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[2024/02/07] ロンボクだより(108):ロンボク地震を振り返って(岡本みどり)

~『よりどりインドネシア』第159号(2024年2月7日発行)所収~

(編集者注)本稿は、2024年1月8日発行の『よりどりインドネシア』第157号に所収の「ロンボクだより(106)」の続きです。2018年に起きたロンボク地震の記憶をつづります。今回がロンボク地震に関する振り返りの最終回となります。

みなさん、こんにちは。インドネシアはいよいよ来週、大統領選。勤務校でも「先生、誰に投票する?」と生徒たちに尋ねられます。生徒たちの間ではプラボウォ氏が大人気です。さて、どうなることやら・・・。

今回はロンボク地震のまとめです。あくまで私的な観点での振り返りとなりますが、お付き合いいただけたら嬉しいです。

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2019年、ロンボク地震から1年が経とうとする頃、私はたくさん義援金をいただいていたので、支援者に復興の様子を示す一つの形として、なんらかのイベントを企画していました。

日本では追悼式を行うけれど、こちらはどんなふうにするのかなぁ。

私はこちらの作法を探りたくて周りの人々に聞いてみました。ですが、一向にそれらしい答えが返ってきません。それもそのはず、どうやらこちらでは追悼式をはじめ、被災後◯年などのイベントはしないようなのです。

それでも何かのイベントを、と考えた時期もありましたが、それは私が「支援者の目」を意識しているからにすぎないと気づきました。あらためて被災者を見渡したとき、需要がないと判断し、イベントは行わないことにしました。

結局、本震から1年ちょうどたった日に、地元のNPOがイベントを開催しました。そのイベントは祈りのイベントでした。夜の浜辺に村の人々を集めてろうそくを並べ、イスラム教・バリヒンドゥー教・仏教それぞれの代表者たちがそれぞれの祈り方で同時に祈りを捧げました。

「やっぱり『祈り』なんだ」

私は静かであたたかな式を見ながら、被災地の暮らしに常に祈りが一本の芯として横たわっていたことを思い出しました。

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すでにロンボクでの震災から5年以上たった今、震災を振り返ると、真っ先にでてくるのは「楽しかった」という言葉です。

この言葉が出てくることに自分が一番驚いていますし、不謹慎ではないかと思う気持ちもあります。が、今の私の本音を正直に表に出すのなら、「楽しかった」です。

こう感じるのは私だけではありません。

村の子どもたちも、大人たちも「あれ、楽しかったね」と振り返ります。あれというのは、被災直後から数週間、同じ集落のみんなで丘の上で過ごした日々のことです。

被災二日目。丘の上で子どもたちと。

もちろん、トラウマを抱えた/今も抱えている人もいます。困難だったことは山のようにありましたし、反省点・課題点もあります。

なのに、ないないづくしで一番大変だった、被災生活の象徴的な数週間が、振り返ると一番「楽しかった」のです。なぜでしょうか。

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