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ポルノグラフィティ”暁”、松戸講演参戦記(1/2)

「おいおい、ポルノグラフィティがまた進化してしまったよ」

終盤になればなるほど、そう感じるライブだった。

※このライブに至るまでの経緯や、演奏して欲しい曲等々は、以下の記事に書いております。

今回は、言わずもがな最新アルバム「暁」を引っ提げたライブだった。前記事にも書いたが、「暁」は、ポルノグラフィティが新しい境地に達し、壮大さや美しさが際立っているアルバムだと思う。前作「Butterfly Effect」が、一回り大きくなった感覚だ。

また、今回はコロナ禍になってから2回目(SYBERを入れると3回目)のライブだった。

そんななかで始まったライブ1曲目「悪霊少女」。アルバムを聞いている限り、「悪霊少女」はもっと盛り上がるものだと思っていた(笑)。もちろん、めちゃくちゃかっこよかったけど、コロナ禍で声が出せないということ、悪霊たちが漂うセットもあり、思っていたより緊張感が強かった。

バトロワゲーム、カメレオン・レンズと、その緊張感が続き、ジョバイロ。これがうれしかった。”手拍子”での一体感を演出できる曲はコロナ禍にピッタリだし、初期の名曲は心が躍るものがある(ジョバイロだけに)。今思えば、このジョバイロは終盤戦への布石だったんだ。

そして、「Stand for one's wish」。今回、「暁」収録曲以外で唯一、ライブで初めて聞いた曲となった。発売された2007年のとき僕は高校生で、自転車での通学途中にMDで何度も繰り返し聞いていたことを覚えている。

世界の叫び声を今僕らは受け止めるべきだ
目を逸らし黙り込んでそばにある幸せだけを見ても
満たされない気持ちになる

世界の風を読んで僕らはどこへでも行けるんだ
彼方へ辿り着いても足場を踏み固めてそこに立つ
誰かが手を握ってくれる

ライブというのは、「曲と出逢い直す」場でもあると思う。音源とライブの印象は違うし、一度ライブで聞いた曲も、時が経って自分が変化したり、ライブのコンセプトやアレンジによっても、まったく違う印象になる。

自転車さえあれば最強だった高校生の頃の僕は、軽快なリズムで「世界の風を読んで僕らはどこへでも行けるんだ」と歌うこの曲に、突き抜けるような自由を感じていた。でも、今回のライブで聞いて、その対極である”足元”を大切にすること、世界からの”声を受け止める”ことの印象が強くなった。

「UNFADED」で「∠RECEIVER」と出逢い直したのと、同じ感覚だ。いや、むしろその「∠RECEIVER」によって、今回の出逢い直しがセットされたのかもしれない。歳を重ね、経験が蓄積すると、”こういうこと”が起こるからおもしろい。

※余談だが、この曲は一緒に「ウォー」と叫んでなんぼなところがある。今回のライブでは思わず声を出してしまいそうになった。ので、またライブでやって欲しい。

「サボテン」をはさみ、アルバムから「ナンバー」。前の記事にも書いたので詳細は割愛するが、今回のアルバムで僕が一番好きな曲だ。そして、映像がヴィジュアルアルバムと変わっていることにも気づく。これは、この後のアルバム曲も同じだった。

まだ浅い解釈しかできていないが、あえて映像を変えた理由は、”誰かを通した”、もしくは”誰かを対象にした”世界(どちらかというとヴィジュアルアルバムはこっち)ではなく、”ありのままの”世界中を、この壮大な暁の曲たちとともに、僕たちに見せるためではないかと思った。コロナ禍の閉塞感を突き破るように。

そして、次が「クラウド」。この流れで僕は果ててしまった(笑)。なぜかと言うと、今回のアルバム曲で「ナンバー」の次に好きな曲が「クラウド」だからだ。なんだかポルノグラフィティに見透かされているような気さえした(笑)

壮大な曲、美しい曲が多いなかにあって、優しくて儚い曲。このアルバムに「クラウド」がいてくれて本当に良かったと思うし、「ナンバー」からの流れはやはり最高だ。

「ジルダ」に続き、「うたかた」。東京ロマンスポルノ09以来なので、なんと13年ぶりの演奏だという。あの時は、確か琴とのコラボだった。ロマポル06でも、ライブ中盤で雰囲気を変える役割をもっていた気がするので、ポルノグラフィティにとって重要な曲なんだと思う。

続いて「瞬く星の下で」。後になって気づいたが、今回のライブでは”空”をうたった曲が多い。「こんなにも、晴れ渡ってる」「見上げれば空があって泣きたくなるほどの青さ」「振り向けば夕陽があって、燃えるような熱い赤」そして、「暁」。

はしゃぎきれない、声も出せない、数年前からすると異常なこの世界にいると、どうしてもコロナ禍と曲を結びつけてしまう。どんなときでも変わらずにある空と、変わってしまった世界。そんななかで、僕たちの心に”行く先を示すもの”は、変わらずに過去と未来が繋がっている空にあるのかもしれない。

それにしても、ここまでずっと緊張感が強い気がする。声が出せないことも理由としてあると思うが、「暁」の曲たちが壮大で美しく、聞き込むような曲が多いのも理由だと思う。

これは、ポルノグラフィティがファンである僕たちに新しい世界を見せてくれているということでもあって、歓迎すべきことだと思う。ただ、心のどこかに、ちょっと物足りないとか、いつも同じ目線にいたポルノグラフィティが少し遠くなってしまったとか、勝手な被害妄想も感じていた。

そんななかでMCでの「ここからもっと上げていく」という宣言と「zombies are standing out」という選曲。この曲は「カメレオン・レンズ」と並んで新時代?のポルノグラフィティが前面に出している曲である。系譜としては「LACK」になるだろうか。

会場の熱気が増して、いけいけ~!と思ったところで「メビウス」でまた少し落ち着く。そこからゴリゴリの楽器部隊の演奏から「証言」。この辺はもう、圧倒的すぎるのだ。こういうゴリゴリのアレンジは、系譜としては「音のない森」とか「Twilight」とか「鉄槌」とかだと思うのだが、今回の「証言」は、ヴィジュアルアルバムで表現されたようなどこか知らない彼方にいるような壮大さや、ライブ全体の構成からして、今まで以上に圧倒されてしまった。

※余談だが、「zombies」と「悪霊少女」が並んだセトリが見たいと、ふと思った。絶対盛り上がるし、かっこいい。

ここまでは、「ジョバイロ」や「Stand for one's wish」で心が踊らされる場面もあったが、おおむね新しいポルノグラフィティが引っ提げたアルバム「暁」に圧倒されるライブだったと思う。

長くなってしまったので記事を2つに分けようと思うが、この雰囲気が、この後の終盤戦でああも変わるとは思ってもみなかったし、いい意味で気持ちよくポルノグラフィティに裏切られた。

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