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畜産農家と持続可能な食文化を考える。

 今日、「9月18日に米ニューヨークの国連本部で、2030年が達成期限となっている17の環境や開発に関する国際目標SDGsの進み具合を検証する首脳級会合「SDGサミット」を開いた。「達成は危機に直面している」として、取り組みの加速を求める政治宣言を採択した」というニュースをやっていた。新聞誌面や企業広告など最低1日1回は目にするといっていい「SDGs」。どうやらそのSDGsが危機的状況にあるらしい。

 SDGsへのアプローチは国際機関や国家だけではなく企業や私たち個人も取り組んでいかなければならない。そのためにも、政治、行政の変化をただただ待つのではなく主体的に私たちの暮らしを変えていく必要があります。
 例えば、私たちが普段口にする食べ物。食料生産は、温室効果ガスを排出し、水資源や土地を集約的に利用する産業であることから環境影響の大きい産業です。近年、環境保護や持続可能性の観点から肉食を控える傾向があり代替肉やヴィーガンなどの食生活へ関心が高まってまさいます。これらの食生活は持続可能な食文化として今後更に注目をされることでしょう。しかしながら肉食を今すぐ辞めるといったことは現実的ではなくら人類が長い歴史のなかで共に歩んできた家畜を否定してはいけません。

 国連食料農業機関(FAO)によれば、畜産業による温室効果ガス排出量への寄与は約14%になると報告がされています。畜産業のサプライチェーンのうち家畜そのもの、土地利用変化の二つが温室効果ガスの主な排出源と言われています。
 
 家畜そのものは「牛のゲップ問題」として知られている問題です。牛や羊など反芻動物はエサを腸内で発酵させメタンガスを発生させ、それがゲップとして出てくることで温室効果ガスの排出に寄与する結果となります。土地利用変化については飼料用としてトウモロコシなどを栽培するために膨大な土地や水を必要とすることです。飼料生産を目的とした農地開発が森林伐採の動機となっている地域も存在しています。だからといって「環境負荷が高いから肉食を辞めよう」と言われてもそうはいきません。生産者と消費者が持続可能な肉食をするために意識を転換していくことが大事になってきます。

 
 生産効率化につながる家畜改良、温室効果ガス削減飼料の開発、AI等の活用による飼養管理技術の開発、家畜の衛生・防疫への取り組みなど、生産者側が行う家畜の生産に係る環境負荷軽減の取り組みに対して、消費者はこれらの生産者努力に伴うコスト負担、価格転嫁を理解していくことが必要となります。
 
 人類と家畜の付き合いは非常に長く、畜産による肉食文化の歴史は古代まで遡ります。生産者、消費者ともに先述したような持続可能な肉食むけての取り組みを理解してこれからも豊かな肉食文化を楽しんでいける世の中にしましょう。

 ※防疫のため牛には近づけず遠くからの写真でごめんなさい。

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