会社勤めとフリーランスは本当のところどちらの方がいいのか?
会社という組織を離れ、もうそろそろ10年になります。今は3つの会社を回しながら、物書きをする仕事をしています。基本的には今の生活に満足していますが、会社勤めを懐かしく思うことも時折あります。そんなわけで今日は、会社勤めと自由業のいいところ悪いところをそれぞれ考えてみたいと思います。
1)憂鬱な瞬間
サラリーマン → 日曜の夕方になると憂鬱
フリーランス → 曜日は関係ない
サラリーマン時代は日曜日の夜になると憂鬱でした。サザエさん症候群なんて言葉がありますが、僕もご多聞にも漏れず日曜日の夕方になると「あーあ。明日から会社か」と思ったものです。
自分でビジネスを回すようになってからは、曜日による気分のアップダウンはなくなりました。それよりも僕の気分は売り上げに連動していますね。もう9年半もこの生活ですのですっかり慣れましたが、最初のうちはよく眠れない日もあったものです。
2)労働日時
サラリーマン → 基本的に月〜金で朝から晩
フリーランス → 止めるものは何もない
サラリーマン時代は月〜金の、朝から晩まで働いていました。無論忙しい時にはこの限りでなかったですし、普段でも家に帰ってからメール処理なんかしてましたが、基本的には毎日「終わり」があったのです。また、大事な会議は月曜の午前中だとか、水曜日の朝は海外とテレカンとか、曜日や時間感覚がしっかりありました。
フリーランスになると、この手の日時の感覚は無くなります。特にライターとかプログラマなどの完全に個人でできる仕事は本当に日時の感覚が消え失せます。何曜日でも大差ないし、国民の休日とかも関係ありません。そんなものがあることさえ忘れてしまいます。なので、朝11時に起きてきてパジャマのままコード書いてるような生活になりがちです。
それより重大なのは締め切りですね。僕は今は締め切りがある原稿は1本しかないのでそうでもないですが、何本かあった時には当日の午前3時まで原稿を書いていたこともありました。納期のある生活をしている方は、締め切りにとことん振り回されています。
3)仕事を評価する人
サラリーマン → 上司の満足度
フリーランス → 顧客の満足度
サラリーマンの評価というのは、上司の胸先三寸で決まってしまいます。あなたがどんなに素晴らしいエンジニアでも、上司に嫌われると出世も昇給も望めません。周りの者から一目置かれていても関係ありません。
サラリーマンになって最初の10年くらいはこのことが全くわかっていなくて無駄に上司に楯突いたりしていましたが、外資系は基本的に上司のご機嫌次第で全て決まりますので、楯突いてると失職するがオチです。
サラリーマンは、何が上司ウケするのかきちんと把握しておくことが非常に大切です。そこが押さえられていると、それだけで昇進のスピードが変わってきます。
フリーランスになると、たった一人の人間に運命を握られることから解放されます。一方で全顧客に100パーセント満足してもらうのは非常に難しいことですが、顧客に信頼していただけると、この人たちからの口コミなどでさらに顧客が増え、収入も安定します。
もしも現在フリーランスで取引先が1社しかなかったら、早急に複数化しましょう。これだけで、収入も精神もグッと安定します。
4)仕事の規模
サラリーマン → 会社の規模に応じて、大きな仕事をやらせてもらえる
フリーランス → 基本的には小規模の個人プレー
サラリーマン時代で懐かしいのは、会社の規模が大きかったが故に、大きな仕事をやらせてもらえたことです。自分が開発に関わった製品がメディアで大騒ぎされて世界中で売られたりなんて、もう2度と体験することもないでしょう。この部分が一番懐かしいです。また、みんなで一つの製品を完成させた連帯感とかね。そういう諸々も会社勤めでないとなかなか味わえないことです。
一方個人の仕事というのはやっぱり、規模が小さくて地味です。アップルは僕が務めていた当時6万人の従業員がいましたが、僕の会社は3つ合わせてもやっと50人ですから、比較にもなりません。一人でWeb制作などを請け負っていたら、さらに規模が小さいでしょう。でも、その代わりに全て自分の好きにできるというメリットがあります。デザインから時間配分まで何から何までです。僕は規模が小さくても今の方がいいです。事情がよく飲み込めていない上司にわけのわからない指示をされて動くのはしんどかったですね。
5)経済的な安定度
サラリーマン → 毎月決まった額がもらえる
フリーランス → 明日のことはわからない
サラリーマンというのは定期的に一定額のお金が自動的に入ってくるのが、とにかく楽なところです。少しばかりサボっていようが体調が悪かろうが、決まった日がくると、必ずお給料がもらえるのです。日本の会社なんて基本的に首になりませんから、一度正社員になってしまえば、犯罪でも犯さない限り病気で寝込もうが遅刻が続こうが必ず給料がもらえます。
自営になって一番違うと思うのが、この経済的な安定度ですね。特にビジネスを始めたばかりの頃は、不安しかなかったです。一人顧客が増えれば小躍りし、ひとり減るとションボリしていました。眠れない夜も多々ありました。そして、この不安感を払拭するにはとにかく稼ぐしかないのですが、最初の頃は自分のビジネスが存在していることを知ってもらうのにさえ一苦労です。
ラーメン屋さんでも物販サイトでも、顧客をしっかりと掴んでるビジネスというのは本当に大したものです。小さな喫茶店や美容院のオーナーにだって、尊敬の念しか湧きません。この辺りの感覚は、脱サラして一番大きく変わった部分かも知れません。
もしもあなたがフリーランスになりたいなら...
もしもあなたがフリーランスになりたいのであれば、次の5つのハードルを乗り越えられるかどうか、自問自答してみてください。一つでも無理だと思ったら、多分止めておいた方が無難です。別にサラリーマンが悪いわけでもなんでもありません。上にあげた通り、まあどっちもどっちですから、自分に合いそうな方を選べって話です。
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