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バスの日を迎えて。

 9月20日今日はバスの日。明治36年(1903年)9月20日京都市で日本初のバスが運行された日です。当時はバス車両がなかったことから蒸気自動車を改造した6人乗りの車両が使われていました。これを記念して、「いつでも、どこでも、みんなのバス」をテーマに、1987年に日本バス協会が毎年9月20日を「バスの日」に定めました。今年は120年記念の年。バスの日の前後に各地でバスのイベントが行われています。
 
 バスが誕生した明治時代は乗合馬車屋もあり本格的な営業は大正時代に入ってからでした。当初は、多くが数人乗りの小さな乗用車を使っていたそうです。戦後の輸送需要拡大を迎えて、バス事業は拡大し、地方都市の駅でも、必ずバスがあるという黄金時代を迎えました。以降バスの公共性がさらに高り、平成初頭には、既存のバスでは対応しにくい狭隘地域や小規模需要を対象にした、行政が運行に係る新しいバスサービス「コミュニティバス」が登場しました。また、気候変動の影響から多発する災害時の緊急対応用の車両として、バスは欠かせない交通手段のひとつとして改めて認識されています。

 そのような中、今朝のNHKではバスのドライバーが不足して危機的状況だというニュースを報道していた。いわゆる「2024年問題」。この「2024年問題」はバスに限ったっ事ではなくトラックなども関係することから日本の物流全体の問題となっています。その「2024年問題」について少しだけ解説。

 「2024年問題」とは、2024年4月から労働時間に関する規制が変更になりそれによって人手不足が生じることをさす。この問題は今に始まった事ではなく、2019年から順次施行されている「働き方改革関連法」にあり、ワークライフバランスを改善することを目的として労働基準法が改正されて時間外労働の上限が規定されたものが中小企業は2024年まで猶予されていたものが、期限近くなりクローズアップされるようになりました。本来であればこの猶予期間に対処すべきであったのが慢性的な人手不足に加え新型コロナウイルスによる運輸業界への影響もあり対応できていない状況になってしまいました。
 具体的にバス運転者はどう変わるかというと、
1年の拘束時間:3380時間→原則3300時間
1か月の最大拘束時間:309時間→294時間
   (原則の281時間は変わらず)
1日の休息時間:継続8時間→継続11時間で9時間が下限
となっている。簡単に言ってしまえば働く時間を減らして休憩時間をしっかり取るということ。本来なら運転者にとってより働きやすくなる改正であったはずが慢性的な人手不足から運転者が確保できないという事態になります。
バス業界では既に大幅な減便を行うなどして対処しているところもあります。公共性の高いバスが減便になると1番困るのは交通弱者と呼ばれる人です。運転者の確保のために賃金を上げると当然運賃に影響が出ます。利用者が輸送コストに対して理解をして適正な対価を払うならば問題は少し解決に向かいますが、実際はそうは行きません。路線バスの限界から行政負担をしながら運行するコミュニティバスなどが活用されていますが、公共交通の問題は輸送の原価構造、収支構造をみんなで共有し、輸送コストは誰が負担すべきなのかをしっかりと考えていかなければならなくなっています。

 写真のバス停は海岸沿いの素敵なバス停ですが現在は1日1本バスが来るのみ。このままいけばこのバス停の景色もいつか消えてしまうかもしれません。

 

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