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バスの中から見える景色にアメリカの格差を感じてしまう話

ロサンゼルスでサンタモニカ ・ベニス周辺からダウンタウン LA に行こうとするならば、Expo line に乗れば 45 分くらいで着くのですが、バスに乗って行くこともできます。サンタモニカから出てウィルシャーブールバードを通る 720 番と、ベニスから出てベニスブールバードを通る 733 番です。

日本では例えば京都から大阪に向かうのに、阪急・京阪・JR などの選択肢がありますが、どれに乗っても窓から見える景色はそれほど変わりません。それに対してロサンゼルスでは 720 番の中から見える景色と 733 番の中から見える景色は随分違ってきます。

720 番はウィルシャーをサンタモニカ、ブレントウッド、ウエストウッド、ビバリーヒルズと走って行きます。バスから豪邸が見えるわけではないのですが、それなりに賑やかな街並みを見ることができます。もちろん全てが全て綺麗というわけではないのですが、ゾッとするような光景を見ることはおそらくほとんどないと思います。

733 番はベニスを走ります。もちろん周辺ではアボットキニーなどは栄えているのですが、バスの中からはそれを見ることができず、その代わり外を見ていると結構な数のホームレスのテントが目に着きます。特に高速道路の高架下は強烈です。コロナの前から結構な数のテントがあったのですが、それが毎年増えていっている気がします。また、町の治安のバロメータである鉄格子のついたドアも多く見ることができます。外を歩いている人も違います。

日本から LA に観光に来た場合、サンタモニカとダウンタウンの間をただ単に移動したい、と言うのでしたらまず Uber か Lyft 、もしくは、お金を節約したい、と言うのであれば Expo line をお勧めします。ですが、あえて 733 番と 720 番のバスを乗り比べて移動してみることでロサンゼルスという所が一体どんな街なのか肌で感じることができるような気がします。もちろんロサンゼルスはとても広い街なので、これで全てがわかるようになる訳ではありませんが。

「親ガチャ」なんて言葉が市民権を得るほどに、日本でも格差社会が顕在化してきています。ですがロサンゼルスの格差社会はもっと強烈です。ベニスビーチのボードウォークは前からヒッピー風の人で賑わっていましたが、コロナ禍でホームレスの人たちのテントで溢れかえりました。ローズアヴェニューからサンセットアヴェニューの間の 3rd street はコロナの前から歩道がテントで占拠されており、人が歩ける所ではありません。その一方でジェントリフィケーションも進み、ローズアヴェニューにはローカルの人たちが集うお洒落なレストランやカフェもいくつかあります。Google のオフィスもすぐ近くにあります。

果たして日本にも同じような場所があるだろうかとずっと考えているのですが、(私が世間知らずなだけなのか)適切な場所が思いつきません。日本では(まだ?)感じることのできない格差をここロサンゼルスでは極めて身近に感じることができます。

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