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ともぐいと本の雑誌

ロシアの暴れん坊文学を読んだので、次は日本の熊文学だな!
寒くて大きくて熊が出没する国繋がりだな!と、
気軽な気持ちで読み始めたらとんでもない迫力に
めためたにされてしまい半分くらい読んだら疲れ果て、
思わず「本の雑誌」を買ってしまった。

隅から隅まで本の紹介しか載っていなくて、
ものすごくいい雑誌だった。読者ページも本の紹介だし。

その後もぐだぐだしていたら続きを読む気力が出たので、
ようやく読み終えた。よかった。

北海道の自然の描写は厳しくて美しく、
迫力のある熊との死闘シーンはハラハラしたし、
猟師というよりも限りなく獣に近い主人公の熊爪が、
ヒロインの陽子と人間として暮らしてみるものの、
すべてが面倒臭く、居心地の悪さにうんざりしていくのが、
人として生きるのって大変だし、煩わしいし、
面倒臭いよなぁ…。と、文学的な気持ちになれたし、
エンタメと文学両方堪能できて面白かった。
獣に近い熊爪の気持ちはよくわかるが、
ヒロイン陽子の気持ちはめちゃくちゃ謎で、
熊爪が「全てを飲み込んで吐き出すことのない沼」と評したが、
陽子も自分の感情すら飲み込んでしまって、
自分でもわからないのかなと思った。

個人的には「門屋商店」の古い日本家屋にしか出せない、
じめじめと爛れたエロい四角関係がめちゃくちゃツボだった。
(商店主夫婦と、(多分)かっこいい漁師と、
おかっぱ美少女陽子の四角関係)
私も門屋商店の女中になってお米とか研ぎながら、
「奥様、あのイケメン漁師泊めたんだってよ!!」
「なんで陽子はあんなにモテるのかね!」とか
女中仲間や丁稚の子と噂話をしたい。
没落し始めた門屋商店のシーンもっと読みたかった。
あと犬(名前なし)がめちゃくちゃかわいいの!!!
残虐な描写もあるけど、犬好きにはオススメです。
ほんと犬はかわいくてかっこよくて賢くて最高。
犬が死ななくてほんとによかった。
犬が死んだらそこで読むのをやめたと思う。

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