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女の子とうまくやる方法(サチ編)

"女の子とうまくやる方法は三つしかない。ひとつ、相手の話を黙って聞いてやること。ふたつ、着ている洋服をほめること。三つ、できるだけおいしいものを食べさせること。簡単でしょ。それだけやって駄目なら、とりあえずあきらめた方がいい"
「ハナレイ・ベイ」作・村上春樹

滞在先のハワイでたまたま出会った大学生男の子二人組のうち一人と偶然東京のとある地下鉄駅近くのスタバで再会したときに、「恋人ではない彼女とのあいだをぐっと発展させるため」の方法として、主人公サチがその彼にアドバイスした内容がそれである。

女性の皆さんも含めて、どうです?
すごく実践的でわかりやすい方法だと思うけど、よくよく読むとなかなか高度ですよね。

作者の村上春樹さんは、とあるインタビュー記事か何かで、小説(フィクション)のなかで自分自身の実感のような”本当のこと”をときどき書くんだけど、それも作り話じゃないのかと読む側に信じてもらえないことがあると語っていたのですが、きっとこの短編のこの文章も村上さんの実感ではないかと想像します。

相手の話を黙って聞いてやること

私も含めて男の人はどうも助言というか、求められてもいない解決策を相手に伝えがちだと思うんですね。彼女のほうはただ話を聞いてもらいたいだけなのに、こちらは「相談されている」と無意識に気持ちが反応して「そうだよね、でもこうしたらいいんじゃない?」と頼りになる自分を前に押し出したくなる。

女性にかぎったことではありませんが、心にためていたモヤモヤを声にして発散することで気持ちが楽になったり、考えが整理されたりすることはままありますよね。

モヤモヤした話でないにしても、日常のささいな出来事を聞き役として気持ちを共有するというか、男のほうは変にしゃしゃり出ない。「へえー、そうなんだー。なるほどね、それでそれで?」みたいな感じの相づちを打って気持ちよくお相手の話に耳をかたむけられたら、いいのかな。合ってます?

着ている洋服をほめること

この三つのなかでもっとも高度なのがおそらくこれですね。あなたがもし本当にお相手の女性の服を「それ、素敵ですね」と思っていないのなら口にしないほうが無難かもしれない。無理にほめようとしても自然なカタチで言葉は口から出ないですからね。

髪型もそう。すべての女性が自分が髪を切ったことを相手に気づいてもらいたいわけではないようですし、「気のある人からだったら言われたらうれしい」のがまさにこれ。何でもない人から髪型をほめられても、気持ち悪い!って思われるかもしれないですしね。

ご自身がもともと洋服に興味がある人なら自然な感じで、「気に入ってるブランドで自分のサイズがわかるものならメルカリとかで新品同様みたいの買ったりしますよ。○○さんは?」みたいな会話(実話)できますけれども。

できるだけおいしいものを食べさせること

これがもっとも実践的で実行しやすいですよね。美味しいものを食べさせること。

むかし、私自身が実行していたことですが、気になる女性をデートに誘う際には、どういう食べ物が好みか最初に聞いて、こっちで候補になる店舗を三つ提示してどれがいいかを彼女に選んでもらう。

とはいえ、たいていこちらに気を遣ってかわかりませんが、最初から「うなぎが食べたいです」とか「焼きビビンバどうですか?」みたいに特定のジャンルの食べ物を言ってくれる女性はほとんどいないので、わりとこちらが好きなお店に行ける公算が高いです。「前に行って美味しかったお店」みたいな場所を彼女に提案して、可能であれば席予約して当日をむかえられればOKではないでしょうか。

駄目なら諦めた方がいい

その小説のセリフから学ぶところの、最終的には「それだけやって駄目なら、あきらめた方がいい」とのこと。

三つの方法の共通するところは、おもてなしの気持ちを持つことの大切さかもしれません。お相手が気分よくその時間を過ごしてもらえるかこちらが気遣えば、その好意は届くときには相手に届くし、それが流されるようだったらそれは縁がなかったかタイミングが悪かったかのどちらかなので、ひとまずべつの誰かに気持ちをむけた方がお互いのためにもなりますよね。

たぶん。

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