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小浜と発酵の魅力にどっぷりと浸かった2日間

8月4日(金)・5日(土)に「発酵する小浜の食事会〜小浜と韓国の発酵の世界〜」を開催しました。

このイベントは、発酵文化が根付いた小浜で、新たな小浜の発酵文化を生み出すべく、発酵プロフェッショナルである金宏美氏をお招きし、発酵の魅力を学ぶワークショップと、小浜の食材を金さんのルーツである韓国風にアレンジした、この日だけの発酵コース料理として食べることのできる特別な食事会の2本立て。

夜の「みんなのリビング」での食事会

かつて、豊富な若狭湾の恵みを朝廷へ納め、食を支えた「御食国」のひとつであった小浜。

北前船の寄港地でもあり、海と都をつなぐ「鯖街道」の起点として食文化が発展しました。現代のように車や保冷技術が発展していなかった時代、都まで運ぶ海産物を、可能な限り新鮮な状態であったり、旨味を最大に活かしたカタチで届けるため、昔から「一汐」や発酵を活用した加工技術が発展しました。


今回のイベントでは、その小浜の発酵文化に新たな光を当ててみようと、キムチはもちろん優れた発光食文化を持つ韓国をルーツに持ち、フードスタイリストで、日本発酵文化協会認定の発酵プロフェッショナルでもある、ASAYUFU発酵舎代表の金宏美氏をお招きしました。

金さんは、前職でアートキュレーターとして活動されていましたが、忙しい日々の中で自信の体調不良から甘酒と出会い、麹や発酵の力に魅了され、発酵の世界に進まれたそうです。それから、ルーツでもある韓国の発酵文化を取り入れ、おいしく、美しく、体が喜ぶオリジナル発酵食品も含めた日韓の発酵文化を伝えていらっしゃいます。

発酵のお話をする講師の金さん

日が傾き始めた18時。イベントがスタートしました。

ワークショップでは、韓国の伝統的漬物である、唐辛子が入っておらず辛くないキムチ“水キムチ(ムルキムチ)”の作り方を教わりました。

キムチの歴史や、韓国でどのように発酵食品が発達してきたのか、日本の発酵食品との共通点はなんなのか、発酵食品が体にもたらしてくれる効果などを聞きながら、色とりどりのお野菜をバイキング方式で選び、漬けていきます。

ビーツをたくさん選んだ方は鮮やかなピンク色に、白菜を選んだ方は優しいクリーム色に、コリンキーやニンジンを選んだ方は元気な明るい黄色に。

選ぶお野菜によって、参加者それぞれの“色”が出た、水キムチワークショップになりました。

好きな野菜を選んで自分だけの水キムチに!

食べ頃になった後日、カフェ利用で来店されたワークショップ参加者の皆さんが口を揃えて「おいしかったよ〜!」と報告しに来てくださったことが、ものすごく嬉しかったです。


食事会では、小浜市矢代で民宿を営む角野さんの“鯖のへしこ”や小浜市城内の上杉商店の“若狭小浜小鯛ささ漬け”、米酢一筋300年の歴史あるとば屋酢店の”壺の酢“などの伝統的な小浜の発酵食材を使用した、この日だけの小浜と韓国を良いとこ取りした、金さんアレンジの料理コース。

発酵食材だけでなく、お野菜もほとんど小浜産。

お酒も発酵食品で揃え、小浜のお酢を使ったサワーや米所福井が誇る日本酒、韓国料理とのペアリングを楽しむために2種類のマッコリも用意しました。


日中の営業中とはガラリと雰囲気の変わる夜のGOSHOEN。

空間・時間を楽しむため、“誰かと食べる”ことにより生まれる信頼関係を育むため、食事をシェアする韓国の文化に則り、今回の食事会では順番に提供される大皿を同じテーブルの参加者とシェアしていただきました。

テーブルでは、初めて会う人や一緒に参加した友人などが料理や発酵について会話を楽しんでいました。関係性は様々なのに、温かな食卓を囲むと仲良くなれるのはとても不思議。

“福井県産のお野菜を使ったジョン”と“へしこチヂミ”
取り箸の“古代箸”を使い、みんなで取り分ける

ワークショップから食事会まで参加してくださった方は、金さんから教わった発酵に関する知識を振り返り、ひとつひとつのお料理を同じテーブルの参加者と談笑しながら味わっていました。

普段とは違うライトアップされたお庭をゆっくりと眺めながら、発酵食品の魅力を見直す。新たな発酵文化の知識を学ぶことにより、馴染みある地元食材たちの新たな一面を味わっていただけたように感じました。


さらに、小浜の誇る食文化の一つである箸。

洋食のカトラリーのように、箸蔵まつかんの箸を食事に合わせて変え、お料理と箸の組み合わせによる楽しみ方をお伝えしました。

お客様をお迎えするのは、美しい意匠と丁寧な仕事が魅力の伝統的若狭塗箸の"夕凪"。繊細な使い心地と箸先の滑りづらさも特徴の京都清水銘竹の"八角"。取り箸には“古代箸”。

夕凪はキンパやチヂミ、福井県産お野菜を使ったジョンなどに、八角は〆の水キムチ冷麺に使用し、作り手の思いや製造工程の話を聞きながら、使用感を楽しんでいただきました。


日常の中で、箸の違いを感じ、一緒に食事する人と箸の話をする機会はあまりありません。

箸は食事を口へ運ぶための単なる2本の棒で道具だが、ただの棒ではなく、角数や素材、コーティング剤、滑り止めの種類など、箸それぞれに個性がある。

食事によって箸を選び、変えることで、口当たりや持ち心地が変わり、普段の食事がより一層楽しむことができる。箸蔵まつかんの伝えていきたい、これから皆さんに提案していきたい箸文化の一つです。


前菜の小鯛ささ漬けキンパとナムル盛り合わせ
使用したのは伝統的若狭塗箸“夕凪”
ビーツの鮮やかなピンク色がかわいい〆の“水キムチ冷麺“
爽やかさを演出するため、箸は京都清水銘竹の"八角"をセレクト

夜のGOSHOENで、いつもとは違う夜の庭や雰囲気の中で楽しむおいしい食事とお酒。


発酵文化が生活の一部になっている小浜での開催。

発酵食品が地域に根付いているからこそ、調理方法や見え方が一辺倒になっているかもしれません。

この“発酵する小浜の食事会”参加者の皆さんが、小浜と発酵食品の新たな魅力を発見してくださっていたら嬉しいです。

さらに、小浜に住んでいるからこそ、箸の魅力にも惹かれてくださっていたらと願います。

初めましてでも時間とお料理を共にして仲良しに


―講師プロフィールー

ASAYUFU発酵舎代表 金宏美

フードスタイリスト/日本発酵文化協会認定の発酵プロフェッショナル


日本発酵文化協会にて、発酵菌学・栄養学・エビデンスに基づいた知識とマーケティングを学び、日本と韓国の発酵食の研究を続けている。

15歳からイギリスへ留学し、美術を専攻。ロンドン芸術大学にてファッションとアートを学ぶ。

前職はアートキュレーターとして活動されていたが、忙しい日々の中で自信の体調不良から甘酒と出会い、麹や発酵の力に魅了され日本発酵文化協会にて資格を取得。

普段は東京のアトリエでワークショップを開講し、ルーツでもある韓国の発酵文化を取り入れた、おいしく、美しくなる、そして体が喜ぶオリジナル発酵食品も含めて日韓の発酵文化を伝えている。

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