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イギリス演劇界のトップ、王立演劇学校RADA:ワークショップレポート②

今週の月から木曜まで、アンサンブルウィークというものがあり、朝から夕方まで練習がありました。
詳しいことは別の記事に書こうかと思いますが、結構大変な数日間でした😅

ということで、だいぶ時間は空きましたがRADAのワークショップレポート第2弾を書こうと思います。

前回の記事では、ワークショップ全体のことが書いてありますが、今回はもう少し詳しい内容や自分の感想などを書きたいと思います。
前回の記事はこちら⇩

また、自分がまとめたノートも一応載せておこうかなと思います。ただ、情報は必ずしも正しいわけではありませんし(私が間違った解釈をしてるかも)、人によって受け取り方、学ぶことは違うのでそこを留意できる方のみ覗いてみてください。
コースを受けるにあたりもらった資料や台本はもちろん著作権の関係上載せることができないので、このノートから具体的なコース内容のイメージをしてもらえればと思います。

ちなみに、コースが進むにつれどんどん実践的になっていったので、メモの量がどんどん減ります。あと、英語だし読みにくいし単語を省略したりしてるのであまり真剣に読まないでください、、笑

初日

初日は先生の話す量が多く、アクティングや英語などの基礎的な知識、前提について学んだ。
先生はイギリスの北の方の出身だったので、彼女の発音に私たちが慣れるためにも今日はたくさん喋ると言っていた。
私はイギリスの北の方の喋り方が好きなので、聞くのが楽しかった。
(北の方のイギリス英語は、口を縦に開くような発音が多い(もちろん場所によりけり)。例えば、lovelyをラブリーではなく、ロブレーみたいな)

シェイクスピアの話も結構出てきた。例えば、シェイクスピアにはdipthong(二重母音)ならぬtripthong(三重母音)が出てくるらしい。だからシェイクスピアを演じるには、長い母音を意識するそうだ。へえええええ

とこんな感じで、正直自分にとって新しい知識をバンバン話してくるし、経験があるような年上の参加者たちはあ〜知ってる知ってる〜みたいな感じだったので私は萎縮した。ここで、バンバン知らないことを聞きに行くのがいいのだろうしそういう子も何人かいたが、私はあんまりガツガツいかなかった。ああ日本人。
このWSに限らず、いろんなところで思う。ここが私が変わるべきところである、もっと自己主張激しめでいかねば。

まあそれはまた別の問題として、先生の話の中で頭に残ったのは

At an audition, make the casting director difficult to say no.

つまり、俳優はオーディションに落ちることの方が多いだろうが、
オーディションでできるかぎり議論し、いいことを言い、自分をディレクターに印象付ける(彼らは覚えててくれるかも)。そして、彼らがイエスと言わざるを得ないぐらい、与えられた台本を分析し、考え、完璧に準備しろということ。
当たり前っちゃ当たり前だが、意外とオーディションが流れ作業になってる人が多かったりする気がする。
どっかに引っ掛かれと思って受けまくるのも大事だが、一本一本を大事にしそこで学んでいくのも確かに大事である。

そんなこんなで授業の後半では、二つのグループに分かれて
片方ではモノローグを先生の前で読み、もう一方では発音の練習をした。

発音練習

簡単な自己紹介をした後、先生が徐(おもむろ)に言い出した。
あなたの部屋に写真はある?
見つけたらそれを見ながら、声で写真をなぞれ、と。
ほー面白い。と思った。
例えば、木をなぞるときは声をギザギザにしたり、雲を見たら声をふわふわさせたり。本人がクリエイティブになりいろんな声色を作り出す。
これはウォームアップに過ぎないが、つまるところ俳優はいろんな声色を持っていることで感情を最大限声に、声色に反映させられるようになるべき、とのこと。
うわあその通りだ!と思った。

シェイクスピア モノローグ練習

正直、私は台本ばっかり読んでモノローグの方は全然準備していなかった。
私が読んだのは、真夏の夜の夢のAct3 scene2のヘレナのモノローグだ。
1600年ごろに作られたものである。もちろん言葉は古いし、シェイクスピア独特の文法やら、かなり口馴染みのないセリフたちである。
超緊張しながら読んだ。
先生が、シェイクスピアは音楽だなんて言っていたが、自分の言葉に一切音楽味など感じなかった。
頭の中がはてなのまま先生に言われたのは、もっと思い切りやれ。だ。
確かに私は恥ずかしがったり周りを気にしたりする節がある。というかみんなもあるよね、、、、?
しかしそんなものは俳優には余計である。吹っ切れろ私。

別の日に先生が言っていたが、熱いお湯を冷たいお湯にはできるが冷たいお湯から熱湯にするのは不可能である。
教える人たちは、やりすぎな演技を抑えることはできるが、その人が思いきりやらなければ、私たちは100%を引き出すことはできない。だからいつもやりすぎぐらいでやれと。

あとは、長い母音やリズム、空白の意識、r,w,d,tなどの発音が弱いなどのアドバイスをもらって終わった。

この調子で書いていると一生かかるので、端折ります。
が、つまり、このWSは1日1日が濃く、感覚的には5日間以上の時間を過ごしたようでした。

モノローグ練習2回目

3日目に、2回目のモノローグ練習があった。
前回の反省を受けて、今度はめっちゃ思いっきりやった。
今回のアドバイスは、アプローチの戦略が一通りである。だった。
つまり、演技がワンパターンすぎる。
うわあ、これ1日目にいってたわ〜全く考えてなかったくそ〜と思った。

