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夢のマイホームが欠陥住宅?注文住宅でよくあるトラブルを解説

夢のマイホームをイメージ通りに建設したい方は注文住宅を購入する方もいらっしゃいます。注文住宅は建設費が高くなりますが、住宅購入者が自由にデザインして、建築できるというメリットがあります。

しかし、注文住宅に引っ越してみると欠陥が見つかることがあります。実際のところ注文住宅であっても建売住宅であっても欠陥が見つかることはよくあることです。小さな欠陥やトラブルであれば、簡単に修理ができます。

しかし、より重要な欠陥が発生したとき、その損傷が広範囲であるか、または物件特有の構造的完全性が問題なのか、簡単に修復することができるかどうかを知ることが重要です。

注文住宅の欠陥は保証でカバーされるのか?

注文住宅の建設を担当する工務店や建設業者は建築販売契約において、契約書とは別に保証書を発行することが一般的です。注文住宅の欠陥については、2000年に制定された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」によって、建築業者が負うことが明記されています。

したがって、注文住宅の保証に関する契約書が発行されない場合には問い合わせするか弁護士などに相談しましょう。

保証期間は注文住宅のすべての箇所や設備、建設作業について一概に規定されているわけではなく、それぞれについて1年、2年、10年と規定されています。契約内容によりますが、一般的に購入者は以下の保証を受けることができます。

  • 建材などの材料に関する保証…1年

  • 機械的欠陥(配管、電気、暖房、空調、換気システム)に関する保証…2年

  • 住宅の構造的欠陥に関する保証…10年

保証期間を確認すると、塗装、屋根、フローリングなど、欠陥が生じやすい部分の保証期間が最も短くなっています。建設業者から保証書を受け取った場合は、その保証期間を確認し、何が補償され何が除外されているのかを確認することが重要です。

建設業者が修理に応じない場合

注文住宅に欠陥が発生して、工務店や建設業者が発生したトラブルに対応しない場合には記録に残る形でクレームを入れましょう。その時の対応方法は以下のとおりです。

  • メールなどをコピーして、やり取りを記録を残す

  • 業者と直接会って話をすることが可能である場合でも、手紙や電子メールで連絡を取り、 記録を残す

  • 保証業者に連絡する前に建設業者と徹底的に問題を追及したことを証明する

  • 第三者である専門家に、不具合を確認してもらう

  • 感情的に怒りや罵声を浴びせるのではなく、丁寧にアプローチする

このように記録に残すことで、最悪の場合に裁判を起こす事になっても、証拠として記録を残すことができます。

外観

外観は住宅の見た目を決定する重要な部分です。外観に欠陥やトラブルが発生した場合には、新築にもかかわらず安っぽい見た目になってしまいます。

外観の欠陥は引っ越しの後に気が付きやすい部分でもあるので、建設の段階から慎重に欠陥を探すとよいでしょう。

羽目板の施工ミス

羽目板とは、壁や天井に張るための板のことで、パネルのように並べて張り合わせて使います。板の両側に凹凸のくぼみをつけてあるのが特徴です。

重厚感・高級感のある仕上がりにするスタッコが正しく塗装されていない場合には剥がれてしまったり、砕けてしまったり、窓やドアの角の部分にひび割れが見られることがあります。

羽目板が木製の場合には、ひびが入ってしまったり、湿気によって膨張してしまう可能性もあります。羽目板と窓やドアとの取り合いの部分を確認して、塗装に問題がないかを確認しておきましょう。

デッキや庭の隙間やひび割れ

新築の場合、家の周りやガレージの屋外の床材に隙間やひび割れがあることも問題です。デッキや庭と家の間に大きな隙間があることがあります。さらに、デッキや屋外の階段の手すり、歩行スペース(車道や歩道など)、ガレージの床などに亀裂や隙間がないかどうかを確認しましょう。

コンクリートのひび割れは、土壌の問題やコンクリートの不適切な施工が原因である可能性があります。ドア、ホース用の水栓、パイプ、窓などの器具の間に隙間がある場合は、湿気や雨が原因で水の浸入がある可能性があります。

歩道や車道の亀裂

コンクリートのひび割れや亀裂は、土壌に問題があったり、コンクリートが適切に施工されていないことが原因かもしれません。多くの人が知らないかもしれませんが、コンクリートは天候、特に気温の変化によって、膨張したり、収縮したりします。歩道や車道用のコンクリートが一塊に注がれる場合には、膨張や収縮によって、表面上に亀裂や破損を引き起こす可能性があります。

