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マキシマリストゆえに物の足るは知らずとも、五十過ぎにして天命は知る

もはや無理ゲー

飲食業の存続率は、参入障壁の低さから1年で70%、3年で30%、10年で10%のきびしい世界です。

アサヒグループホールディングスが、その『いばらの道』から撤退することを決定しました。

資金力や集客力のある東証一部上場企業ですら、勝てるとはかぎらない業界なのです。


福岡出身でありながら、縁もゆかりもない沖縄にBARを開業したのが2007年。

その地が、全国一の飲食店激戦区だとも知らずに…

しかも、出店地が国際通り近辺と1等地のために家賃は高く、4年で資金がショートしそうになります。

「このままじゃヤバい…」

近場で家賃が格安の物件を見つけ、地場の金融機関から店舗移転費用と当面の運転資金を借り入れることに。

年利15%ほどで、引っぱれるところから引っぱれるだけ引っぱったあとの融資だったので、ぜんぶで700万円くらいに膨れ上がった高利の債務をこのままの状態で払えるわけもなく、店の引っ越しだけとっとと済ませると、あとは沖縄で知り合った右腕の番頭に店舗運営をまかせて、返済の原資づくりのため内地へと飛ぶのです。

それから、10年弱の歳月が流れ…

あれだけあった借金は完済し、ある程度の貯えもできたので凱旋しようとしたそのとき、とあることで預金の大半を吐き出さなければならない緊急事態が発生し、ふりだしに戻る。

そして、コロナパンデミック。



バッグの軽量化

事実上、経営権を譲渡していた番頭から「これからは、自分の人生を生きたい」と、1ヶ月後の戦線離脱を宣告されます。

残された道は2つ。

このまま店を畳むか?はたまた沖縄へUターンをして店を継続させるか?

現場から長いことフェードアウトしていて、また一…いやマイナスから基盤をつくって『一国一城の主』に返り咲く気力や体力はなく、なんといっても飲食店経営者の器じゃないことを今さらながら悟ると、後者の選択はありません。

一銭にもならないプライドで、『損切り』を先延ばしにしてきたツケを払うときがきました。

関係各所に廃業の連絡をし、閉店へのカウントダウンが始まるのです。


今回の移動には、『撤収イベント』にかかるコストを少しでも抑えるべく、LCCのジェットスターで行こうとしているのですが、タダで持ち込める手荷物の重さ制限がなんと7kgまで。

https://www.jetstar.com/jp/ja/flights/baggage

飛行機に乗るときのお供には、いつも“トゥミ”のバリスティックナイロン製トラベルバッグをつかいますが、複数のポケットや荷物増量時にマチ幅を広げられるギミックが付いているだけにそこそこ重い。

パーテーションやオーガナイザーとかいらないから、シンプルで軽いバッグがほしい。

そう、紙袋のような…

20歳のころは旅行鞄がなくて、ショッパーに荷物をつめては口をガムテープでとめて飛行機に乗ってたツワモノでしたが、50代になったオッサンがそれをやっては、ただシュールなだけ。



空でも自立するトート

紙袋みたいなバッグというと形状的にはトートバッグしかなく、荷物の運ぱんにも耐えうるトートとなると、“L.L.ビーン”のボート アンド トートしか勝たんだろう…と。

ボート アンド トートは、1番大きなオープントップしか持っておらず、このままじゃ機内の頭上キャビネットに入れられない。

ガムテープ代わりのジップトップを探してホームのヤフオクに行ってみると、『ネオヴィンテージ』なる20世紀の品が幅を利かせており、デザインやタグの微々たる差しかない中古品価格は現行定価よりも高く、そこら辺はどーでもいい身からするととても買う気になりません。

運よく公式サイトには在庫があったので、とり急ぎオーダーを入れるのです。

『大は小を兼ねる』エクストララージを。


業者とのスケジュールが合わず、立ち会いなしで荷物の廃棄作業はひと通り完了しているはずなので、あとはこまごまとした雑用だけでそう時間はかからぬだろうと、2泊3日で挑む『最後のお勤め』。

空港チェックインカウンターでの計量を、余裕の3kg台でパスしたボート アンド トートを肩からかけ、沖縄(那覇)行きの飛行機に乗り込むのでした。


《つづく》



noteを書いている中の人はファッショニスタではありません。レビュアーでもありません。 あえてたとえるなら「かろうじて美意識のあるオッサン」といったところです。 自分が買いたいものを買っています。 サポートしなくていいです。 やっていることを遠くから見守っていてください🐰