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怒りの背後にある本当の気持ちに気づこう。アンガーマネジメントと一次感情について

「怒り」とは、そもそも何でしょうか?
私たちが日常生活で感じるこの強烈な感情は、一体どこから来るのでしょうか。

怒りのメカニズム

怒りという感情は、人間の脳に備わっている基本的な8つの感情(喜び、期待、信頼、恐れ、驚き、悲しみ、嫌悪、怒り)のうちの一つとされています。※参考:プルチックの感情の輪
これらの感情はすべて重要な役割を果たし、私たちが周囲の環境に適応し、適切に反応するために進化してきたものです。
したがって、怒りを完全に無くすことは不可能であり、また完全に無くすべきものでもありません。大切なのは、怒りに振り回されず、その裏に隠れた感情を冷静に分析し、建設的に対処することです。

一次感情と怒りの関係

怒りは単なる感情の表れではなく、その背後には「悲しい」「寂しい」「つらい」「不安」「苦しい」といった一次感情が存在しています。これらのマイナスな一次感情で心がいっぱいになってしまうと、怒りへの導火線が短くなってしまうのです。
怒りという感情そのものが突然現れることはありません。怒りとは「こうあるはずだ」「こうあってほしい」という、自分の期待や願望が裏切られたときに発生します。
しかし、ほとんどの場合、これらの一次感情は怒りの裏に隠れているため、なかなか自覚しにくいのです。

例えば、仕事でミスを指摘されたとき、最初に感じるのは「失敗した」「評価が下がるかもしれない」という不安かもしれません。しかし、その不安をすぐに認識することが難しく、その代わりに「なんでこんなことを言われなきゃいけないんだ!」という怒りが出てくることが多いのです。

エピソード:夫と妻の会話

ある晩、仕事から疲れて帰宅した夫が、キッチンで忙しくしている妻に「今日は忙しかった。少し話を聞いてくれるか?」と声をかけました。しかし、妻は「今は料理で忙しいから、また後でね」と答えました。これに対して夫は「君はいつもこうだ!僕の話を全然聞いてくれない!」怒りを爆発させました。

怒りの背後にある一次感情

このとき、夫の怒りの裏には「安らぎや親密さを求める気持ち」が隠れていました。夫は一日の疲れを癒すために、妻と話すことで安らぎや親密さを感じたいと強く望んでいたのです。
しかし、妻がすぐに応じられなかったことで、その望みが満たされず、寂しさや孤独感怒りとして表れました。

感情の流れ

  1. 期待: 夫は妻と話すことで親密さを感じ、一日の疲れを癒したいという期待を持っていた。

  2. 失望: 妻がすぐに話を聞けないと言ったことで、夫の期待が裏切られたと感じた。

  3. 孤独感: 親密さを感じることができず、夫は孤独感や寂しさを感じた。

  4. 怒り: その寂しさや孤独感が怒りとして表面に現れ、妻に対して不満をぶつける形となった。

一次感情に気づくことの重要性

怒りの裏に隠れた一次感情に気づくことは、感情の理解とコントロールにおいてとても大切です。一次感情を認識することで、怒りがどこから来ているのかを理解し、建設的に対処することができるようになります。

一次感情に気づくためのステップ

  1. 自分の感情を観察する: 怒りを感じた時、その感情がどこから来ているのかを一旦立ち止まって考えてみましょう。自分の心の中でどんな感情が動いているのかを観察することが第一歩です。

  2. 感情を言葉にする: 感情を具体的な言葉にすることで、その感情をより明確に理解できます。例えば、「寂しさを感じている」「認められたい」というように、自分の感情を探り、言葉にしてみましょう。

  3. 感情の根本にあるニーズを探る: その感情が生まれた背景には、何らかのニーズがあることが多いです。今、自分が何を求めているのか、何が必要なのかを考えてみましょう。

コミュニケーションの改善

一次感情に気づくことで、怒りを適切に伝える方法も変わってきます。
例えば、先ほどの例で夫が自分の孤独感や寂しさに気づくことができれば、妻に対してもっと穏やかに自分の気持ちを伝えることができたでしょう。
「今日は本当に疲れていて、君と話すことで癒されたいんだ」と言えば、妻も理解しやすくなります。

まとめ

この記事を通じて、怒りという感情の理解を深め、裏に隠れた一次感情に気づくことで、より良い人間関係を築くための手助けとなることを願っています。

おまけ

Wikipediaに掲載されている「プルチックの感情の輪」の内容が面白かったので共有しておきます。

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