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人気のある格闘技はどれ?ロシアのデータ

ここのところ格闘技の人気がじわじわ増しています。最近RIZINも話題になりましたし、ネットでの格闘技中継も増えてきました。もちろん2000年前後の格闘技ブームと比べればメディアでの露出は減りました。ただし、あの頃と比べ、格闘技は観るだけのものから、自分でもやるものへと変わりました格闘技は成長産業であると、(コロナ禍で多少事情は変わりましたが)IBIS Worldなどの世界的な市場調査会社がレポートを公表しています。実際、日本でもこの10年でさまざまな格闘技のジムを街中で見るかけるようになりました。

ロシアのフィットネスジムでは?

格闘技といってもさまざまな種類があります。Yurgelyani と Tabakovは、どの格闘技に人気があるか、(1)自分でやる場合と、(2)観戦する場合という2つの観点から検討しました(Yurgelyani & Tabakov, 2021)。まず、自分でやる格闘技として人気があるものを調べるため、モスクワにある37の大規模フィットネスクラブで実施されている格闘技クラスを調べました。

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上の図に示した通り、ムエタイやMMA(総合格闘技)は実に80%以上のフィットネスクラブでクラスが開催されており、ロシアでの格闘技人気の高さがわかります。日本でも、フィットネスクラブでクラスが実施されることもありますが、ここまでの高い比率ではありません。日本の場合、家賃が安かったり、賃貸契約が結びやすかったり、格闘技ジムを開くための規制がほとんどなかったりするので、小規模店舗型のジム・道場が多いです。

ムエタイ、MMAに続き、ブラジリアン柔術(上の図ではBJJ)とボクシングがおよそ60%のフィットネスクラブでクラスが実施されていました。およそ5割のグラップリングと合わせ、この5つの格闘技が自分でやる格闘技として人気があるものと考えてよいでしょう。これはロシアのデータですが、日本でも十分参考になると思います。

テレビの放映時間

さらに、観る上で人気の格闘技を調べるため、1ヶ月間のテレビでの放映時間を調べたところ、格闘技系番組のうち、キックボクシングが30%、MMA27%、ボクシング24%と、この3つの競技で80%以上を占めていました。その他の競技はどれも5%以下でした。ほとんど放送されない状態です。観る競技としては、プロ団体が設立されているボクシング、MMA、キックボクシングに安定した人気があるようです。

データを見る限り、自分でやる場合と観る場合で、どちらでも人気のあるMMAもあれば、やる方で人気があるブラジリアン柔術やグラップリングあります。Yurgelyani と Tabakovは、ブラジリアン柔術やグラップリングがフィットネスジムで人気がある理由が安全性にあると指摘しています。キックボクシング、ムエタイ、MMAは、立技(主体)の競技です。立技での打撃と投げはやはり怪我につながりやすい。寝技主体であるブラジリアン柔術やグラップリングでは、立技ほどは怪我をしにくいため、比較すると安全です。それが自分でやる上での人気につながってくるのでしょう。

引用文献

・Yurgelyanis, A. S., & Tabakov, S. E. (2021). Factors of popularity for martial arts programs in the fitness. Proceedings of the XV Annual International Conference for Students and Young Researchers “Modern University Sport Science”, 285–288.

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