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運命!2人のエコーの達人 #1

エコー無能者はできる人の力を借りるしかない

私が、皮膚排泄認定看護師の資格を取得したのは2008年。

その年に受講したセミナーで「看護師がエコーを使ってアセスメントする時代」という言葉がとても印象的でした。

早速、院内の超音波検査士の方へ褥瘡をエコーで観察したいとお願いしてみました。その時に手に持っていたのは、前日のセミナー資料のみ。

「え?褥瘡をエコーでみて何が分かるの?」

「DTI(深部損傷褥瘡)がわかるみたいなんです。」

「じゃあ、今日の褥瘡回診でプローブを当ててみるか。」


ほとんど、面識も無かった超音波検査士の方でしたが快く褥瘡回診に参加してくれました。

初めは、何が正しい画像なのか分からず、褥瘡写真とエコー画像を比較しながら照合する作業の連続です。

その時に学んだのは、プローブ操作が見た目以上に難しいこと。ほんの1mmの角度の差で画像がガラッと変化してしまうため、プローブ操作の練習が必要なこと。でした。

<プローブ練習STEP>

STEP1; 右手でプローブの持ち方。
STEP2; 左の上腕動脈と静脈をモニター中央に描出する方法。
STEP3; 長軸と短軸をスムーズに切り替える方法。


ひたすら練習しましたが、私にはセンスが無かったようでなかなか上達しませんでした。(センス大事みたい)

同僚の看護師からは「また新しいことをしようとしているの?」と若干冷めた言葉をかけられたりもしました。(全く気にして無かったけど。)


それから10年後。


2018年。手厚くご指導してくださった超音波検査士の方は定年退職となってしまいました。

結局、褥瘡エコーを完璧にはできず超音波検査士頼りだった私は、「エコーはもう使うことはできないかな。」と勝手に諦めていました。

しかし

褥瘡回診に新たに参加してくれたのは現在の相棒、臨床検査技師のSさん。もちろん、同じ病院で働いていましたがほとんど面識はありませんでした。

褥瘡回診をしながら、ある日Sさんはポロッと言いました。

「いつも、おむつ開けるとうんちが出てますね。」

褥瘡回診でおむつを開けるたびに少量ずつ便が付着し、褥瘡処置をする前に必ず排便の始末をするのが定例でしたが、私にとっては日常茶飯事。

「まあ、そうね・・・」

「エコーで便が見れないかな?」

それからのSさんは凄かったです。

自分の腹部や肛門部にプローブを当ててエコー画像と照合しながら、私の知らないところで研究に研究を重ねていた様子。

ある時、「一番便が綺麗に見える方法を編み出しました!」

Sさんが編み出したのは、

経臀裂エコー。

(肛門部にプローブを当てて直腸下部〜肛門までの領域を可視化する方法)

腹部からのアプローチで直腸内の便を観察する方法は、論文やメディアで発表されていましたが、肛門部プローブを当てる方法は発明と言えます。

さらに、エコー画像から便性まで推察することができるようになりました。

面識も無かった2人のエコーの達人。

「褥瘡」「エコー」「便」このキーワードで引き寄せられたかのように出会えたのは、やっぱり必然のようが気がします。

そして、3年の時を経て「排便サポートチーム」として院内で活動できるようになりました。この活動で、院内の刺激性下剤の処方量を約45%減らす事ができました。刺激性下剤で、多量の水様便による頻回なおむつやシーツ交換に要していた看護ケア時間を約1/10へ減らすこともできました。

だから、経臀裂エコーを使った排泄エコーを多くの看護師が活用してくれるように、これから連載していきます。

これがエコー無能者の私にできる恩返しです。

次回予告「排泄エコーで一目瞭然!3つの知りたい情報」

*排泄エコーナースClub(排泄ケアにエコーを活用したいNsになるための情報を受け取りたい方へ)
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