新型コロナウイルスに思うこと──2020年は人類の軌道修正の年

 2020年1月後半に、初めて新型コロナウイルス流行の報道があってから1ヵ月余り、日々その情報に接していて、しみじみ感じることがある。
 この事態は、私たちの生き方に、否応なく「軌道修正」をもたらす働きをしているなと。

 まず、今年に入った当初から世界では、中東がらみで戦争になりかねないムードが進行していたのに、今や戦争につながる動きは静まって、ウイルスという〝人類共通の敵〟に対処するために、協力しなければというムードに一変している。
 また、感染を防ぐための対処法として励行されているのが、まずは小まめな手洗いとうがいという、とても当たり前でまっとうな衛生習慣。
お蔭で今年は例年になくインフルエンザにかかる人が激減するという、副次的効果が早速現れている。

 さらに感染の広がりを防ぐために「体調が悪い人は仕事や学校を休むこと」という、これまた当たり前のことを、厚労省からの通達で、強制的にみんなが実行できることになった。
  今まで日本では、少しぐらい体調が悪くても、症状を不自然に抑える医薬品を飲んで、仕事や学校に出かける人が後を絶たなかったから、この点では良い方向に転ぶキッカケになったと思う。

 そして、治療法が確定していない現状では、最終的に各自が「免疫力を上げるしかない」という風潮が広まりつつある。
 これもまさしくいい傾向で、これまでは少数派だった「医薬品に頼らず免疫力を高める生活」をする人たちの心がけが、これから社会のスタンダードになっていくかもしれない。

 確かに今回のウイルスは、〝肺炎なので重症化すると命に関わる〟〝一度かかっても免疫が作られない〟など警戒すべき点がいくつもある。

 それでも物事には良い悪いの両面があって、
「ピンチはチャンス」という言葉があるように、
今回の災難は、私たちが自分の足元を見つめて、
これまでの不自然な生活習慣を全面的に改める
【軌道修正】のキッカケとして働いている気がしてならない。 

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  ──というわけで、世の中全体に外出やイベントを制限する〝自粛ムード〟が漂う今日この頃。かく言う私も、本日予定していた娘との日帰り観光旅行を、迷った末に諦める決断をしました。たとえ自分たちは発症せずに済んだとしても、もしや知らぬ間に感染して、私たちの遠出を激しく心配していた79歳の母のもとに、ウイルスを運び込む危険は冒すまいと思えたので。
 一方で、月末に予定されている、敬愛する盟友の講演会には、諦めることなく参加を決めています。〝それは危険ではないのか?〟と聞かれても、そこには不思議と揺るがない気持ちがあるのです。

  こうしてみると、放っておくとどんどん増えていく用事やイベントに「感染予防」というフィルターを通すことで、「諦めてよいもの」と「残したいもの」の仕分けができることに気づきます。
  おそらく不要不急の行動がそぎ落とされて、自宅周辺で過ごす時間が増えることで、自分自身や家族と向き合う時間が作れた人も多いのではと思う。

  「流行」は、時の経過と共に、いずれは終わるはずのもの。
  その規模がどこまで広がり、いつ終息するのかはまだわからないけれども、元々清潔好きで、多種多様な善玉菌を飼い慣らしてきた日本人なのだからこそ、その被害が最小限に抑えられることを祈り願っています。

 今は自分にとって「本当に大切なもの・必要なこと」を見きわめつつ、ていねいに日々を過ごし、この「国難」を乗り切っていきましょうね…!                             (夏目祭子)
(2月27日追記)
 この記事の2日後に政府から「イベントの自粛要請」が出され、
上記の盟友の講演会も中止となり、安心した自分がいました。
 さらに今日は、全国の小・中・高校の春休み前倒し休校の要請まで発表されて、個々の家庭事情をめぐる弊害の救済は、各自治体や企業ごとの知恵と配慮に委ねられる結果になっています。
 ともあれ、今は行動を慎重にして「自分自身が感染しないこと」イコール
「感染を広げないこと」につながるのだと理解する。
 これはつまり「自分の身を守ること」が「全体のため」にもなるという事態になっているわけです。
 これまで「全体のために自分の身を犠牲にする」のが良しとされる時代が長く続いてきましたが、今の一連の非常事態が、結果的に「価値観の正常化」への方向転換のキッカケになるに違いないと、私は歓迎しています。


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