排水や整地の問題

住宅内で発生した水が家の外に排出されること、そして雨樋(雨水を集めて排水させる筒状の建材)が水を逃がすように設置されていることを確認する必要があります。地下室や床下が常に湿気に晒されてしまうことがありますが、これは整地(土地を平らにならす施工)が正しく行われていない可能性があります。

例えば、金属製、ビニール製、木製の羽目板は、地面の土の高さから最低でも15インチは必要です。また、住宅から約10インチ離れて水の流れを作る斜面がないといけません。

ただし、整地が適切に行われている場合でも、最初の数年間は家が少しずつ沈むのは当然のことです。このような場合は、住宅の基礎の周りに土を足して埋め、排水機能を維持する必要があるかもしれません。このような修理工事をしないと、地下室が濡れてしまうことがよくあります。このため、建設後数年間は、どの程度沈下するか確認するまでは、家の周囲に直接敷地を造成するのは控えた方がよいでしょう。

内装

実際に住んでみると住宅の内部で問題が発生し、快適な生活が送れないことがあります。中には建設業者に責任がない経年劣化によるトラブルもありますが、引っ越しの後すぐに問題が発生した場合には施工段階でのミスを疑いましょう。

乾式壁のひび割れ

乾式壁とは、水を用いないでベニヤ板や石膏ボードで施工した建物の壁を指します。マンションの隣の部屋との境の壁に利用されます。

乾式壁に木材が使用されている場合は要注意です。木材は住宅が完成した直後から時間の経過とともに含水率が低下していきます。理想的な含水率は20%程度ですが、冬に暖房を使うと10%以下に低下します。その結果、木材が収縮し、家が沈下する原因になります。

一般的に注文住宅の場合、、この問題を保証する「ビルダー保証」が1年ついていることが多いです。暖房を使う冬が過ぎると、工務店などの建築業者は収縮のために生じたひび割れを修理してくれます。

ひび割れが生じてからでは、木材がさらに収縮する可能性があるので、少し待って修理してもらうとよいでしょう。

釘の飛び出し

壁に亀裂が生じると、乾式壁の釘の頭が「ポン」と飛び出すことがあります。これは、木材が収縮したために、乾式壁の釘の頭が仕上げ材を押し出し、壁の外に出てしまうことがあるためです。この現象は、天井や壁のコーナー付近で発生することが多いです。発生すると、釘の頭ほどの大きさの小さなテント状のものが、壁の表面から飛び出しているように見えます。

釘の飛び出しを直すには、まずパンチで釘をさらに壁の中に押し込んでから、新しい仕上げ材を塗り、再塗装することになります。

トラスの立ち上がり

トラスとは、部材をピン接合して三角形を構成した骨組のことです。この構造は天井裏に設置されていますが、トラスには断熱材が使われている可能性が高いです。つまり、冬場はトラスの下部が上部より暖かくなりやすく、収縮や反り、盛り上がりが発生しやすくなっています。

冬に最上階の天井に内装のひび割れが発生した場合、トラスが盛り上がっている可能性があります。この場合は、天井と壁が接する部分の乾式壁を補修すれば大丈夫です。

しかし、この現象は毎年起こることがあり、住宅にもよりますが、約20%の確率で起こります。もし、毎年トラスが上がる場合には、壁の継ぎ目をモールディング(表面の繋ぎ目を覆ったり装飾を施す目的で使われる様々な断面の細長い建材)で覆う必要があります。

住居内の湿気

トラスや建物の骨組みに使用されている材木から出た水分は住居内のどこかに行ってしまいます。窓の内側に水滴が付着しているのを見たことがあるかもしれません。窓や壁、ドアに適切な断熱材が使用されていない場合、冬場は表面が冷たくなってしまいます。

これらの冷たい表面に水滴が溜まると、壁を伝って家の様々な構造部分に水分が入り込みます。これによって最終的には腐敗を引き起こし、次々とカビが生えてきます。

フローリング全般の問題

基礎部分のひび割れに水が浸透すると、フローリングに問題が発生することがあります。手抜き工事の場合にはより深刻になります。

不適切なフローリングの施工とは表面処理が不十分なことです。接着剤や釘など、粗いものが表面に残っていると、フローリングは見た目が悪いだけでなく、長持ちしないことも多いのです。

以下はフローリングの問題の事例です。

タイルのひび割れ

タイルにひび割れが発生する原因はいくつかあります。土や水の動きによって土台がずれたり、土台が水分を吸収することで、ヘアライン状に割れたりすることがあります。また、水はけの悪さも原因のひとつです。

ただし、原因不明のタイルのひび割れが生じることもあります。この場合にはどう修理すればよいのかが分からず何もしないと、亀裂がさらに大きくなるかもしれません。

木材の凹凸

住居内の床板が傾いたり、たるんでしまうことがあります。施工時の釘打ちの間違いやファスナーの使い方が正しくないと凹凸が発生することがあります。また、木材の製造不良や木材そのものの品質不良が原因である場合もあります。

