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「井戸」的オフィスから「焚き火」的オフィスへ

オフィスで働いているときにスマホなどでTwitterしたり、LINEしたりするのはけしからんと言われたり、またslackはチャンネルごとに雑談と仕事を成立させたようにオンラインのメディア・コミュニケーションに対して言われてきたり試してきたことが、リモートワークをしていくなかでオフィスというオフラインでも言われ始めました。

グリーンズの植原さんが書かれたオフィスとオンラインの今後について相互補完の関係になるという記事を拝見しました。

このように仕事そのものよりも信頼関係の構築やチームワークの向上を目的とした場所としてのオフィス(へのニーズ)はこれから増えてくると思います。

コロナ以前もオンラインを前提とした会社では定期的にオフラインでのミーティングや集まりを重視しているところが結構あったと思います。nulabさんのGeneral meetingなんかもその一例ですね。以前に少し参加させていただきましたが、社員同士のこれまで/これからのオンライン・コミュニケーションを意味づけるための「ハレ」としてのオフラインを非常に意識した経験デザインでした。

そうなると、オフィスは仕事をするためにいかなければならないものというよりも、そこでの会話や一緒にいることが目的になってきます。つまり、オンラインで仕事を進めていくことが広まっていくと、オフィスは必要な用件があって来ていた「井戸」的な場所から用件そのものよりも囲んで関係性を構築する「焚き火」的な場所になるのかなぁと思います。

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もちろん、井戸端会議という言葉のように「井戸」であっても水を汲む以外のことを楽しんでいたり、焚き火であってもそこで肉や魚を焼くといった「用」をしたりもします。喫煙所や給湯室、食堂、廊下やエレベーターなどでの出会いや会話を懐かしがったり、逆に?zoomで焚き火をしたりするのはこうしたことの表れなのかな、と。

メディア論的にはこれまでもケータイ研究で「インストゥルメンタル(道具的)」と「コンサマトリー(目的的)」ということが言われてきました。つまり、用件を伝えるコミュニケーションは「インストゥルメンタル(道具的)」、用件よりも好きな人と話せたとかおしゃべりを楽しむというようにコミュニケーションそのものを目的とするものは「コンサマトリー(目的的)」という見方です。

これからのオフィスは喫煙所や給湯室、食堂、廊下やエレベーターといったインストゥルメンタルな場所を解釈(使い方)によってコンサマトリーにするのではなく、コンサマトリーな場所を設計するという要素が強くなるかもしれません。ただしコンサマトリーな要素が重要だからといってそれを社員やメンバーに強制すると圧力、疲れにもなるのでそのバランスをどうするかがポイントになりそうです。

こうした場所のデザインはオフィスだけではなく、学校また街のパブリック・スペース、地域での観光、と他の領域でも同じく重要だと思います。

自分でも以前に記事のなかで「Without Online」、すなわち、これから日常的にオンラインがある生活を前提に、むしろオンラインがない意味を見出し、その場所・空間をつくる、という流れが出てくると書きましたが、その話の延長のようになりました。



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