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私たちは頑張らなくてはあっという間にはじき出される社会に生きている

タイトルの元ネタは、漫画『コスメの魔法』です。

自分がこの1年間イメチェンをすることに命をかけていたからでしょうか。最近は漫画の趣味が変化してきて、美容ものをよく読むようになりました。

有名どころだと、劇団雌猫『だから私はメイクする』六多いくみ『リメイク』などでしょうか。

中でも最近ハマっているのが、あいかわももこの『コスメの魔法』

1巻を無料で読んだのをきっかけに想像以上にハマってしまい、毎日少しずつ読み進めています。

そして今日こんな言葉が出てきました。


12巻はストレス撲滅コスメ編というパワーワード回なんですが、これがガチでよかった。3か月前鬱で死んでた人間としてはいろいろと思うところもあったのと、物語の主役・高樹礼子の考え方が自分の中でしっくりきたのが印象的でした。

いわゆる神回というやつですね。


『コスメの魔法』とは?

コスメの魔法は一言であらわすとイメチェン物語です。

美容部員の高樹礼子は女の子を綺麗にすることに命をかけており、助手の水野まゆみとともに日々奮闘しています。実践的なメイクテクニックのレクチャーが多いのもポイントです。

ひと昔前の漫画なので今のコスメ事情とは異なる点もありますが、根本的な姿勢やメイク指導についてはかなり役立つことも多かったです。特にメイクがケバくならないようにパーツを別途点数化して表にまとめてくれたやつ(色付き、ラメありだと点が増えていく表で、理想は合計10点)があるんですが、なんか……普通に「天才では?」と声が出ました。

ナチュラルメイクはその人自身の魅力をめいっぱい引き出す引き出すものなので、自己分析がきちんとできていないとできません。カンタンそうに見えてかなり上級者のメイクだと思うんですが、最近はこれを読んでたらできるような気がしてほくほくしています。

そんな矢先、神の12巻が到来しました。

人生に向き合う女性たちが‘’主役‘’の12巻

正直、表紙の「コスメでストレス撲滅!」や目次の「ストレス撲滅コスメ編」などを見たときは(なんか今回内容薄っぺらそうだな……)とたかをくくっていました。

登場人物は以下の通りです。

自分に自信がもてず、何も選べない女性、若年更年期障害と診断されたキャリア女性、強迫性障害の疑いをかけられたOL、そして高樹礼子(たかぎ・れいこ)にコスメ治療の協力を頼んでいた精神科医・蜂谷。(amazon商品説明より)

もともとこの漫画のお客さんはメイクに悩んでいると同時に恋や仕事に悩んでいるタイプばかりなのですが、急に内容が重ためになってきましたね。

なかでも私がグッときたのは、タイトルにもあげたキャリア女性のセリフです。次第に追い詰められていく姿に「そんなに頑張らなくてもいいのよ」と声をかけた主治医に、彼女はこう返します。

頑張るなって……どうして言えるんですか?
頑張らなくちゃあっという間にはじき出される社会に わたしたちは生きているのに


頑張りすぎで心身ともに壊れていく人に向けての「がんばらなくていいよ」という声かけは、私自身したこともされたこともあります。ただ、自分の中では腑に落ちない言葉であるという実感がなぜかありました。

それは頑張らないと生き抜くことができないという強烈な絶望が渦巻いていたからだと思います。


頑張らないといけないこの世の中で

頑張らなくてもやっていける道はあるでしょうが、それを実現できる人はごくわずかです。働かなければ、貯金していなければ、日々の生活費すらままなりません。

現実と願望の間で辛くなっている彼女のために提案されたのは、80%メイクでした。

100%隙間なく埋めると 身動きがとれなくてこりかたまりますからね 20%は「ゆとり」だと考えてください
人間だれだって頑張れる限界は80%くらいですよ
80%くらいがちょうどいいんです

頑張らないのではなく、80%を目安に生きていく。人の限界は80%だから。

みんなそういうものなんだという気づきは私にとってはかなり新鮮でした。未来に向かって生きるために、自分を労わること、100%を目指さないこと。私にとっては、苦しい気持ちを柔らかくする1つのカギになりました。


前を向いてもがいていくということ

別の話で、高樹礼子はこんな話もしています。

苦しみのない人生なんかありませんよ 迷いながらひとつずつ答えを見つけながら歩いていくんです 道は未来にしか続いていない 前へ行くだけですわ
夕日がこんなに美しいのは 明日また太陽が昇るから 見上げている人間が未来を信じられるからなんですよ

私はよくツイッターで「人には人の地獄がある」と闇の呟きをしがちなんですが、それの光バージョンですね。

皆悩みを抱えているからこそ、迷いながら前へ進むしかない。解釈を間違えてしまうとある種の根性論のようにも聞こえますが、なんて明るくすがすがしい言葉なんでしょうか。

生き抜く工夫をしていく。日々の生活で楽しいと思えることを少しずつ増やしていく。疲れはててしまわぬように自分自身を時には励まし、時には癒す。

この世界に希望を見出したいから。

迷いながら、私ももう少し自分自身を信じようと思います。前を向いて、頑張れば頑張るほどつらくなる世の中で少しでも快適に生きていくために。


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最近夢遊病が悪化して、睡眠中アマゾンで買ったらしい本がたくさん届きます。身に覚えがありませんが、履歴を見ると確かに購入している。破産しそうです。助けてください。