【シリーズで見よう007】第8作 007死ぬのは奴らだ

さて、007を片っ端から見ていこうもついに8作目。
ここからは3代目ロジャー・ムーアのボンドシリーズになります。ムーアボンドは全7作と最多で、ムーアこそボンド という方も少なくありません。ただ、ピアース・ブロスナン世代の私としてはコネリーの方が認知してたため、ムーアボンドは全くと言うほど見ておりません!ゆえにすごい楽しみです!

まずはポールマッカートニー(wings)楽曲のタイトルがヤバイ!

<あらすじ>
カリブ海の島国であるサン・モニークを調査していた諜報部員が相次いで3人殺害された。調査のためアメリカへと派遣されるボンドはCIA諜報部員フィリックス・ライターと共にサン・モニークの大統領 Dr.カナンガを捜査する。どうやら、ニューヨーク ハーレムのギャング組織の長であるMr.ビッグ と繋がってる事を突き詰めるボンドであったが…Dr.カナンガは果たして何を企んでいるのか!

<感想>
ジョージ・レイゼンビーでは初登場シーンまでもったいつけ、ここぞ!と登場したのに対し、ロジャー・ムーアは「何か?」と言わんばかりにあたりまえのように登場してきます。ショーン・コネリーはねちっこさなダンディズムがありましたが、ムーアはドライな雰囲気でこれまた良きです。作品のコミカルなタッチと相まって、割と合ってる気がしましたね。

前回で、ブロフェルド率いるスペクターが登場しなくなりました。
そのため、新たな敵と抱くイデオロギーが必要となり、“悪い組織の悪だくみ”というのに頼れなくなってしまいました。
今回の敵であるDr.カナンガはカリブ海にある国のようで、序盤演説の中で 「我々中南米諸国は長らく西洋諸国にいいようにされ…」 と黒人と白人の関係性を説きます。これは、すごくいいところに目をつけたなぁ!と人種間の歴史を背景とした話を期待したんですが、蓋を開けてみると…やはりその時代にその視点はありませんでした(涙。現代では上映がはばかられる黒人への偏見や土着的で旧世代的な文化を持つところがフィーチャーされ、オカルティックな世界観となってます。

死ぬのは奴らだを一言で言うと、

ボートとワニ!それと爆死!

途中、ボートを使った川での長尺のチェイスが行われます。
ボンド映画と言えば、ボートチェイスというイメージがありますが、意外にも8作目にして初めてなんですね。それに、ピアースブロスナン世代にも通じるチェイスシーンでの客観的コミカルシーンも盛り込まれました。

レストランで静かに飯食ってたら、戦車がつっこんできてギャー!

みたいなやつです。
今作ではチェイス中に展開されるしょーもないサイドストーリーが丁寧にもボートシーンと同尺またはそれ以上に描かれます。それが、みんな大好きペッパー保安官パート

このペッパー保安官は本筋と全く関係ありません。
たまたま爆走するボートを目撃したため無駄に正義感むき出しで追跡するんですが…。イギリス人が思うアメリカの保安官はこういうイメージなんでしょうか?声がデカいだけでけで基本バカ。噛みタバコのきったねー唾をペッペ、ペッペ吐いてます。親戚の集まりでずーっと一人で喋ってて周りから完全疎まれるタイプ。このシーケンスは無駄に長いので人によってはブチキレポイントでしょう。私もちょっとムカつきましたが、次作黄金銃を持つ男で再度出てくるとちょっと嬉しくなったw。ダニエルグレイブ版とかにもちょい出して欲しかったなぁ~。

中盤ボンドは敵に捕らえられ、ワニの池に浮かぶ小島に置き去りにされてしまいます。ボンドの元へにじり寄ってくるワニ…ボンド絶対絶名!!そんな中ボンドはいなばのくろうさぎ方式で脱出します。そう!並んだワニの背中をポンポンと渡って対岸にたどり着くのです。ドリフに出てきそうなバカバカシーンですが、これが本物のワニを使った笑えないスタントだったようです。

口を開けるワニに突っ込むスタントマン。なんならちょっと、食われてますやん…。

そして、ついにDr.カナンガの正体を突き止めます。
実は、ギャングをとりしきるMr.ビックと同一人物で、膨大な麻薬をアメリカ全土に無料配布し、中毒者を増やした後、麻薬の価格を吊り上げようとしていたのです。前澤社長のお金くばりのように麻薬を無料配布しようとしていたカナンガ、ビジネスモデルとしては最先端をいってたのかもしれません…いやどうなんでしょう。

カナンガに囚われたボンドと今回のボンドガール ソリティアは、彼の秘密基地でサメの餌になりそうになります。しかし、間一髪脱出!カナンガにサメ用の“ガス圧縮弾”をぶち込むと、体がプクーっと膨れ上がったあがったかと思うと、風船のように舞い上がり破裂!これは嫌ですねぇ、歴史に残る無残な殺され方です。ここだけでも見ていってください。

今回は非常にオカルティックな要素が多いです。
ボンドガール ソリティアはカナンガおかかえの預言者で、タロットカードを使い全ての行方を的中させてしまいます。ボンドの行動は全て予測されピンチに陥りますが、セックスの力でねじ伏せます。予言は処女でなくなると、力を失ってしまうと言うのです。ソリティアは力を失うとカナンガに殺されることは分かってはいましたが、タロットはボンドと恋する運命を予言していたのです…。この展開は切なくてちょっとジンときちゃいましたね。

そして、過去一謎過ぎるキャラ サミディー男爵。
前回あたりから説明は少ないがやたらキャラの強い中ボスクラスが数を増しました。今回も、片手が強力なマジックハンドのやつと不死身のサミディー。ちなみに、マジックハンドのやつはワイヤーをニッパーで切られた後電車から突き落とされて瞬殺されます。サミディーはブードゥー教(多分)の儀式によって(よそおって?)墓から出てくる(墓の下の施設からせりあがってくる)謎の男で理由なく不死身です。ボンドが頭を撃ち抜きますが、頭が陶器のように割れて尚もケラケラと襲ってくるのです。しかし、ボンドに毒蛇の溜まり場に突き落とされのたうち回って死んでました。しかし、エンディングで汽車の先端に腰掛笑ってるんですが……いったいなんなんですかw? もういいんですか?理屈とか理由とかw

全体的に謎は多いですが、なんとなくピアース・ブロスナン時代にも感じたバカバカしさが形成されつつある気もします。ここまで通してみるとやはりストーリーがしっかりしてたロシアより愛をこめてや女王陛下の評価くなるのは当然とは思いますが、むしろこちらの方がボンドワールドの本筋であり醍醐味だと思います。やはり嫌いにはなれません。

とまぁツッコミどころが徐々に増えてきたボンドシリーズですが、
次回はきました黄金銃を持つ男でお会いしましょう

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