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『修羅の門』という化け物マンガの魅力 最終章

『修羅の門』/川原 正敏

このマンガについて、これまで2本のnote記事を書きました。

2章を書いてから半年以上経ってしまいました。
この記事が最終章です。

改めて・・・
マンガってホント、ビックリ箱みたいです。

「よくこんなキャラクター思いつくよな」
「よくこんなセリフ思いつくよな」

そして
「よくこんな展開思いつくよな」
そんな、まさに “神展開” があったのが・・・

『修羅の門 28巻』で描かれた
陸奥九十九(むつ つくも) VS イグナシオ・ダ・シルバ

この二人の戦いでした。
試合終盤で見せた、神展開には心底シビれました。

これからぼくは、そのネタについて書きます。
ネタバレしたくない人は、
ここで、「←(戻る)」ボタンを押した方が賢明です。







いいですか?
それでは書いていきます。

舞台はブラジル、バーリトゥード のトーナメントです。

バーリトゥードは、ポルトガル語で「何でもあり」という意味。
みなさんがイメージするのは
400戦無敗の男、ヒクソン・グレイシーでしょうか。

最小限のルールのみに従って素手で戦う、無差別格闘技大会です。
見た目は ほとんど “素手での殺し合い”

このマンガに登場する大会では、
目つぶしなどの反則も
1万ドルの罰金を払えばOKです。

そのトーナメントに
1000年無敗を誇る一族の末裔・陸奥圓明流(むつえんめいりゅう)
陸奥九十九が挑みました。

多彩な出場選手がズラリ

何でもありの格闘トーナメント。
様々なジャンルの格闘技から選手が出場します。

空手、柔道、元相撲取り、戦場で何人も人を殺した傭兵、
カポエラという格闘技の選手も登場します。

そんな中、陸奥は苦しみながらも勝ち上がり
いよいよ準決勝。
相手は、
神武館空手 ブラジル支部 イグナシオ・ダ・シルバでした。

イグナシオは身長2m近い巨漢の空手家、
ここまで圧倒的なパワーで対戦相手を力任せに粉砕し
勝ちがってきました。

すでにこの流れの中で、
周到な伏線は張られているんです。
ぼくは まんまとそれにひっかかりました。

重戦車の正体、実は・・・

この準決勝も
イグナシオは持ち前のパワーで陸奥を追い詰めます。

どっしりした構えから繰り出される
殺人的破壊力のパンチとキック、
これほどのパワーがあれば、テクニックなんかいらない。
多少攻撃をくらっても、
強靭な肉体でそれに耐え、力でねじ伏せればイイ。

まさに “重戦車” のごとき戦いぶりです。

しかし・・・
試合終盤、重戦車は思いもよらぬ器用さを少しずつ
見せ始めます。
カッコイイ言い方をするなら、ヴェールを脱いでいく。

あれ・・・?
意外と器用?
陸奥のスピードにも反応する?

ひょっとしてコイツ・・・
パワーだけじゃない・・・?

そう思った次の瞬間。

それまで大地を踏みしめるようにどっしりおろした
両足が少しずつ動き始めるのです。

ズ・・・
ス・・・

そして最後には、

ファッ

・・・っと両足が浮き、

とんとん

・・・と軽やかにステップを踏み始める!


画像1

                      ©川原正敏/修羅の門28巻


重戦車の正体は、
実は、魔術師(マジシャン)だったのです


これには全身の毛穴が開き、
文字通り、
ゾワッとなりました。

これまでのトーナメントの勝ち上がり方をみれば、
パワー一辺倒な空手家であることは一目瞭然。
堂々たる体格も含めて、全てがミスリード。

一方で、ヒントもちりばめられています。

イグナシオの師匠も、かつて魔術師(マジシャン)と
呼ばれていたこと。
空手の前はサッカーをやっていて、
そこでは華麗なテクニックをみせていたこと。

でも、いざ試合が始まってしまえば、
目の前の試合展開に、そんな前フリは全て忘れちゃいます。

そしてきれいさっぱり 頭から消えた頃に明かされる。

重戦車の真の姿。

ホント参りました。

ネタは明かしてしまいましたが、
それでも抜群に面白い
『修羅の門』バーリトゥード編。

ぜひ、読書の秋にどうぞ!

※イグナシオ編は28巻に収録。



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