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中国初のデジタルノマド・コミュニティ

中国におけるデジタルノマド研究をしている大学院の研究生(呉蔚然さん)と一緒に事例を少しづつ集めています。ここでは備忘録的に中国語リソースを日本語でまとめながら、中国の動きを紹介していければと思います。

今回は湖州学習平台.“郷村振興|湖州有個DNA”.学習強国.2022-03-08.を日本語にまとめてくれました。

キーワード

デジタルノマド(数字游民)、田舎づくり(農村振興)

2021年12月に安吉デジタルノマドコミュニティ(Digital Nomad Anji、省略DNA)が開設された。竹木の加工工場をリノベーションしてできたDNAは「Co-working (聯合辦公)+ Co-living(共居)= DNA」という理念に基づき、中国初のデジタルノマド向けの総合コミュニティだという。

設立者の一人である許さんによると、デジタルノマドコミュニティ設立のコンセプトは「郷村升級」である。「伝統的な農村」から「農村機能高度化する農村(高能郷村)」へと転換する鍵は、人材であり、即ち人材誘致かつ人材確保である。誰もが憧れる詩的な「理想の暮らし」にすることである。

※農村振興とは地域の回復を意味するが、郷村升級は地域のアップデートというニュアンスで使われていると考えられる。

このような理念を踏まえて設立されたDNAには、2022年3月までデザイナー、カメラマンやプログラマーなど「高レベル・高技能・高収入」に属する人々が40人以上入居したという。また、DNAの近くにあるイノベーションセンター(ACDC: Anji Creative & Design Center)もこれからの地域活性化や農村振興に重要な役割があるため、デザインに関わる職業のデジタルノマドが最も需要が高いという。
「ここの美しい自然環境や田舎ののどかさがインスピレーションを与えてくれ」、「ここで同じ志を持つ人たちと出会い、一緒に自分のアイデアと経験を共有したり、さらに価値観や人生の意味など深い話もできたりしている」と入居者は評価する。

「中国全土で今後、都市化がほぼ実現した後も、約4億人が農村で生活することになる」と専門家は分析する。そのため、農村振興に関する政策が推進されているのである。2022年政府活動報告においても、農村振興の一環とする「農村建設行動スタート」が提言された(人民網日本語版2022)。農村振興に対する鍵となるノマドワーカーたちが、どのように作用できるのか、農村振興の先進地となる安吉の成長はもちろん、これから中国の農村振興においても期待されている。

参考資料

湖州学習平台.“郷村振興|湖州有個DNA”.学習強国.2022-03-08.

人民網日本語版.“中国、都市化実現後も農村に暮らす人口が約4億人”.人民網.2022-04-02.

DNA数字遊民.”我們在浙江郷下為数字遊民改造了一棟房子,然後等妳来”.安吉数字遊民公社.2021-12-02.


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