンプル。笑

もちろんその中に技術的なレベルの差はあるかもしれないけれど、
その人自身が楽しんで、思いっきりやることが何より素晴らしいんじゃい、輝かしいんじゃい、と心から思ったんだよ…

それは自分がやっている時は気づけないことだった。

下手くそな自分の踊っている姿を観ると泣きたくなるけど、
復帰したときは、そのことを忘れないようにしよう。


本当に、ありがとうございました。

すべての何かを表現する人へ敬意を込めて!


BGM:
甘っちょろい私が目に染みて / NakamuraEmi

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