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白い雪の花 【ショートショート】

先日こんな記事を書きました。

「今まで歩んだ成長ステージとそこから思いつくアイデア」

今回はこの記事を書く中で思いついたアイデアを実際に書いてみたいと思います。

すでに上記記事を読まれている方、その辺の話は必要ないという方は「白い雪の花」からお読みください。
始めにを読まずとも「白い雪の花」は読める内容となっています。

始めに

成長を振り返るだけでは物足りないと言うことで、成長を使って何かできないかと思ったことが、今回のアイデアを考える元となりました。そのために成長を可視化する成長ステージという概念を用いています。

■成長ステージとは
成長におけるステップアップをステージに例えたもの。層のようなイメージで上に行けば行くほど成長していく。ステージのどこかに階段が存在するが、その層に到達した時には階段がどこにあるのかわからない。

ステージには「ステージ滞在、上階ステージ発見、階段発見、昇段」の4つのステップがある。
※ここでの昇段は段位が上がるではなく階段を登るの意味。

まと。造語

各ステージに独自に名前をつけており、特徴的な出来事を当てはめています。
1ステージ目はトリガーワード
2ステージ目はnote移行(現在ここ)

■トリガーワードとは
書く題材を思いつくきっかけとなる言葉。例えば本を読んでいる際に気になった言葉や、人と会話をしている中で気になった言葉など。気になった言葉がきっかけで書く題材を思いつくことからそう名付けられている。

まと。造語

アイデアについて
後編の記事内に書いたものですが、3つのアイデアを考えました。

・ステージをダルマ落としの積み木に見立てたアイデア
・ステージを色に見立てたアイデア
・ステージを数字に置き換えたアイデア

今回の記事で使用するアイデアは色になります。


以上前置き長くなりましたが、これより本題です。


白い雪の花

赤と緑のカラーからクリスマスを想起させるのはなぜだろう。

クリスマスと言えばサンタとトナカイとモミの木。

赤と緑は分かるけど、なぜか茶色っぽい色が入っていない。

赤と緑と茶色。

3つ合わせてクリスマスカラーとはならないのだろうか。

実際は赤と緑のメインカラーに合わせてゴールドだったり白だったりとアクセントとしての色が加わる。



赤い炎を灯す暖炉の前でロッキンチェアーに座り、ゆっくりゆらゆら揺れていた。

しんしんと降り注ぐ雪を眺めながら、依然として答えの見つからない問題に私はどうすべきかと悩んでいる。

初めてその手綱を手にしたのは40年前、先代より受け継いだ手綱は脈々と受け継がれてきた歴史そのものなのだ。

時には道に迷って遠回りしてしまったり、時にはプレゼントを落として探し回ったり、時には帽子が風で飛ばされて雪だるまのような頭でプレゼントを届けに行ったり、数々の失敗を重ねてきたが、私は先代のようにはなれただろうか。

色褪せた手綱を見ると、私にその役目はまっとうできているのだろうかと、その重みと共に現状の問題を解決できない自分自身に苛立ちすら覚えてしまうのであった。

40年の間に伸びた白く長い髭が炎に照らされほんのりオレンジがかって見えた。

❄︎

以前として問題が解決しないまま、相棒に手綱をつけることとなった。

相棒は私の顔をみるや跳ねるように喜び、出発は今か今かと待ち侘びている。後ろの荷台には山のように積んであるプレゼント。

日が落ち街中に灯りが灯る頃、妻に一声かけて私は相棒と共に空へと駆け出した。


街明かりの灯る一つ一つにプレゼントを届けに行くたびに、子供たちが起きた後の喜ぶ姿を想像し心から喜べる自分と、手綱を携える際に思う迷える自分の心とのギャップに私は戦い続けていたように思う。

心の葛藤のせいか例年よりも荷台が軽くなるのが遅かった。

ようやく底板が見え始めてきても、手綱を握る自分の手は汗ばむ一方である。

私は一体何を届けるべきなのかと。


荷物が片手の指で数えられるようになった頃、東の空がほんのりとオレンジがかり始めてきた。

窓から部屋の中の様子を伺うとちょうどベットから目覚めた子供が目に映った。

これは大変な事態である。

プレゼントがないと知ったらあの子はどんなに落ち込むだろうか。

1秒でも早くプレゼントを届けなければ。

そんな気持ちが行動に現れたのか、思わず窓に手を触れてしまった。

ガタッと揺れる窓。

しまった!見られてしまった!

音と共に寝起きの子と目があってしまった。子供の声が聞こえてくる。

「わ〜!!、サンタさんだ!!」

ベットから跳ね起き窓を開け、私の顔をジロジロと眺めてきた。

顔を見られたことを諦め、プレゼントを手渡してあげた。

心もとない顔になっていたのだろう。子供から言われた次の言葉に私は正気を失っていたことを自覚した。

「サンタさんどうしたの?なんだか寂しそうだよ。」

私は咄嗟にこんなセリフを吐いた。

「あぁ、私はいつもこんな顔でね。みんなからも寂しそうだねって言われるんだ。」

その子は腕組みをして一生懸命考えているようだ。首まで傾げ始めた。

うーんと考えた後に

「それなら白い雪の花を探してみたら」

とそう言ってきた。

「白い雪の花?」

「そうだよ。白い雪の花はね、幸せなんだって」

「幸せ?」

「うん。幸せなんだってよ。」

満面の笑みを浮かべるその子の姿を見て、私の口角も自然に上向きになっているのが印象に残った。

きっと白い雪の花は幸せになれるものなんだと私はその子の言葉から悟った。

「プレゼントありがとう。まだ残っているみたいだから、まだ届いていない子がいるんでしょ。早く行ってあげて!」

その言葉にハッとして、私はメリークリスマスと声をかけ次の家へと向かった。

❄︎

帰り道の手綱を握る手は、どこか軽やかなものだった。

見られてはいけない掟を破りこれからどんな仕打ちを受けるのかはわからないが、あの子の満面の笑みを見られたことはかけがえのない宝となったのだから。

それに白い雪の花。

それがなんなのかははっきりとは分からないけども、私は一つの答えを見つけられた。

私は沢山の子どもたちに喜びを届けられているのに、日々接している妻にはいったいどんな喜びを届けられていたのだろうか。

帰ったら白い花を送ろう。幸せの白い花を。

そうだ。そこに緑や赤、茶色の色を加えて私なりの色としよう。

そう言えば先代もこんなことを言ってたな。

大切なのは想いそのものであると。



***


ここまで読んでいただきありがとうございました。

#成長から生まれる物語

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