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用心棒日月抄


地元はゴミのルールがめちゃくちゃゆるく、
指定のゴミ袋はないし、粗大ゴミは指定日に路上に放置、
新聞紙、段ボール、古紙はスーパーの回収コーナーに
好き勝手にまとめて放り投げる。という、
石器時代の貝塚と同じ感覚で成り立っているのだが、
他県は令和時代ルールで成り立っていることを知って驚いた。
『用心棒日月抄』の主人公青江又八郎は色々あって、
北の国から脱藩して江戸で用心棒生活を送っているのだが、
地元ではゆるゆるだった「生類憐みの令」が江戸では、
ガチで厳守しなければならない布令だったことを知って驚くのが、
わかる!!!と、思ったので思わず地元のゴミ事情を書いてしまった。
藤沢周平も又八郎も「生類憐みの令」もこんな形で共感されるとは
思っていなかっただろう。私もそう思う。

又八郎と一緒に江戸の新生活を始める気持ちで読めるのが、
とにかく楽しい。裏店のかみさん連中の様子も楽しい。
用心棒の話なので殺伐としたシーンもあるけど、
全体的に人への優しさや人情が感じられるのがいい。
何より又八郎が優しくて真面目なのがいい!
「お妾商売に骨の髄まで染まってしまった」と、悲観するおとよに、
「人間変わったつもりでも、案外変っていないということがある」と、
そっと背中を押すの!!優しい!!!キャー!!
「人間そんなに変わらない」って言葉は、
ネガティブなイメージがあるんだけど、
励ます時に使うのは素敵だな。と思った。
あとですね!!これが読むきっかけになったんだけど、
用心棒視点で『忠臣蔵』が描かれているんですよ!
ここもよかった。最初は遠い国の話のようだった赤穂事件が、
だんだん身近になり、大石内蔵助の用心棒になり、
ついには討ち入りの様子を外からそっと眺めるという、
「又八郎と一緒に楽しむ忠臣蔵」という話でもあるのだ。
忠義の話ではない『忠臣蔵』なのもよかった。

私はお妾さんのおとよが登場する『犬を飼う女』と、
『夜鷹斬り』が特に好き。
ちなみに毎回人は死ぬが、犬は無事なので、
愛犬家も安心して読んで欲しい。


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