板間のひび割れ

湿度の高い時期に羽目板などの板が設置されることで、板と板の間のひび割れが発生することがあります。

リノリウムのカール

リノリウムとは、床材やインテリア素材として使われる天然成分の建材です。フローリングに水がしみ込むとリノリウムがカールすることがあります。

水回りのトラブル

注文住宅で生じる水回りのトラブルのほとんどは屋根が原因です。雨が降った時、または雪が降って溶けた時に住宅内に侵入した水は雨樋に沿って内部に入ってきます。

地下室への水の侵入

地下室が付属している家の場合には、最も多い水問題は、地下室への水の浸入です。驚くべきことに、地下室を持つ家の98%が何らかの形で水関連のトラブルを経験すると言われており、屋根からの水分の侵入が主な原因の1つとなっています。

落ち葉などが原因で雨どいが詰まっていると、水を逃がすことができないので、定期的に掃除しておきましょう。

ドアが閉まらなくなる

施工時のドアの取り付けに問題があったり、湿気を吸って膨張すると、ドアが閉まらなくなることがあります。玄関のドアではなく、キッチン付近や浴室のドアに発生しやすいトラブルです。キッチンや浴室のドアの上部や下部を塗装していないと、湿気で木材が膨張する可能性があります。

また、経年劣化で家が沈下したり、基礎工事に問題がある場合も、ドアが閉まらなくなることがあります。以前は開閉に問題がなかったドアが、ドア枠の中で動かなくなっていることに気づいたら、家の外の地盤や排水設備を調べ、地下室や屋根裏に水分の侵入の兆候がないかを調べてみることをお勧めします。

窓やドアまわりの水垢

カビや空気、水の漏れが原因で、窓やドアまわりの水垢が発生することがあります。カビや水漏れは断熱材や水漏れ材の不具合が原因であることが多いようです。水分が隙間から侵入すると、壁の中にも侵入し、変色することがあります。

(大量の)窓ガラスの結露

家の内側の窓の結露は、一般的に家の中の水分が多すぎることが原因です。結露は、水分が露点より低い温度であるときに起こります。外窓と内窓の間の密閉性が損なわれていたり、窓ガラス内の乾燥剤が飽和すると、窓ガラスの間に結露が増えていきます。

シンク下の水漏れ

シンク下の水漏れには、いくつかの理由が考えられます。

  • シンクの周りの縁の部分から水漏れしている

  • 排水溝から水漏れしている

  • 給水管から水漏れしている

水滴が垂れていると、様々なトラブルが発生する可能性があります。

その他の問題

これまで解説した外観や内装、水回り以外の問題も発生することがあります。発生頻度は低く、契約内容を確認することで回避することができるトラブルばかりです。

安っぽい家電製品

一般的に注文住宅に引っ越しをする時に調達した家電製品を搬入しますが、注文住宅を建設した工務店や建設業者が選んだ家電製品が設置されていることがあります。これらの家電製品は相場を下回る格安の家電製品であることが多いです。

家電製品が用意されている場合には、工務店が準備した候補となる家電製品の一覧表を確認し、どの家電製品にするのかを検討してください。

デフォルトで設定されている家電製品が安く性能の低いものである場合には、性能をアップグレードするために追加の費用を支払う必要があるかもしれません。

配線に不備がある

必要最低限な配線しか設置しない工務店や建設業者が施工を担当すると、配線に不備が生じることがあります。配線の不備は引っ越しの後に探さなければ、発見することが難しいです。

配線が不十分であると、家電製品を使用する時に電気火災の原因になります。例えば、配線の絶縁が不十分であることが原因で、家電製品がショートして、火花が引火し火災が発生します。建設中に施工業者や電気工事士に相談し、十分な配線がされていることを確認しましょう。

まとめ

この記事では、ドアや窓の取り付け不良から水漏れなど新築の注文住宅に多く見られる欠陥について解説しました。

注文住宅は中古や新築物件の購入に比べて、住宅購入者の金銭的負担が大きく、それだけ期待も大きいと思います。したがって、注文住宅で夢のマイホームを購入した後にトラブルが生じると悲しい気分になるでしょう。

ただし、ほとんどの場合に注文住宅には保証が付属しています。保証期間内であれば、この記事で紹介した問題のほとんどを保証してくれるでしょう。契約の段階で保証が付属していることを確認しておきましょう。保証は施工箇所によって期間が異なりますが、不足していると感じたときには追加で保証を購入することを検討しましょう。


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