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引きこもりはなぜこんなにもたくさんいるのか?

僕がまだ中学生だった頃から家族ぐるみでお付き合いさせていただいている家族がいます。当時、この家族の父親はまだやっと50代になったばかりで、母親は40歳くらいだったような記憶です。小学校の高学年の息子Kくんと、中学年の娘さんSちゃんの二人のお子さんがいました。

このKくん、中学生の頃にイジメにあったのがきっかけで、このときから引きこもりになってしまい、30年が過ぎた今も引きこもったままです。Sちゃんの方は特に何もなくそのまま成人し、今では結婚して家庭を築いています。

現在Kくんのご両親はもう父親が80代で、母親も70代の半ばで、二人とも年金暮らしです。Kくんはもう40代の半ばの中年男性です。父親の方は最近足腰が急速に弱っており、介護施設に移らなければならないのは、時間の問題でしょう。この二人がこの世から去ったとき、Kくんは一体どのように生きていくつもりなのでしょうか?

引きこもりになってしまうキッカケ

現在、引きこもりの高齢化が問題になっています。実態は正確に把握されていませんが、一説では70万人に上ると言われています。ご両親を入れるとその3倍の210万人が引きこもりという出口のない苦悩を抱えて、現代日本を生きています。

なんとなく引きこもりというとこのKくんのように子供のうちからイジメにあうなどして引きこもってしまうケースが多いような気がしますが、キッカケは様々です。大人になってからの就職や受験の失敗、あるいはブラック企業でパワハラにあったり、職場にうまく馴染めなかったり、手痛い失恋をするなどが原因になって、家から出れなくなってしまうようです。

つまり、ある種の挫折体験が引き金となっているのです。

画像引用:内閣府 「第2節 若年無業者,フリーター,ひきこもり|平成27年版子ども・若者白書(全体版) - 内閣府」

引きこもりというと一種の甘ったれと感じる人が多いと思うのですが、コトはそれほど単純ではありません。人生の節目での挫折体験を通じて、社会と接することに強い不安感を抱くようになってしまい、家から出れなくなってしまうことが多いようです。実際、引きこもりを脱した人々の体験記などを読むと、本人たちも強い罪悪感に苛まれており、これもまた一種の地獄だとすら思えるほどです。

もしも自分が同じ状況に陥ってしまったら、生きていられないのではないかと思うほどです。自らの不甲斐なさを恥じて命を断ってしまう者は、世の中に大勢います。引きこもりの人たちは、その縁でかろうじて踏みとどまっている人と言ってもよいかもしれません。

かくいう僕も、かつて日本企業にどうしてもフィットできずに辞めたときには、挫折感に打ちのめされました。とりあえず実家に帰り、そこからアルバイトを探すなどして食いつなぎましたが、本当に苦しい時代でした。あんな状態が1年も続いたら、うっかりすると自分を殺めていたのではないかと思うくらいです。

僕の場合には、幸い仕事を斡旋してくれる友達や先輩などがいたので、頼まれるがままに英語の先生をしたりして食いつなぎました。また、スポーツ団体の海外合宿の通訳を引き受けたりして、1ヶ月ほどアメリカにいた時期もあります。こんなふうに日本から離れる機会を得たことで、うまく気分を一新させることができたような気がします。

その後も派遣を転々としたのですが、この頃のことは今思い出しても胸が苦しくなります。プライドが保てない時間って、本当に辛いものです。

ではどうしたら、日本は引きこもりに陥ってしまう人を減らすことができるのでしょうか? 根本的な原因を明らかにして、そもそも引きこもりに陥らないようにすることはできないのでしょうか? 

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