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旭山動物園と『ニューエイジ運動』

1:2泊3日の強行軍


※内容を適宜追加修正していきます。ご了承ください。

去年(2022年)、ポコチャとツイッターで知り合った札幌の友達と「そのうち俺も遊び行くわ」という話をしていた。
他の友達が何人かその友人のもとに遊びに行っていたので、行きたくなったのである。

今年(2023年)の正月明け、インターネットでホテル+航空券の格安ビジネスパックを見つけ、元々仕事がヒマな2月のシフト上の連休に合わせて、ホテルなどの予約が困難になるであろうさっぽろ雪まつりの時期を外して、日程を組み、友達にも了解をもらって札幌に行くことにした。
2023年のバレンタインデーから2泊3日で道央を回ることに決め、
・友人と飲み会
・旭山動物園見物
・小樽地区観光
・留萌本線乗車
の3つ、可能ならば4つを行うことにした。
今回は旭山動物園で感じたことを中心に書く。

2:旭山動物園にて

かつて『樹海』だった満洲。大森林や湿地帯や草原もあった。
そこはある人にはユートピアだったが、その実態は植民地だった。
清朝の末期から移住や耕作が本格化し、中華民国の混乱の中で日本から入植者が入り出した1930年代には広大な農地が大豆などの生産に充てられ、生態系の破壊や植民地化といった『暴走』が起きていた…(参考『満洲暴走 隠された構造』プロローグより)

今までの日本の動物園のスタイルと比べると異色の存在である旭山動物園の中の展示を見ていくうちにこの構図を思い出した。

かつて蝦夷地と呼ばれ、アイヌの人たちや多くの野生生物が冬は−40℃近くまで気温が下がる過酷な気候の中で生きてきた北海道だが、彼等独自の生活習慣を保ってきたところに『内地』からの入植や商取引の為の人の移動・流入が起こり、その中でアイヌの生活空間が狭まり、武力衝突や事件なども起き、その後は『和人(シャモ)』がアイヌを抑圧する時代が続くことになった。
旭山動物園では、主に北海道の内地の勢力(例 明治政府や内地資本)による『開発』と野生生物の生態系の破壊の問題が動物達の展示と合わせて説明されている。
この『不都合な真実』を見て見ぬふりをすることはできない。
それを合わせて北の大地を見ていくことが、俺たち内地の人間には必要なことなのかもしれない。

もう一つ思い出したことがある。
それは、人類の環境破壊に対するアンチテーゼとしての『ニューエイジ運動』のことである。

2022年秋にJR東日本パスを使って2泊3日の東日本縦断を敢行した際に読んだのが『カルト資本主義』(著者:斎藤貴男氏)であり、今回再読した。

旭山動物園が紹介している北海道の入植の歴史と生態系の問題は、科学万能主義の負の側面の一例ともいえるだろう。
私達が現代文明の中でしでかしてきたこと(公害問題や環境破壊)の反省からエコロジー運動が興るのは必然だった。
私たちは、今そこにある不都合な真実を踏まえて、現代の科学技術や生態系に関する研究を踏まえて『ほどよく破壊する』という現実を受け入れることを頭の片隅に入れておく必要がありそうだ。
自分たちの生活が、他の生命や地球環境を犠牲にした『ほどよい破壊』の上に成り立ってきた現実に耐えられない人も出てくるだろう。
そこに付け入ってくるのが、耳触りの良い甘いメッセージを囁きかけて人々を泥沼に引きずりこもうとする『ニューエイジ』の集団であり、彼等の危険性を知っておく必要がある。
実に厄介なことだ。

ちなみに、『カルト資本主義』では『ニューエイジ』の延長上で『EM菌』のことが宗教団体『世界救世教』の路線対立と絡めて触れられているが、これも環境問題を荒稼ぎのネタにしてきたカルト集団の問題ととらえるべきだろう。
『EM菌』などの大ブレイクの仕掛け人として、極めて優れた(悪い意味で)コンサルタント・船井幸雄の存在も大きい。
興味がある方は合わせてご一読いただきたい。
個人的にも船井幸雄という謎の人物や稲盛和夫がなぜ持ち上げられてきたかについて知ることができて有益な本だった。

3:パンデミックの中の奇妙な集団


2020年からの2019新型コロナウイルスのパンデミックの中、『反マスク』『反自粛』『反ワクチン』『反PCR検査』などでツイッターの中で影響力を持つユーザーやその集団(例:『国民主権党』『神真都Q』)の動きを、半ば興味を持って観察してきた。

今思えば、彼等は『マスク着用』『PCR検査』『ワクチン』といった『科学的』防疫手段へのアンチテーゼである『ニューエイジ思想』の歴史の中で捉えて理解しようとすることができると思っている。
無論、彼等は見ようによってはカルト集団であり、自らの主義主張のためには反社会行為をためらわない危険な集団だといえる。

私たちが科学とどう付き合っていくか、カルト集団をどう受け止めて勢力を削いでいくかが、このパンデミックを振り返る中で見えてくるのではないだろうか。 

参考までに、『反マスク』運動について興味深いツイートがあったので紹介しておく。

パンデミック下の『反マスク』『反自粛』『反ワクチン』運動は、自然志向・エコロジー志向の人たちにとって、『あるがまま』の世界に戻りたい欲求を刺激したのだろう。
荒唐無稽かつ反社会的なイデオロギーが甘美な福音に見えるのも無理はないのかもしれない。

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