見出し画像

【15〜17日目】 はじめてトイレットペーパーをネットで買う/いま大田区は、わずかに遠くにある

2024年3月11日(月)〜3月13日(水)
24:啓蟄 72:桃始笑(ももはじめてわらう)

小ぶりとはいえ、金沢駅のスーパーで、のどぐろ1パック100円。

スーパーの食材が東京よりはるかに安くてついつい買ってしまい、「一人暮らしになったらもう料理なんて絶対しない」といいながら、してしまう日々。
特に、カレイ(ナメタカレイのような大きなものではなく一尾食べられる種類)やハタハタ、めぎす、かわはぎが安い。アイスプラントも県内産だ。

私はこれまで、納得のいく味噌汁が作れたことがなかった。
納得がいくどころか、豚汁以外は、どう作ってもあまり美味しくないのだ。
母の作る味噌汁は美味しい。出汁や味噌は何を使っているかと聞けば、ごく一般的な出汁入りの味噌なのだと。
で、私も母に習ってマルコメの出汁入り味噌で味噌汁を作ってみる。するとどうだ。母と同じ味がするではないか。
結局、水だったのだ。これは、お茶でも米でも同様だ。東京で同じ素材を使っても、水によって味が格段に美味しくなる、というか、それで育った私にとってはそちらが普通に美味しく、東京で作ると、美味しくない。

私はきき水ができるような、繊細な味覚を持ち合わせてはいない。が、それでもわかるくらい圧倒的に味が違うといわざるをえない。
どんなに不便でも不満があっても、絶対的に水が美味しい土地に住むというのはある意味じゅうぶんな理由かもしれない。

味噌汁の大根菜も県内産

家のまあまあ近くの内科に、コレステロールの薬をもらいに行く。
ゆるくて優しいおじいちゃん先生だった。
受付の人も、薬局の人も、とにかく優しい。
金沢で出会う人出会う人、今のところほとんどみんな笑顔。
引越し以来、私はそれにどれだけ救われてきたか。
ニュースで観る能登のひとたちにも共通するのだけれど、自分の仕事に誇りを持って働き、地に足がついている印象だ。
実は2005年頃にも1年ほどこちらに住んだことがあるのだけれど(当時は「都落ち」と称していた)、その頃の愛想のない不親切な印象とはまったく、まったく違っている。
町がこんなに変わるなんてことが普通あるのだろうか。
美術館や新幹線がこんなに鮮やかに都市を変えたケースって、ほかにあるだろうか。

こちらに暮らし始めてから、幸い、「誰ともひと言も話さなかった」という日がない。家族や医療関係者、お店のひと、近所のひとなど、誰かしらと口をきいている。
と同時に、夫と暮らしている間は、なんと無駄な言葉が多かったのか、とも気づく。あんなに喋らなくてもよかったはずだ。

鉄分補給に、南部鉄器買いました。安いものだけれど

ようやく本、CDをすべて並べ終え、荷解きがおわる。
以下、雑然としている現在の状態。まだ、最低限困らない所定の位置に物を置いただけだ。ここから磨き始めるつもり。

カーテンは仮。丈も合っていない。
夫の仕事用の椅子を預かったので置いてみたが、重厚すぎて机に向かう気が起こらないので
後で自分の椅子に戻した。

生まれて初めてネットでトイレットペーパーを買った。少し敗北感がある。しかし、ドラッグストアがやや遠く、買ったら手が塞がることを考えるとやむを得なかった。一人だから「帰りに買ってきて」というわけにもいかないし。
東京生活だってトイレットペーパーを買うのはけっこう難易度が高かったのだ。と自分に言い聞かせる。

「つい最近まで東京にいて、電車通勤して、徒歩3分内になんでもある生活をしていたのに、今は窓から雪山が見える、信じられない」
と思っていたが、それでもふと、記憶の中の蒲田や大岡山は、少しずつ遠くなっていることにも気づく。
前の部屋の、あれ、ガスコンロどっち側だっけ、壁はどんなんだっけ。職場の入口、どうなってたっけ。少しずつ、永遠に続くかに思われた日常が過去になってゆく。

さて、夜は寂しいから早く寝よう。早寝早起きするに限る。

中古で買ったデロンギのヴェルカルド。
下位機種より表面温度が低くて安全&エコモードがあるのが決め手。
しかし、猫たちには驚くほど存在を無視され続けている。乗ったりしないのか…




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?