見出し画像

日本初の陸上クラブ運営会社、新潟アルビレックスランニングクラブ(#2/2)

(#2/2)

競技推進事業

新潟アルビレックスランニングクラブの事業は、大きく2つにわけることができます。1つは競技推進事業、もう1つは企画運営事業です。

競技推進事業として、まずトップアスリートとして雇用されている選手が16名います。この選手たちは「世界で活躍する選手」を目指して活動しています。雇用形態としては、競技にのみ専念するプロ選手と、地元企業に出向もしくは業務委託で勤務しながら競技を続けるセミプロ選手がいます。このトップアスリートたちが、市民や企業、自治体などに応援していただく一番わかりやすい象徴となります。トップアスリートの役割はわかりやすく、見る人やファンに感動を与えることだと思います。

次に、ジュニアスクールが新潟県内7ヶ所で展開されています。「陸上競技を通じて健全で豊かな心と体をはぐくむ運動能力・考える力や情緒・コミュケーション能力を向上させる」とされており、陸上競技を通して楽しく成長できる環境を地域に整えていると言えます。

そして最後に、大人のランニングスクールです。市民ランナーとしての競技力アップから健康づくりの一環としてなど、幅広い対象で地域にランニングのコミュニティを形成しています。

新潟アルビレックスランニングクラブは、新潟県内の幅広い地域でジュニア~社会人が日常的にランニングを楽しむ環境を整備しており、その頂点にトップアスリートを据えて共通の夢を乗せています。「総合型地域スポーツクラブ」に似た形ですが、「多種目」が抜けており、逆にトップアスリートという特徴があります。

企画・運営事業

各世代のランニング教室による「日常」の支援と、それによる会費・スポンサー収入だけではなく、企画・運営事業も柱として展開されています。

端的に言うと、スポーツイベントの企画・運営を行うことです。日常・教室とは対をなす非日常・イベントで、より広い方にスポーツへのきっかけを与えることができます。また、自社で主催をするだけではなく、地域・行政・学校・企業と連携(受託)して企画・運営をすることで、より多くのスポーツ機会を地域に創っており、専門的なノウハウで効率的に効果的にイベントを開催することで主催者の課題を解決しています。地域団体連携のハブとなることにもなり、地域の価値を最大化しているとも言えます。

具体的には、マラソンやウォーキングイベント、健康セミナー、スポーツ指導などの企画・運営を総合的に行っています。

収益構造

明確な決算記述を見つけることができませんでしたが、おおよそ以下のような構造になっているのではないかと思います。

①スポンサー
企業や行政・個人から、スポンサードされる形になります。スポンサーの対象は、新潟に陸上・ランニング環境を整えていることやトップ選手だと思います。また、冠イベントなどでの連携もあると思いますし、「キャリアサポート」としてクラブ選手の出向企業・セカンドキャリアを支援する形もあります。

②会費
ジュニア~社会人のランニング教室に対する会費です。

③企画・運営事業
スポーツイベントを開催したい主催者から企画・運営を受託する形です。

#1で書いた通り、日本の陸上競技自体がお金を生み出す構造になっていない以上、競技推進以外の部分でいかに事業を作っていくか、地域に価値を出していけるかが重要であり、③の企画運営事業はとても重要な役割を担っているのではないかと思います。また、地元にスポンサードされ、日常的な教室事業展開は、日本の陸上界で唯一の存在だと思います。

代表大野氏のnoteによると、2005年の第1期決算は売上高17,347千円の経常利益▲9,225千円というスタートだったようです。その後、2期目、3期目も赤字で事業方針を転換、現在は売上高4億円で経営しているとのことです。


新潟アルビレックスランニングクラブは、「ランニング・陸上により、地域の元気と健康を生み出す会社」です。この言葉が当てはまるのは、やはりこのクラブ以外に日本にはないと思います。

<基礎情報>
設立年月日:平成17年4月1日
従業員数:27名
トップチーム選手数:16名
※人数は2021年現在

(#2/2)

▼地域スポーツ事業の実施事例を調べて記事にしているマガジンです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?