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ヒーローたちの系譜

アメリカ人はスーパーヒーローが大好きです。スーパーマン、キャプテン・アメリカ、バットマンなどなど。ダイ・ハードのジョン・マクレーン刑事や、スターウォーズのルーク・スカイウォーカーなどもこの系譜に入れていいでしょう。

彼らはみんな、一市民として慎ましい暮らしをしています。スーパーマンはカンザスの田舎で農夫の息子として育ちますし、キャプテン・アメリカはガリガリの一等卒です。バットマンは幼い頃に両親を殺された孤児ですし、ジョン・マクレーンに至っては離婚の傷が癒えていない、冴えない中年の刑事です。

ところが彼らはある日偶発的に人を助け、自分の能力や使命に気づくのです。そして、自分が残された最後の希望であることを悟ります。ところが、どのヒーローも一度は強敵に敗北するか、ヒーローとしての責任の重さに潰れかけて逃げ出します。

しかし、やがてどこかで目覚めるのです。過酷なトレーニングにより復活する者もあれば、メンターとの出会いによって啓示を与えられる者もいます。そして再び、強敵や、恐怖心や、己を疑う気持ちに打ち勝つべく、戦場へと戻るのです。そして勝利のあと、新たな決意を胸に秘めつつ、再び平凡な暮らしに戻っていきます。

6歳のヒーロー

これが、ヒーローの旅路の王道です。

そして、ヒーローの旅路をわずか6歳で体験してしまったのが、ブリッジャーくんです。こちらはちょうど1年ほど前にアップしたツイート。1万4千回もリツイートされました。

そしてこちらが、元となった彼の叔母からのメッセージです。

Bridger is a hero. How brave is this young man? #Repost @nicolenoelwalker Hey, all. Please, share my nephew’s story so that it gets as much exposure as it can. We know that our little hero would love some words of encouragement from his favorite heroes. On July 9th, my six-year-old nephew Bridger saved his little sister’s life by standing between her and a charging dog. After getting bit several times on the face and head, he grabbed his sister’s hand and ran with her to keep her safe. He later said, “If someone had to die, I thought it should be me.” After receiving 90 stitches (give or take) from a skilled plastic surgeon, he’s finally resting at home. We love our brave boy and want all the other superheroes to know about this latest hero who joined their ranks. 

僕の翻訳です。若干、意訳しています。

ブリッジャーくんはヒーローです。この子はどれだけ勇敢なんだろう?#Repost @nicolenoelwalker みなさん。私の甥っ子のストーリーをシェアして、できるだけ多くの人に見てもらえるようにしてください。私たちの小さなヒーローは、きっと大好きなヒーローからの励ましの言葉を望んでいると思います。7月9日、私の6歳の甥っ子ブリッジャーは、突進してきた犬と妹の間に立ち、妹の命を救いました。顔や頭を何度も噛まれた後、彼は妹の手を掴んで一緒に走り、妹を守りました。後で彼は、「誰かが死ななければならないとしたら、それは僕でなければならないと思った」と語っていました。彼は、ベテランの形成外科医から90針の縫合を受けた後、ようやく自宅で休んでいます。私たちは、この勇敢な少年を愛しています。そして、他のすべてのスーパーヒーローたちに、彼らの仲間入りをしたこの最新のヒーローのことを知ってもらいたいのです。

映画の中でスーパーヒーローを演じる俳優たちは、危険を顧みない彼の行動に、惜しみない賞賛の拍手を送りました。こんなところがアメリカらしいと微笑ましく思いつつ、戦いを終えたヒーローは早く日常に戻った方がいいのではないかと、ちょっぴり気がかりでした。

ブリッジャーくんのヒーローの旅路

そしてどうやら、ブリッジャーくんも他のスーパーヒーローたちと同様に、再び日常に戻ったようです。

傷もすっかり癒えたようで、柔術も再開した様子です。

そんなブリッジャーくんのヒーローの旅路は、実はまだ始まったばかりです。もう猛犬と戦うことはないでしょうが、彼の行き先には、さまざまな人生の苦難が待っていることでしょう。

彼はきっと、それらの苦難にも胸を張って立ち向かっていくでしょう。もちろんたまには敗北を喫し、尻尾を巻いて逃げてしまうこともあると思いますね。でもこの子は、まるでロッキーのように、何度でも立ち上がる気がします。そしてその都度、少しずつ強くなっていくのでしょうね。

僕らはヒーローではないけれど

僕らはヒーローではありません。戦場にも向かわないし、犬とも戦いません。終わりなきこの平凡な日常の中で、就職や結婚や子育てて悩んだり、さまざまな人間関係に翻弄されながら日々を過ごす一市民です。

たまには逃げ出してしまう日々もありますよね。でも、またエネルギーを蓄えたら、立ち上がって戦うとしますかね。ブリッジャーくんの屈託のない「その後」の笑顔を見ていたら、そんなふうに感じた土曜日の朝でした。

それではまた!

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シリコンバレー、フィリピン、東京の3ヶ所に拠点を置くBrighture English Adacemy 代表、松井博が、日々あちこちで感じ…

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