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職場でのアメリカ人は基本的に「イエスマン」です

理不尽な上司に楯突いた武勇伝、時折ネットで話題になりますよね。

「なぜこの仕事をやるのか、必要性を感じません!」
「もう少し頭を使ってください!」
「そんなことも知らないんですか?」

こんな感じで「ガツンと言ってやった」てな話です。これ、僕自身もやってしまったことがあります。日本だとこれ、意外なくらいお咎めなしですし、それどころか上司が非を認めて謝ってくれることさえあります。私も若かった頃、頭に血が上って上司にキレたことがありますが、翌日その方が謝ってくださり、そこから建設的な話し合いに発展したこともあります。今考えてみれば、度量の大きな上司でした。

さてこの「上司にガツン」、オープンなアメリカ社会では頻繁にあるような気がするかもしれませんが...。

断言しましょう。ありえません。

アメリカ人は職場で基本的に超イエスマンです。上司がどんなに理不尽なことを言っても、面と向かって反論するなんてまずあり得ません。で、こんなツイートをしてところ、多くの米国企業体験者のからリアクションを頂きました。

たまには「ガツン」と言う人がいないわけではありませんが、あっという間に閑職に追いやられるかレイオフです。正当な理由なくしてクビにできないので、まずは閑職に追いやり、その上でさらに「この仕事は必要なくなった」とレイオフにします。レイオフになんかなった日には言い渡された直後からメールもサーバへのアクセスできなくなります。そして1時間後には私物をまとめた段ボール箱を抱え、会社の警備員にエスコートされて永久にさようならです。

どうせ辞めさせられるならガツンと言ってやるって? ところが、アメリカの企業では元の勤務先に電話して勤務態度等を聞くのが一般的なので、関係を悪くして辞めると再就職もままならなくなります。

だからみんな、日本ではちょっと考えられないくらい我慢します。私だって自分でも感心するくらい何度も我慢を重ねました。特に外国人は会社にビザのサポートをしてもらったりしていますから、グリーンカードが取れるまではひたすら我慢です。パワハラと言ってしまえばそうですがこれが現実なので、米国企業で働きたい方は、この辺りをぜひ覚悟しておいてください。

原因は?

原因は複数考えられますが、まず、部門長が人事権も予算も全て握っているのが最大の原因でしょう。要するに部門長は、中小企業のワンマン社長のような存在なのです。

また雇用流動性が高いので、辞めやすい、辞めせやすい、とう部分も大きいでしょう。辞めてくれたらラッキーってなもので、以前の職場から自分の意に沿う者を連れてきて穴を埋めます。90年代にスティーブ・ジョブズがアップルに復帰した時に、それまでアップルで幹部をやっていた連中がバッサバッサと切られてNeXTからやってきた人たちと総入れ替えになりましたが、要するに同じことです。

なお言うと、こういう在り方がそもそもアメリカ社会の成り立ちそのものなのではないか?という気もします。何しろアメリカの組織というのは政府から民間企業まで超トップダウンで「イヤなら辞めろ」が原則です。トランプ大統領の側近が頻繁に辞めたり首になったりして絶対的なイエスマンしか残っていませんが、要するにそういう社会なのです。なお、日本だと中学生が学校の先生を殴っても退学になりませんが、アメリカなら退学はもちろん、まず間違いなく警察に突き出されます。上の立場の者に楯突くというのは、それはそれは勇気のいる行為なのです。

では一体みんなどうしているのか?

では、一体みんなどうしているのでしょうか? 対策はいくつかあります。

1)とっとと辞める

馬の合わない上司が来たら速やかに転職先を探して、にこやかに握手して退職します。喧嘩して辞めると次に響きますから、とにかく笑顔で握手して穏便に退職しましょう。これ、かなり一般的な方法です。

実際のところ、あまりにもひどい人が上司になるとその下がドカドカ退職するので、問題視されてそのダメ上司が辞めさせられることもしばしばあります。間抜けな上司だとそもそもサバイブできないので、時間の問題でできる人に食い物にされて消え去ります。

2)プレーヤに徹する

もう一つの手は、とにかくプレーヤに徹することです。凡人はこれ一択でしょう。とにかく批判、批評めいたことは一切口にせずに黙々と仕事に励みます。上司を嫌っていることなどおくびにも出してはいけません。同僚と飲みに言って上司の悪口を言うとかもあり得ません。

