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「アレンの日記」その1

昔々、あるところに勇者様がいました。

その勇者がいた国や時代には「魔王」が住んでいて人たちを困らせていました。

あるとき、王様が勇者の「勇敢さ」と「強さ」を認めてこう言いました

「勇者よ、お前の力を借りたいんだ」

「是非ともあの魔王を倒してこの世界に平和をもたらしてくれ」

勇者は「できるのは自分しかいない」と強く思い

王様の護衛の騎士達をひきつれ魔王を倒すために旅をしました。

旅は過酷で辛くおびただしい犠牲を出しながらも

なんとか魔王を倒すことができました。

勇者は魔王を倒し「宝石」をたくさん持ち帰りました。

その宝石を王様に献上して自分の功績としました。

そして魔王がいなくなったことで国に平和が訪れるようになりました。

しかし、魔王がいなくなったことによってもたらされたのは平和だけではありませんでした。

魔王がいなくなったことで共通の敵がいなくなると今度は隣国との争いがはじまったのです。

勇者の国の王様はまた勇者に言いました

「勇者よまたお前の力を借りようと思う」

「我が国に侵略しようとしてくる隣国を倒してくれないか」

勇者は「自分が必要とされている」と強く思い

自分のため、そして国のために戦いました。

戦争は過酷でした。

食べるものも薬も足りない戦場で勇者は仲間を何人も失いましたが

最後の最後に敵の総大将を討ち取ることができたのです。

勇者はその国から「財産」を持ち帰り王様に献上しました。

そして、魔王と隣国

2つの脅威を退けた勇者は思いました。

「これで真の平和が訪れるはずだ」

そう信じていたのですが実際に街を見渡すとそれは夢物語だったと気づかされるのです

魔王に土地を荒らされて

戦争で家を焼かれて

家族を失った子供が道端で泣いています。

見える景色はいままでの国よりも

「悪く」なってしまっていたのです。


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