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「どこでもドア」なんていらない!関係人口の超空間的ポテンシャル

はじめまして、まとい2年のもりふじと申します。(少し順番が前後してます)ちょうど先日、愛してやまない奈良県で歴史に残る悲しい事件が起きてしまいました。「Nara」の名前がこのような形で世界中に広まってしまったことはとても残念です。あんなに長閑で暖かい場所、他にないのに、、。

今回は学生団体まといの紹介も兼ね、「関係人口」についてのお話ができればと思います。まといの団体としての目的の一つに、下北山村と大学生をつなぐことが挙げられます。総務省のサイトでは「移住した定住人口でもなく、観光に来た交流人口でもない、地域と多様に関わる人々」(総務省「関係人口ポータルサイト」より)と説明されていますが、一体なぜ関係人口が注目されているのでしょうか。僕個人として考えた重要性を共有します。

山古志集落のデジタル村民

つい先日の新聞に、新潟県の山古志という集落で行われている取り組みが紹介されていました。自治体と民間団体がバーチャル空間で仮想の住民票を発行し、「デジタル村民」の称号を得た外部の人間が、集落の未来について本気で考えたり、資金援助を行なっているというのです。彼らは何故わざわざ住んでもいない地域のためにそんなことをしようと思えるのか、少し考えてみました。

山古志集落の田園風景

日本には何世紀も続く文化・美しい自然・暖かいコミュニティなど、様々な魅力を持った地域で溢れています。その一方で、そういった地域に憧れを抱いて関わりを持ちたいと考える人達もたくさんいます。つまりは、「地域とつながりたい人達」と「魅力的な地域」の需要と供給の関係は既に成り立っているといえます。しかし現状、地方への転入があまり進んでいないのは「地域に関わりたい人間がその場所に移住する」という取引のコスト(精神的・身体的・時間的負担も含む)が高すぎることに起因します。

このデジタルアートを購入すると仮想住民票を取得できる。(山古志住民会議プレスリリースより)

一方、山古志集落のデジタル村民は、移住することもなければ、実際にその場所を訪れることさえも義務付けられません。わざわざ面倒な手続きをしなくても、職場を変えなくても、仮想的な「村民」として認められてしまうのです。しかし彼ら彼女らはそれでも、村人のように山古志という一つの集落に愛情を注ぎ、地域に少しでも貢献しようと様々な取り組みを行っています。そしてその活動のエネルギー源は「デジタル村民」達の、美しい景観を誇る集落への愛情に他なりません。

関係人口とマッチングアプリ

実はこの山古志集落の取り組みは、「恋愛を簡単にする」マッチングアプリと似たようなロジックで成り立っている、と僕は考えます。恋愛というものは時にはとても難しいです。(僕の主観)もし想い人に告白した時にそれが成功ならハッピーエンドですが、失敗するリスクを考慮すると、その人と付き合えることに付属するプレミアムが相当に大きくなければ、「告白」というアクションは生じません。マッチングアプリの「私はあなたに興味を持っています」もしくは「私は今パートナーを探しています」というシグナルを相手に送信できるシステムは、この「告白が失敗するリスク」を大きく低減させ、相手をデートに誘う・相手に告白する、という「コストが高い」行動のハードルを下げています。

マッチングアプリには、予め相手に興味を持っていることを伝えるシステムがある。(タップルより)

同様に山古志の取り組みも、取引費用を低く抑えることによって人と地域を繋いでいるといえます。マッチングアプリとバーチャル住民票。両者は、今まで現実世界でしか行えなかった人間活動をうまくオンライン上に再現したことで、そのコストを軽いものにしました。以前は叶うことのなかった人々の想いを、効率的に形にすることができる媒体だと捉えられるのではないでしょうか。

地域の未来 まといの未来

関係人口の形態には様々なものがありますが、今回は中でも「オンライン上の住民」に着目しました。コロナ禍を経験して、人類はオンライン空間でのコミュニケーション能力に磨きをかけました。人間と人間の取引活動は数十年前と比較しても、その空間的制約から飛躍的に解放されたといえます。この一連の流れは「人口」という言葉の概念すらも変えてしまうかもしれません。人間の活動が空間に支配されなくなった時、人口は奪い合うものからシェアできるものへと変貌します。少子高齢化が急速に進む今の日本の地域では住民はとても貴重な財産・宝であり、たとえオンライン上であっても、同様に地域に関わろうとする「住民」達は地域に活力をもたらすはずです。

前鬼ブルー。透き通るような美しさ。
僕は下北山の関係人口になれているだろうか。

最初に述べた通り、まといの目標の一つに「下北山村と大学生を繋ぐこと」があります。距離があっても繋がり合える今の時代、東京にいても村と関われること・出来ることは様々です。奢りかもしれません。でもマッチングアプリのように、村に興味ある人が意外に簡単に村と関われてしまう、関係人口になれてしまう、まといがそんな場を作っていけたら良いなあと思う訳です。

次回は(多分)まとい代表のKですね!長文にお付き合い頂きありがとうございました😭

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