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目に見えない味方

Boston Healthcare for the Homeless programの所長を務めるジム・オコネル博士(Dr. Jim O'connell)は、コロナウイルスの初期、戦々恐々としていました。何しろ、ホームレスシェルターで寝泊りする人たちはそもそもの健康状態がさほどよくない上に、栄養も非常に偏っているからです。大量の死者が出てもおかしくありません。

ところが、3月になってボストンやニューヨークで大量の死者が出始めても、ボストンのシェルターでは死者どころか、患者が一人も出なかったのです。4月に入ってテストキットが潤沢に出回り始めると、オコネル博士はシェルターに滞在する408人全員対して、PCRテストを実施してみました。すると驚いたとことに、147人、つまり36%もの人が陽性反応を示したのです。ところがこの147人のうち誰一人として、発症した者がいなかったのです。

驚いたオコネル博士は、ロサンジェルス、サンフランシスコ、アトランタ、シアトルなどの全米各地の大都市のホームレスシェルターに電話してみました。すると、結果はボストンの場合とほぼ同じでした。つまり、感染者や山ほどいるのに、発症者がほとんどいなかったのです。

スペイン風邪の時の記録

実はこれと同じようなことは、毎年のインフルエンザの時にも起きていました。世間でインフルエンザが大流行していても、なぜかホームレスたちは極めて軽症で済んでしまうのです。

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