米国企業で出世するような人間は力関係に極めて敏感ですから、敵と認定されるとロクなことありません。ポーカーフェイスで押し通すのが一番です。

あなたに辞められると困るくらいに実力が突出しているとかなり過ごしやすくなります。あなたの成果はその部署、つまり上司の成果ですから、優れた人材は貴重なのです。

3)さらに上に進言する

リスキーですが上司のさらに上に進言する方法もあります。この場合にも、直属の上司を貶めてはいけません。「彼のやり方でもとても良いと思うのですが、こうした方がさらに良いと思います」と、やんわりとアプローチするのが基本です。なお、ある日突然上司の上に直訴しようとしても基本的に聞く耳を持ってもらえませんから、実力的にもそこそこ突出し、社内政治にある程度長けている必要があります。あなたがこの手のタイプなら、このアプローチは絶対にアリです。うまくすれば自分自身にとっても大きなチャンスです。上に立っている人は思っているよりもずっと頭が柔らかく、聞く耳さえ持ってもらえるところにこぎ着ければ、意外な方向に話が転がることもあります。

なお、ただ愚痴るのは絶対に厳禁です。評価されないどころか、マイナスしかありません。必ず対案を出しましょう。その際には「信念に基づいて正しいことをしようとしているのだ!」と背筋を伸ばしてアピールです。アメリカ人って、こういうキリッとした態度に強い共感を感じてくれます。背筋を伸ばして相手の目を見て、堂々と振る舞うこと、本当に大切です。

4)人事部に言う

人事部(HR)に報告するのも一つの方法ですが、上司の言動がパワハラやセクハラだと言う確たる証拠がない限り、HRはあなたの味方にはなってくれません。HRは会社を守るために存在するからです。ただ、確たる証拠がある場合には上司が首にされることもあります。その上司の存在が会社にとってリスクだからです。

なお、「業務の効率が悪い」などの理由ではパワハラにもセクハラに該当しませんで、HRは何もしてくれません。それどころか上司にも報告が行き、あなたの評価が極めて低いものになるのがオチです。

英語は大事だけど、英語だけでもダメなんです

僕が16年間アップルで働いて痛感したこと、それは「英語力は確かに大事だけど、英語力だけは到底手も足も出ない」です。どうやって話すと上司に反感を買われないか。どうやったらうまく関係づくりができるのか? そう言う部分が本当に大事です。「やるべきことをやっていれば、いつかは誰かが認めてくれる」なんてカマトトみたいなことを言ってたらダメです。「やるべきことは当然シッカリとやり、その上でさらに効果的にアピールする」がポイントです。

実力主義は政治力があってこそです

どうでしょう?意外でしたか? どの国にも建前と本音がありますし、アメリカ人がみんなハキハキとものを言って報われているわけでもないのです。米国企業で出世を目指すなら、ぶっちゃけ日本の社内よりもずっと賢く振る舞う必要があります。好き勝手に放言してると、瞬間的に抹殺されるだけです。

アメリカでの実力主義は、政治力も「込み」なのです。実力があるのはもちろんのこと、胆力も話術もおべっかも全部必要なんです。こちらのツイートが全てを言い表していますね。


これが「ゲームのルール」です

昔、個人的に仲の良かった上司に社内政治について愚痴ったところ、 “This is how the game is played” (これがゲームのルールなんだよ)と言われたことがありましたが、まさしくそういうことなんです。このゲームが嫌だったら降りればいいし、やりたい人は頑張り続ければいいんです。この馬鹿げた出世競争のことを “Rat race”(ネズミの競争)と侮蔑感を込めて言いますが、全く渦中にいるときには、自分がネズミにでもなって必死にチーズでも追いかけている気分でした。ま、勝ち抜けばストックオプションで数億円相当とかもらえる世界ですから、必死になるのも無理ないですけどね。

Rat raceに参加したい方へ(いつもの宣伝です)

以上、アメリカの社内政治についてでした。もしもこの Rat Race に参加してみたい方がいましたら、オンライン英語教室 Brighture English Academy で、Business Coaching のクラスをぜひ受けてみてください。部下への指示の出し方から上司への進言の仕方に至るまで、具体的なやり方をコーチングしています。外資系に転職される方には特にオススメです。

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