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現在アメリカでも「かわいそう競争」が真っ盛りです

仮に次のような寄付のお誘いがあったとします。

あなたならどちらにいくら寄付しますか?

1) マラウイの食料不足は、300万人以上の子供たちに影響を及ぼしています。 ザンビアでは、深刻な降水量の赤字により、2000年からトウモロコシ生産量が42%減少しました。また、人口の3分の1にあたる400万人のアンゴラ人が、自宅から避難を余儀なくされました。 エチオピアの1,100万人以上の人々が即時の食糧援助を必要としています。

2)あなたからの寄付は、アフリカのマリに住む7歳の女の子ロキアへと送られます。 ロキアは絶望的に貧しく、深刻な飢餓、さらには飢餓の脅威に直面しています。 彼女の人生は、あなたの経済的な贈り物によって、より良い方向へと変わることができるのです。 あなたや他の思いやりのある方々の支援によって、セーブ・ザ・チルドレンはロキアの家族や他のコミュニティのメンバーと協力し、彼女を養い、教育し、基本的な医療を提供することを援助することができます。

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上記は行動心理学者のDeborah Small氏によって行われた実験の一部です。なお、1)の文章は被験者から平均1ドル17セントの寄付しか得られなかったのに対し、2)の文章はなんと倍以上の2ドル83セントの寄付を取り付けたのです。

冷静に考えれば、一人の女の子を救うために2ドル83セント寄付するよりも、マラウイの1000万人の方にもう10ドルずつほど寄付した方が、確実により大勢の人が救われます。しかし、実際に集まる額は逆になってしまうのです。

これと同じような例はいくらでもあります。たとえば、1989年にテキサス州に住む「ベービー・ジェシカ」が井戸に落ちた際には、彼女の救助活動に70万ドル以上を寄付が集まりましたし、2003年のイラク戦争で両親と両腕を失ったアリ・アッバス君には55万ドルの寄付が寄せられました。なお、対象が人間である必要さえありません。2002年には漂流船に置き去りにされた犬を救うために、なんと4万8,000ドル以上もの寄付が寄せられたのです。しかし、毎年交通事故で命を失う何千人という少年少女たちに、このような寄付が寄せられることはありません。

論文を読んでみたい方はこちらからどうぞ。英語です。なかなか興味深いです。
http://opim.wharton.upenn.edu/risk/library/J2007OBHDP_DAS_sympathy.pdf

僕らはストーリーに引き寄せられる

つまり僕らの脳は、統計の数値や事実よりも、特定可能な個人のストーリーに強く反応するように出来上がっているのです。

※この文章は単品で100円ですが、1000円でこのマガジンを購入すると、1ヶ月20本くらい読めるので1本50円です。

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