食物連鎖

膝から下は植物を好み

膝上から胸までは肉を好み

それより上は無機物を好む

そんなこいつは全てのものから好まれる

こいつの膝から下は肉食動物が

膝上から胸までは植物が育ち

それより上は宇宙人がいる

こいつはでかい

ひとつの文明として、ひとつの星になっている

雨がふってきた

1人の少女がこいつに傘をさそうとする

無理なはなし

でも少女は一生懸命だった

やがて傘をさせずに雨がやんでしまった

少女もびしょ濡れ

こいつがふっと息を吹くと春の心地よい風が少女の体を乾かしていく

少女は嬉しそうに枯れた土を走り回った

花も水も枯れ果てたこの地を

こいつは少女のために宇宙に飛び出し綺麗な自然を求めた

それは簡単なことだった

少女のもとにもどりこいつは全てをあたえた

少女はすごく嬉しそうだった

こいつはそれが嬉しくて食物連鎖のことをすっかり忘れていた

地が狂った

マグマが吹き出し嵐がきて津波が全てをながしていった

少女はいなくなった

こいつは傘を今もさしている

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