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【随想】 「ウルトラセブン参上!」で思うこと

 『帰ってきたウルトラマン』第18話「ウルトラセブン参上!」に登場した“ベムスター”は、ウルトラマンが闘った最初の宇宙怪獣だという。第17話まではアーストロン、タッコング、グドン、ツインテール……等々、地球産の怪獣だけを相手にしていたのだ。これを地産地倒ちさんちとうと云う。それにしても意外じゃ。第1話しょっぱなから“悪魔のような”宇宙怪獣・ベムラー(そんな悪人ヅラには見えないけど……)と闘ったウルトラマン(初代)とは、エラい違いだ。
 さて、宇宙大怪獣・ベムスターに苦戦を強いられたウルトラマン(伝家の宝刀・スペシウム光線もベムスターに吸収されて効き目無し)は、より強力なエネルギーを得ようと太陽に接近する。しかし、あまりに近付き過ぎたため太陽に引きずり込まれそうになる。

「し、少佐、減速できません! 助けてください!!」

 と、ウルトラマンが言ったかは定かではないが、それにしても何というドジ! 「わ主、本当にM78星雲の宇宙人なのか!?」と疑いたくなるような迂闊さじゃ。
 このウルトラマン、闘っている最中さいちゅうも、常にオロオロと狼狽うろたえているように見える。なので、老生、ひそかに彼のことを

「帰ってきたウロタエマン」

 と呼んでいるのダ。
 そんなウロタエマンの危機一髪のところを救ったのが、

 我らがウルトラセブン!

 颯爽と登場したセブンに、当時の怪獣少年たちは「次回作は、きっと『帰ってきたウルトラセブン』に違いない!」と歓喜したモノだ。しかし残念ながら、『帰ってきたウルトラセブン』は実現しなかった……。無念!
 でもデモ、冷静に考えれば、このセブンの登場はあまりにも唐突すぎた。

「セブンは何で彼処あそこに居たの?」

 そう疑問に思ったのは、老生だけじゃなかろう。
 まぁ、自称“風来坊”の恒点観測員340号(=セブン)が、太陽付近に出没しても何ら不思議ではないだろう……と、無理やり納得したモノだ。太陽の引力に負けぬ風来坊。
 じゃが、それにも増して、史上最大の疑問は、

「何故、セブンが『いかなる宇宙怪獣とも互角に戦える』という“ウルトラブレスレット”を持っていたのか?」

 というモノだ。
 ウルトラブレスレットは、出張中、宇宙怪獣と出食わしても困らないようと恒点観測員の必需品になっていたのだろうか? まるで、熊よけの鈴みたいじゃ。出掛けるときは忘れずに。
 けど、セブンなら、あんなスーパー・アイテムを使わずとも、ベムスター如きアイスラッガーで簡単にぶった斬れるンじゃないかと、子供心に思ってたりもした。
 そう、アイスラッガーで斬れない物は、蒟蒻……じゃなくて、ダンのツラの皮。但し、ゴドラ星人が化けたダンの──。
 それに“特訓好き”で知られる体育会系(?)なセブンなら、ブレスレッドを渡すより、ウロタエマンに“特訓”をさせたのではないか──否、させない理由わけがない!

セブン(ダン)「この滝の水を斬れ!」
ウロタエマン「ぼ、僕には出来ない!」

 その顔は何だ!?
  その目は何だ!?
   その涙は何だ!?

 閑話休題それはともかく、 老生が言いたいのは、

「『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』は別の世界の話でいてほしかった」

 ということ。

 セブンはウルトラ兄弟に入っちゃいかんぜよ 

 もしも『ウルトラマン』と『セブン』が同じ世界だったなら、“侵略”をテーマにした『セブン』に“バルタン星人・・が登場しないのは不自然だし、“史上最大の侵略”前夜に340号(=セブン)にM78星雲への帰還を促す役は“セブン上司”ではなく“ゾフィー”だったはず。ん!?

 そうだ、ゾフィーだ!

 ああ云う危機的な場面(太陽の重力からウロタエマンを救うとき)こそ、宇宙警備隊隊長・ゾフィーの出番じゃないのか?

「宇宙大怪獣・ベムスターを追跡していた」

 とすれば、宇宙警備隊隊長が太陽付近に居たことにも納得がいく。自称“風来坊”の突然の登場より、よっぽど説得力がある。そう、大アリ。大蟻おおあり名古屋は城でもつ……じゃ。
 それに、ゾフィーならスーパーアイテム・ウルトラブレスレットを持っていても不思議ではない。なんせ、“命をふたつ”持って地球に来るほどの御仁おひとじゃから。

 あっ!

 そ、そういえば、『帰ってきたウルトラマン』に、そのゾフィーは登場していないのでは!?
 ウロタエマンの最大のピンチ(ナックル星人に捕らえられたとき)に、助けにきたのはウルトラマン(初代)とセブンのふたりだったし。 『ウルトラマンA』以降、地球にチョクチョク顔を見せているくせに(末っ子のタロウに招待されてノコノコ地球にやって来たくせに)、なぜ、ウロタエマンのピンチにやって来なかったのか? もしかしたら、

 ウロタエマンとゾフィーは不仲ではないか?

 つい、そんな邪推をしてしまうのであった。
 ──それとも、ウルトラ五つの誓い、

 一つ、他人の力を頼りにしないこと──か?

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