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love letter / 渇き。

家庭も職も失った元刑事の男の元へ、元妻から一本の電話が入る。一人娘が失踪した、と。娘を調べるうちに、優等生とうたわれる加奈子の信じられない実態が明らかにされていく。加奈子は一体どこにいるのか、これはほんとうに加奈子が起こした出来事なのか。

映画「渇き。」へ。

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狂っていたのは、加奈子だったのか?


関係のない人間たちを陥れ、加奈子の歩く道の後には惨殺された人たちが転がっている。それでもなお、人を魅了し惹きつける。視覚的にももちろん異常で、登場人物が次々に口にする加奈子への憎しみや恐怖「あいつはおかしい。」「加奈子なんか死ねばいい。」「あいつは俺が殺す」が私たちの直感を肯定していく。

ああ、やっぱり加奈子は異常だったんだ。絡めとるように人を寄せつけ狂わせていく。と、思っていました。

けれど。

なんだか、それ以上に気持ち悪い。ベトベトの気持ち悪い何かが、薄い膜のようにに張り付いているみたいな感じ。

みんな加奈子を求めているのに、誰も加奈子を見ようとしていない気がした。誰も彼も自分の都合だけで加奈子を語り、拒絶し、求めている。

最後まで父親の前に加奈子が現れないことも、加奈子が人として描かれず幻想のように見えました。人をうつす、鏡のようでした。痛みによって目を覚ました瀬岡くんだけが、加奈子を知ろうとするけれど。

狂っていたのは、加奈子だったのでしょうか。

分からなかった。ちっともわからなかった。誰の気持ちも分からなかった。誰も普通だとは思えなかった。

分かったことは、ただひとつ。

いつでも事件は突然起きたりしない。誰かの狂気が吹き出す時。誰かの傷が、塞ぎきれなくなった時にそれは起きるということ。誰が狂ってることなんて、本当は映画みたいに見ぬけない。自分が狂っていることなんて、気付いた時にはもう遅い。

さて、

渇きとは一体なんだったのでしょう。潤わない望みのことでしょうか。

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ハ〜〜!!役所広司がなかなか死なない。この役所広司ぜひ「来る」に来て欲しかった!!ああ〜〜無敵広司!!

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