先生は前の授業で、このことを話していた。
例えば人間がドアを開けるとき、もしそのドアが開かなかったら、別の方法を試すのが普通である。
例えば、押して開かないなら引いてみる、スライドする、蹴ってみる、蝶番をドライバーで外すなど、、
しかし、途端に演技になると、例えばその方法がうまくいかなくてもそれをやり続ける俳優が多いと。

余談(すっ飛ばしてOK)
ちょっと話がずれるが、最近人にもらったアドバイスを受け取ってるつもりなのに、実際やってみるとあんまり自分が変わってなかったりする。
別に意図的にやらないようにしているわけではない。
中高生の時とかは、もらったアドバイスを忘れずに大事にし、一つ一つ実践し、変化し、どんどん成長していたのだ。
しかし最近はどうも保守的になったような気がする。(保守的になることが自分の意思に反していることは一貫して主張しておく)
なんだか自分が頑固ババアになったみたいだ。
これが年をとるということなのだろうか。(まだ全然若いのに、、、)
まあしかし、変化に対しての、物理で言う摩擦抵抗力みたいなものが大きくなっているのは確かだ。人間も慣性の法則(その状態で居続けたいこと)にしたがっているのかもしれない。
とにかく、常に変化、チャレンジできるよう頑張ります。

余談終

先生が言ってたことできなかったもったいね〜と思ったが授業後に自分で考えた。
なぜ私は開かないドアを押し続けるのか、と。
それは開かないことに気づいてないからである。と言うのが自分の答えだ。

このシーンでは、ハーミアと言う親友に語りかけているのだが(練習では参加者の一人に向かってモノローグをした)、その子はもちろん一言も喋らない。
当たり前だ、なぜならこれはモノ(一つ、一人)ローグであるから一人で喋る。
しかしこの当たり前に実は問題があり、例えば普段の生活で話している時、相手がいつ反応してくるかなど分からない。
たまたまこの場面では相手が反応してこなかっただけである。

私はこの場面で、要約すると、親友に、あんた私を裏切ったの?最低!こんなに仲良かったのに!キィーーーみたいなことを言っている。
それなのに相手がダンマリしてるから余計ムカついたり、悲しくなったりするのである。その相手が何も言わない、と言うのは実は一つのリアクションである。
ドアに置き換えるなら、開かないと言う状態だ。
だが私は、相手は私がモノローグをやっているから何も言ってこないのは当たり前、と思い相手を蔑ろにしていた。
だからこれからは、沈黙も一つの相手の反応として受け取ろうと思った。

デモンストレーション

長くなってきたので、これで最後にしようと思う。
この日は、身体的な演技のアプローチを教わった。

この日やったWSは、

  • 2人でペアになる

  • 椅子を画面の前に置く

  • AはBを椅子に座るよう説得する

  • AはBが座ったら良いことが起こり、Bは自分が座らなければ良いことが起こる(’いいこと’は自分で考える。例えば夜ご飯が無料になるとか。ただしAのご褒美>Bのご褒美)

最初は軽いご褒美で、回数を重ねるごとにstakes(重要度)を高くしていった。
一通りやり終わった後に、誰かボランティアやってくれる人、と言われて手を上げたら選ばれた。すると先生が、今までは言葉を使っていましたが、言葉なしでBさんを座らせてくださいと言った。子供みたいになってもいいと。
えーーー何それ難しくない?と思いつつ、自分なりに思いっきりやった。
声は出して良いので、変な声を出しながら暴れてゴリラみたいなことしたり結構恥ずかしかった。しかも、寮なので声は周りに筒抜けだったがまあ思いっきりやれたので良かった。
これはデモンストレーションだったが、先生に言われたのは、ポジティブな感情だけが全てではない、もっと負の感情(怒り、悲しみ、イライラ、、)も出して良いと言うこと。
確かに、私はそのデモでめっちゃ明るい感じでわー〜〜ーおとかふぅ〜〜ーとか言ってた。

人には得意不得意があって、多分俳優にも大きく分けて明るい感情を出すのが得意な人と、その反対がいると思う。
前々から思っていたが私は多分前者の方で、なぜならずっとチアをやってきたので、人前に立つときは笑顔、と言うのが体に染み込んでいる。
あと私楽天的だし。
それと単純に、怒ったり、むすっとしたりすると途端に表情が乏しくなる。
今思ったのだが、私は普段人に怒ることや喧嘩することなど滅多にない。
それも結構影響している気がする。
もっと普段怒って人とぶつかったりした方がいいのかもしれない。
そこでめんどくせーと思うのが私、、、😅
そういうところで言うと、イギリス人は不満言ったり怒ったりよくするので(もちろん人によるけど国民性ってあると思う)、上手かったりするのかも。
今週のアンサンブルウィークでも女達バトってて空気最悪だったし。

やはり俳優を学ぶということは人生を学ぶこと、豊かにすることですね。

WSではたくさんの学びがあり、参加した甲斐がありました。
また、先生がおすすめの台本を送ってくれたり、
イギリスの俳優になりたいならこの映画は見た方がいい、とかこう言うことがしたいならこの映画見たら?、とか
この本がわかりやすい、とか
演技以外の有益な情報もゲットできたので、ぜひみなさん参加してみてはいかがでしょうか。

ということで長くなったので終わりにします。
ここまで読んでくれた方、ありがとうございました🍊

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