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独身男性が東京の銭湯を勝手に評価する(その10)

早いもので、シリーズ二桁に乗りました。本当に私はふだん何をしているのでしょうか。風呂から記事を書いているのでしょうか。今回は町なかに溶け込む銭湯を紹介します。

※新型コロナウイルス感染症の影響で、営業日や営業時間を一時的に変更している銭湯が多くなっています。本稿では最新の情報の発信を心掛けておりますが、実際の営業についての確認は各銭湯にお願いします。

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■ 小杉湯(杉並区)・・・銭湯図解でおなじみ。街に溶け込む銭湯の教科書【92点】

小杉湯、といえば銭湯業界でも知らぬもののいないほど有名な銭湯だ。

番頭に「銭湯図解」で知られるイラストレーターの塩谷歩波氏を擁し、クリエイターとコラボしてのグッズ展開、最近では隣接するカフェ・ワークスペース「小杉湯となり」をオープンするなど、昨今の銭湯ブームの火付け役にして銭湯業界をリードする小杉湯。

(銭湯図解ウェブサイト)

筆者も銭湯にハマって以来、雑誌やブログで取り上げられているのを度々目にしてきた。しかし住んでいるところから遠いため、ずっと訪れる機会がなかったが、たまたま近くに用事が出来たのを幸いに、行ってみることにした。

実際お湯はどんなもんかと思って行ってみたが、結果から言うと、やはり素晴らしい入浴体験だった。

外観からして宮造りの破風屋根で否が応にもテンションが上がる。中はしっかり掃除が行き届いているし、手すりなどバリアフリーも完備。下足場の靴箱の1つ1つに写真が貼られていたりする、細やかな気遣いと遊び心がうれしい。

(宮造りの外観)

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(靴箱の扉裏に写真が貼ってある)

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浴槽は温めのミルク風呂、熱めの日替わり湯に、水風呂。内装は白を基調としており、爽やかで美しい。

なかなかお目にかかれない名物ミルク風呂は、ずっと入っていたくなる肌触りが大人気で、筆者はもっぱらあつ湯と水風呂で交互浴にいそしんだ。人は多いものの浴槽が広いので、そこまで密感もなくととのうことができる。

日曜は朝8時から営業しており、ここで朝風呂をつかって商店街で朝食と洒落込めば最高の休日になるはずだ。

名物にうまい物なし、なんてよく言うが、殊ここに関しては、看板に偽りなしのクオリティとホスピタリティ。サウナもなければ温泉でもないけれど、そんなものがなくても人は集まる。まちに溶け込み、また自らがまちの一部として活気に貢献する、地域づくりに貢献する銭湯の好例だ。

それにしても高円寺の商店街、コロナ影響何のそのという勢いでにぎわっていたけど、コロナでこれだとふだんの人手どうなってるんだ…?

小杉湯
住所:〒166-0002 東京都杉並区高円寺北3丁目32−17
営業時間:15:30~25:45(※土・日は08:00~25:45)
定休日:木曜日


■ 大久保湯(台東区)・・・かっぱ橋道具街最寄りのシンプルな銭湯【75点】

調理道具の卸小売店が軒を連ねるかっぱ橋道具街。そこから徒歩数分のところにあるのが大久保湯だ。

一応浅草が最寄り駅になるが、周辺のどの駅(浅草、入谷、稲荷町)からも徒歩10分以上かかる立地。存在は知っていたけれども、ふだんなら稲荷町から寿湯や日の出湯に行ってしまうことが多かった。

そんな中梅雨の晴れ間に、ちょっと長い散歩がてら訪れてみたのである。時期が時期だけにかっぱ橋も観光客の姿はまばらで、大久保湯にも地元のお年寄りしかいなかった。

(建物外観)

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浴室には定番の富士山と松原のペンキ絵が描かれ、浴槽は日替わりの薬湯と白湯の2種類。湯温は40~41℃程度か、そこまで熱すぎない。

教科書のような王道中の王道だが、それだけに安心感がある。商人のまちを支える骨太な銭湯。また近くに行ったら寄ってみたい。

大久保湯
住所:〒111-0036 東京都台東区松が谷3-13−10
営業時間:12:30−23:30(※短縮営業時間)
定休日:金曜日

■ 香取湯(豊島区)・・・住宅街にひっそりとたたずむ町なか銭湯【75点】

JR・東京メトロ南北線の駒込駅から徒歩10分余り、不安になるくらい細くてくねくねした住宅街の路地を抜けていくと現れるのが香取湯である。

(玄関アーチが長め)

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シャンプーやタオルの無料貸し出しをやっているのが地味にうれしく、サウナも込みで500円ポッキリというリーズナブルさも光る。

浴室は白いタイル張りで清潔感たっぷり。カランは20程度、週末の日中だったが地元のお年寄りや親子連れでにぎわっていた。

奥に大き目の浴槽を置いて、浴槽内に白湯、ジェットバス、バイブラなどを設置するタイプ。打たせ湯もあったかな?使えないみたいだったけど。

逆に入口付近にサウナと水風呂が置かれている構造。サウナはかなり小さく、3~4名で「密」感が出てしまうが、定期的にマットが交換されて清潔感がある。出てすぐの水風呂は、ぬるすぎず冷たすぎずちょうどよい温度感だ。

派手でもないし小さいが、深夜までやっていてサウナも水風呂もある。近所にあったらとてもうれしい銭湯だ。

香取湯
住所:日本、〒170-0003 東京都豊島区駒込6丁目16−6
営業時間:14:00−24:00
定休日:金曜日

■ 堤柳泉(台東区)・・・豊富な湯種を楽しめる吉原近くの銭湯【84点】

東京メトロ日比谷線三ノ輪駅から徒歩15分ほど、いわゆる吉原の方向に歩いていったところにある「堤柳泉」(ていりゅうせん)。

このあたりは最近リニューアル工事のため休業に入った「湯どんぶり 栄湯」など銭湯の多い土地柄だ。

日本堤の見返り柳の泉、という粋な命名に反して、雰囲気はいたって庶民的で入りやすいビル型銭湯である。

(外観)

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下足所は1階にあり、靴を脱いで2階にあがるとフロントと浴室がある。更衣室がかなり広く、50以上ロッカーがあるんじゃないか?と思ったほど。

浴室は奥に広いタイプで、(男湯は)向かって左側にカランが並び、主に右側の壁寄りに各種浴槽が置かれている。浴槽は手前から水風呂、白湯、バイブラ、ジェットバスが並ぶ。さらに奥の左側に小さ目の薬湯、そして最奥に岩風呂が控える。

湯温はあつ湯でお馴染み台東区の例に漏れず少し高め。たくさんある浴槽にローテで漬かっては水風呂で交互浴、というスタイルがよくハマる。地下から汲み上げの井戸水を用いているそうで、肌馴染みがよく入っていて非常に気持ちがよかった。

訪れる客はほとんどが顔見知りのようで、互いに挨拶しあうのがよく聞かれた。

お世辞にも駅から行きやすい場所でもないし、ガッツリ年季が入った建物だしと、なかなか足の向きにくい外面なのだが、結局お風呂のクオリティが高ければ全てよし、ということなんだろう。

しかしさすがに真夏だと風呂上りの帰り道で汗をかいて永久風呂機関になってしまうので、行く時期は選びたいところ。

堤柳泉
住所:〒111-0031 東京都台東区千束4丁目5−4
営業時間:13:00−23:00(日曜、祝日は12:00から営業)
※2020年9月時点で、サウナ休業中
定休日:月曜日

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