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観光産業の町で人口の半数の会員数をもつ総合型地域スポーツクラブ(#2/2)

(#2/2)

手段としての総合型地域スポーツクラブ

総合体育館や屋外スポーツ施設が整備された「いこいの郷総合運動公園」をPPP制度により管理しているのが、総合型地域スポーツクラブ(以下、総合型クラブ)である「ヴィスポことひら」です。ヴィスポことひらは、公園や各スポーツ施設の維持管理、スポーツプログラムの提供、それら全般の事務局を内包し、琴平町から指定管理を受けています。
※厳密には「こんぴらスポーツ財団」が事務局、その委託先として民間企業が存在し、包括しているのが「ヴィスポことひら」です。

琴平町の総合型クラブは、クラブのための施設建設ではなく“地域住民のいこいの場”をつくる過程で選ばれた手段であるようです。明確な記述はありませんが、この過程が本当だとすれば、“地域住民の誰もがスポーツに親しむことができる”社会の形成”を目指し日本のスポーツ行政で採択された「総合型地域スポーツクラブ」と似た順序やあり方を辿っているように思えます。

PPP制度の有効活用

ヴィスポことひらの根本には、以下4つの考え方があります。

①クラブは地域に根差した公的な性格を持つこと
②専従のクラブマネージャーを配置し、実力、能力を備えた地域に根付いた指導者を養成できること
③誰もがクラブ活動に参加できること
④運営資金は、自助努力によって確保すること

ヴィスポことひらの会費や施設利用料は、一般的(?)な総合型クラブよりは高いものにみえます。それを会員に納得してもらうために、また上記4つの考え方を達成するために、民間企業を全国から公募・選定し、安定的な高いサービスの質と自主財源によるクラブ運営が実施されています。

また、運営は民間に委託をしつつも、地域からの指導者を発掘・育成する「指導者バンク」や、会員からの意見を反映する制度も整っています。専門的な部分は民間のノウハウを十分に発揮してもらい、核となる部分や方向性は公がしっかりと管理する。PPPの性質を十分に理解し、その価値を最大限引き出す経営がされていると言えます。

近年、観光とスポーツは経済効果を生む産業として同じ土台で語られることが多くなってきました。そんななか、琴平町は「金刀毘羅宮」や「讃岐うどん」という中世から続く歴史ある資源を“観光”として確立させています。一方で、公民連携により外からのノウハウを積極的に取り入れることで、住民のスポーツ環境を整えています。真逆のアプローチのように見えますが、いずれも"本質”が何なのかをしっかりと考えたうえで効果的な策を選び続けていると言えます。

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