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その個性的なデカ厚時計を、オーバーホールしてまで着け続ける気はあるか?

ある日のことでした

「1999年7の月に恐怖の大王が来るだろう」という『ノストラダムスの大予言』も外れ、21世紀になった2001年の晩秋…

その日は雑誌Beginをパラパラめくっていると、ページの右下半分に載っているある腕時計に目がくぎ付けになりました。

シルベスター・スタローン氏が着けていると記されていた、“オフィチーネ・パネライ”。

のちに、デカ厚ブームの立役者となるブランドです。

ルミノールの個性的なリューズプロテクターに一目惚れをして、すぐさま記事に書いてあった問い合わせ先の総代理店ヴァンドームジャパンに、福岡の正規販売店を教えてもらおうと電話をしました。

話によると、福岡に“パネライ”の正規販売店はまだなく、九州は熊本に1軒あるだけでした。

時計の大橋は、福岡の時計好きなら名前は聞いたことがある大御所で、電話をすると「ルミノールの在庫は、40mmしかない」と言われたのですが、「とにかく、現物を見たい」と熊本へ車を走らせるのでした。

年が明けるとレギュラーモデルなら各1本づつは入荷すると聞き、カタログだけもらってそのときは帰路に着きました。

希望はSSルミノール44mmの自動巻きで、その条件だと『スタンダード』のマリーナに『役付き』サブマーシブルGMTパワーリザーブの4機種しか選択肢がありません。

サブマーシブルと2機種だけのスケルトン時分針、マリーナと2機種だけの白抜きスモセコの希少性が決め手になって、PAM00088 ルミノールGMTを押さえました。

着けていたのは、最初の5年ほど。

そのあとは、純正牛革ベルトとダブル式Dバックルを新調すると、着けることもなくそのままクローゼットで長い眠りにつくのでした。

これまでの時計ネタは、“フランク三浦”だとか“オメコ”などのパロディ時計で散々おちゃらけてきましたけど、今回ばかりは時計オタクとして有益な情報を発信していきたいと思います。



そうだ、オーバーホールしよう

PAM00088に搭載されているのは、“バルジュー”製ベースのキャリパーOP Ⅷです。

スウォッチグループが“ETA”パーツのグループ外供給を今年になって止めたので、ヘタをすると古い“パネライ”製品の修理には支障をきたすおそれがあります(現行は自社ムーブを積み始めたので問題ない)。

もう着けていないので、売ろうかとも思ったのですが…

とある民間修理業者が、“パネライ”オーバーホール割引キャンペーンをやっていて、見てみるとなにやら純正パーツを使っていたので、パーツが市場から消えるまえにOHを依頼するのでありました。

数ある民間業者の中からこのウォッチ・ホスピタルに決めた理由は、レビューはもとより一級時計修理技能士が作業にあたるのと、OH後にメーカー修理に持ち込んでも受け付けてくれる(ここ大事)という点でした。

会社が東京なので、見積もりのために精密機器ボックスを使って、無料集荷してくれます。

どこに住んでいても、カンケーない。

いい時代になりました。

ただ…

集荷にやってきた『ヤマト運輸』の制服を着た下請けの個人事業主のオッサンは、このシステムをよく分かっておらず、手づかみで時計を受け取ると箱にも入れず、控えも渡さず立ち去ろうとします。

「ちょっと待て!何かあったら責任取れんの?」

自分でその場で箱に入れて封をすると、控えを発行させて見送るのでした。


ネットを利用した買い物をするので、配送業者とよく接します。

最近感じることは、佐川急便20代の若手社員がマジでクソ(愛知・岡崎営業所だけかもしれませんが…)。

数人の地域担当者全員が、つねにふてくされていて口のきき方もロクに知らない世間知らず。

ネット通販をして、配送業者が佐川と聞くだけでテンションがダダ下がりします。

ヤマト運輸からの業務委託を受けている軽運送業者は、コロコロ代わって商品がよく分かってないし…

郵便局といっても配達は非正規雇用のはずですが、一番感じがいいです。

なにを間違ったか?たまにくる西濃運輸はそもそもBtoB専門業者なので、接客態度が悪いのは想定済み。

運送業界も人手不足なのが、ドライバーの質の低下からもよく分かります。



メーカーか?民間か?それが問題だ

うちのルミノールGMTは製造から20年経っていましたが、部品交換が必要だったのは裏ぶたのパッキン(これは、OHの度に代えるもの)のみで、ほかにダメージはないようでした。

6時位置のベゼルにガラステーブルで擦った深い線キズが数本あったので、ハイグレードの磨きを一緒にお願いしたのですが…ビカビカになって帰ってきました。

新品のようです。

それでいて、総額41,635円。

メーカーに出していたら、7万円くらい取られます。


よく、腕時計のOHを自動車の車検になぞらえて書かれてあるものがありますが、あれは車検のなんたるか?をよく理解していない人が書いている記事で、実は正しくありません。

車検は、無車検無保険の自動車を公道で運転したら運転免許を剥奪する重いペナルティを科すことで、税金の取りっぱぐれをなくしている政策というだけです。

諸外国には、ないことも多い制度です。

現に次の1年後や2年後まで安心して乗れるか?は関係なく、極端な話エンジンオイルやラジエーターにLLCが入っていなくても、検査ラインに乗せたときにエンジンさえかかっていれば、なんら問題ありません。

電球が切れているとかブレーキが効かない、マフラーが破れて有害ガスを排出している…など人様に迷惑をかけなければいいのです。

車検とOHが似ているとすれば、その目的ではなくどこに頼むか?によって変わる料金です。

同じ民間車検場だとしても、作業工賃の高いディーラー≒メーカーに頼むのか?安いガソリンスタンドやカーショップ≒民間業者に頼むのか?

どちらにするかは、オーナーの自由です。

民間業者は、どこでもメーカーより保証期間が短く価格設定を安くしているので低コストで済むメリットがありますが、信頼性が担保されないデメリットがあるので、気になる業者のことは納得いくまで調べてください。

正規品なら、腕時計を販売している代理店や百貨店でもOHや修理を受け付けてくれますが、請求金額にその店舗の手数料を上乗せされるので、あまりオススメしません。

メーカーに、直接持って行ってください。

尚、メーカーは平行物に対して受け付けなかったり、正規物よりも高い価格設定をしている『平行差別』がある場合があります。

一部の“ロレックス”製品のような、流通量が極端に少なくてプレミア価格ではないかぎりは、正規よりも販売価格が安いので仕方のないことです。

平行輸入品でも、買った販売店よりも民間業者に直接行った方が安くつくと思います(平行の腕時計を買わないのでよく分かりませんが、大手の平行販売店なら自前の工房を持っている所もあるので、その場合は安いかもしれません)。


今回は、個人的にアタリを引いたオーバーホール業者の話でした。

ちなみに、これはPR案件ではありませんのであしからず。



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